抄録
成長期ネコの呼吸器粘膜および腸粘膜組織中の免疫グロブリン陽性細胞(Ig-細胞)を蛍光抗体法により検索した. 両粘膜ともほぼ11日齢からIg-細胞が検出されるようになり, 若齢期では3種のIg-細胞がほぼ同割合に観察された. 6ヶ月齢以上の呼吸器粘膜ではIgA-細胞が主となり, IgG-およびIgM-細胞は少数であったのに対し, 腸粘膜では8ヶ月齢以上でもIgG-ならびにIgM-細胞も多数認められた. 以上から, 成猫の粘膜組織ではIgA-細胞が防禦に主要な役割を担い, 幼若期の粘膜ではIgG-ならびにIgM-細胞もまた重要な役割を果していることが示唆された.