抄録
イヌ下痢便から分離したロタウイルスRS15株の諸性状を, ヒトロタウイルスWa株, 牛ロタウイルスShimane株, 豚ロタウイルスS80株と比較した. ロタウイルス株の分離と継代にはトリプシンが不可欠で, イヌ由来細胞系であるMDCK細胞でもウイルスの分離と継代が可能であった. 他動物種ロタウイルスのうちWa株のみがMDCK細胞で増殖した. RS15株のRNA分節泳動像はロタウイルスの特徴を有していた. RS15株, Wa株およびShimane株は補体結合試験で同一の抗原性を示したが, S80株は相違した. プラック減数中和試験によりRS15株とWa株間に若干の交差抗原性が認められたが, Shimane株およびS80株とは全く交差しなかった.