日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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野鳥からのカンピロバクター検出状況および分離菌株の血清型
福山 正文上村 知雄伊藤 武斉藤 香彦高橋 正樹坂井 千三村田 元秀光崎 研一原 元宣清水 武彦田渕 清
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1986 年 48 巻 3 号 p. 487-493

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抄録
都市環境に生息する野鳥および富士山麓の自然環境下に生息する野鳥総計700例についてカンピロバクターの検索を行った結果, 以下の成績が得られた。1)野鳥700例中55例(7.9%)より Thermophilic campylobacterが検出された。その内訳は, ドバト378例中51例(13.5%), オナガガモ82例中2例(2.4%)スズメ5例中3例(60%)から本菌が検出された。しかし, ツバメやキジバトなどの野鳥235例からは本菌は検出されなかった。2)ハ卜およびスズメ由来株はすべて, C. jejuniであった。オナガガモ由来の2株はC. coliと同定された。諸外国で野鳥に広く分布するC. laridisはまったく検出されなかった。3)スライド凝集反応によって分離菌株の血清型別を行った結果, ドバト由来のC. jejuni49株中17株(34.7%), スズメ由来2株中2株(100%)が著者らの血清型(TCK1~TCK32)のいずれかに型別された。ドバトでは特にTCK20に該当する菌株が多く認められた。オナガガモ由来の C. coli株は著者らの血清型別には該当しなかった。
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