日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ビタミンD3の大量投与が泌乳牛の血漿ビタミンD3代謝産物におよぼす影響
内藤 善久渡辺 栄次佐藤 れえ子村上 大蔵
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1987 年 49 巻 1 号 p. 121-127

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抄録
乳熱予防に用いられるビタミンD3 (VD3) 大量投与の乳牛VD3代謝への影響を知るため, ホルスタイン種泌乳牛5頭に分娩後7日目にVD3 1,000万I.U. (VD3群) を筋注し, 血漿中のVD3代謝産物25OHDおよび1,25 (OH)2Dを中心に, Caと無機P濃度の推移をも投与後15日まで調べ, 4頭の無処置対照群と比較した。乳中のCaおよび無機P量におよぼす影響も同時に調べた。VD3群における血漿25OHD濃度は持続的に上昇したが, 1,25 (OH)2D濃度は投与初期にのみ一過性の著明な上昇がみられた。VD3群の血漿Ca濃度は投与後2日から対照群に比較して有意に高かったが, 血漿無機P濃度は投与中期のみに上昇し, VD3群の投与初期における血漿Ca濃度の上昇は, 血漿1,25 (OH)2D濃度の上昇によって, その後は25OHD濃度の持続的上昇によって維持されているものと考えられた。また, VD3の大量投与にかかわらず血漿1,25 (OH)2D濃度については厳密な制御機構が働いていることが示唆された。
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