日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
Print ISSN : 0021-5295
ISSN-L : 0021-5295
Fusobacterium necrophorum Biovar Aおよびbiovar B由来リポ多糖類の化学的, 生物学的性状
井上 武鹿江 雅光後藤 直彰松村 健道中野 [ケイ]二
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 47 巻 4 号 p. 639-645

詳細
抄録
F.necrophorumの病原性に関与する因子を明らかにする目的で, 強毒株のF.necrophorum VPI 2891 (FN 2891, biovar A)および, 弱毒株のF.necrophorum 130 (FN 130, biovar B)のリポ多糖類(LPS)の化学的, 生物学的性状を比較した. ヘキソース含量(グルコースとしてFN 2891 LPSに21.5%, FN 130 LPSに66.2%), アミノ糖含量(グルコサミン塩酸塩としてFN 2891 LPSに12.9%, FN 130 PLSに0.9%), lipid A含量(FN 2891 LPSに34.0%, FN 130 LPSに4.3%)において, 両菌株間に大きな差が認められた. また, 10日齢鶏胚に対する致死作用, マウス結節性腫瘍(Sarcoma 180)に対する出血壊死作用, ウサギに対する発熱作用, 局所シユワルツマン反応でFN 2891 LPSの方が強い活性を示した. 免疫原性, リムルス試験では両LPS間に差がなかった. 以上の結果から, LPSはF.necrophorumの病原性に関与する因子の1つと考えられた.
著者関連情報
© 社団法人 日本獣医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top