抄録
著者らは沖縄本島における大バベシア症の実態を知る目的でこの研究を行なった。沖縄県動物管理所から譲渡された雑種犬53頭について, 脾摘除術および dexamethazone の投与によりバベシア属原虫の誘出をはかったところ, 10頭から11株のべベシア属原虫を検出した。そのうち大型の7株は Babesia canisに, 他の小型の4株は B. gibsoni に近似していた。大型原虫が検出された血液を健康雑種犬3頭に接種し, 最も強い原虫血症を示した1頭から血液250 mlを採取して液体窒素に保存後, 健康なビーグル1頭に接種し, その感染血液を順次継代して原虫血症お上び臨床症状を観察した。また原虫の自然消失後に B.gibsoni を追接種して死亡まで観察した。いっぽう, 感染血液の接種前および原虫血症確認後の血清について間接蛍光抗体法による抗体検出を行なった。以上の実験成績および Rhipicephalus sanguineus が常在する環境から, 著者らが沖縄本島の犬から検出した大型原虫は β. canis であることが明らかになった。