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升永 博明, 村上 晶彦, 後藤 雅昭, 上田 正次
1987 年 49 巻 1 号 p.
1-6
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ラットで腎性貧血, 鉄欠乏性貧血, X線照射性貧血, フェニルヒドラジン性貧血の病態モデルを作製し, これら貧血ラットの血清エリトロポエチン濃度をラジオイムノアッセイにより測定した。一方, 貧血モデルラットに対して尿から精製純化したエリトロポエチンを体重100g当り4単位を毎日, 皮下に注射し貧血改善効果を観察し, つぎの成績を得た。1) 腎性貧血を除く3種類の病態モデルにおいて, ヘモグロビン濃度の低下にともなう血清エリトロポエチンの著明な上昇が確認され有意な負の相関を示した (r=-0.807)。2) 無処理ラット及び腎性貧血ラットではエリトロポエチン投与により著しい増血を示した。鉄欠乏性貧血ラットは鉄剤投与に依存した増血を示し, エリトロポエチンの併用効果は認められなかった。X線照射 (750R) による骨髄抑制性貧血に対して, 照射1週から2週にかけての貧血進行期では効果を示さず, 2週以降3週にかけては貧血回復がわずかに対照群を上廻った。溶血性貧血ラットではエリトロポエチンの投与効果は認められなかった。
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後飯塚 僚, 廣田 好和, 長谷川 篤彦, 友田 勇
1987 年 49 巻 1 号 p.
7-14
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
末梢血塗抹標本で間接螢光抗体法によりネコ白血病ウィルス (FeLV) 群特異抗原が検出された12例のネコについて, 末梢血リンパ球のインターロイキン2 (IL-2) 産生能を検索した。これらのネコではいずれも, FeLV産性腫瘍細胞株 (FT-1) に対する血清抗体価は低値であり, また末梢血リンパ球のconcanavalin A (Con A) およびpokeweed mitogenに対する幼若化反応も, 健康ネコリンパ球のそれに比して低く, 特にCon A刺激の場合は, 著明に低かった。FeLV感染ネコ末梢血リンパ球をCon Aで刺激し, その培養上清中のIL-2活性をマウスIL-2依存性T細胞株 (CTLL-2) のトリチウムチミジンの取りこみによって測定すると, FeLV感染ネコのIL-2活性は, 健康ネコのそれに比較して低く, 特に白血病あるいは胸腺型リンパ肉腫症例では著しく低かった。これらの事実から, FeLV感染ネコにおける免疫抑制にはIL-2産生能の低下が関与していると考えられた。
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更科 孝夫, 谷山 弘之, 山田 純三
1987 年 49 巻 1 号 p.
15-21
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
1985年4月に中国四川省眉山県で鵜飼いのため飼育されていた1羽のカワウの前胃に多数のC spiculigerumの寄生を認めた。前胃粘膜には多数の虫体が刺入し, 出血を伴なう糜爛がみられ, 筋層には虫体を含む結節が多発し, 漿膜面より隆起していた。筋層の虫体は, 浸潤細胞層と肉芽組識に囲まれ, 多くは退行性変化を示した。虫体とそれを取り囲む異物巨細胞との間にエオジン好性の均質物質が介在する部位が多く, 同部の組織反応は物質を欠く部位よりも強かった。本種の第4期子虫は前胃の腺腔または筋層に侵入し, 発育に伴なって腺腔の子虫は前胃腔へ戻るが, 筋層ではそのまま成熟後死滅するものと考えられた。
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村上 敏明, 平野 紀夫, 千歳 健一, 土屋 耕太郎, 小野 勝彦, 佐藤 文俊, 鈴木 義久, 村上 洋介
1987 年 49 巻 1 号 p.
23-30
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
某肉牛群において1981年1出産期の間に初生子牛下痢症の疫学調査を行なった。子牛密度が最高に達した5月8日~10日に全群一斉に下痢が発生し, 日中と夜間の著しい気温隔差が続いたことが発症の直接要因としてあげられた。子牛血中抗体価の上昇, 糞便の酵素抗体法による検索, ウイルス分離などから牛ロタウイルス1型が主因と診断された。牛ロタウイルス2型, 同3型, 牛コロナウイルス, 牛ウイルス性下痢・粘膜病ウイルスに対する抗体については陰性, または有意上昇をみなかった。大腸菌K99 (+) Ent (+) 2株とエンテロウイルス数株も分離された。牛ロタウイルス1型に対する子牛血中の移行抗体価は, 下痢流行中にしだいに低下し, 下痢のほとんど見られない7月~11月に再び上昇した。当初, 牝牛1頭の分娩当日の正常便中にロタウイルス抗原がみとめられ, その翌日にはその子牛の正常便中に, さらに下痢が勃発した5月10日には, 多くの子牛の下痢便中にウイルス抗原がみとめられた。無症状感染例や反復感染例も存在し, 症状, ウイルス排出, 抗体上昇の間には必らずしも相関はみられなかった。
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福田 勝洋, 望月 公子
1987 年 49 巻 1 号 p.
31-36
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
羊赤血球をニワトリの静脈内に投与し, 脾臓における胚中心形成細胞の変化を超微形態学的に検索した。胚中心は大型リンパ細胞の集積とこれを囲む扁平な細網細胞の隔壁とからなり, 大型リンパ細胞は無数のポリゾーム, 正染色質に富む大型明調の核, 明瞭な核小体などが特徴であった。発達中の胚中心では, リンパ細胞は分裂, 増加して, 小型細胞となるが, 細胞内小器官にはほとんど変化がなく, 多数のポリゾームを有していた。胚中心は発達のピークに達した後, 退行過程に入りリンパ細胞は次第に萎縮し, 核, 細胞質が濃縮し, 空胞が増し, 細胞質突起が顕著になった。形成から退行に至る期間を通じて, 胚中心には形質細胞, 形質芽球はみられず, 胚中心でのリンパ細胞から形質細胞への変化はなかった。形質細胞は, 胚中心形成よりも早く赤脾髄に出現, 増殖して, 動脈周囲リンパ組識に接して集簇した。
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沢田 拓士, 高橋 敏雄, 田村 豊
1987 年 49 巻 1 号 p.
37-42
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
アクリフラビン耐性弱毒豚丹毒菌 (血清型2型) のブイヨン培養液を分画して全培養菌液 (WC), 培養濾液 (CF), 菌体 (KC) 及び洗浄菌体 (KCW) を得, これらに対する豚抗血清の受身マウス防御効果を調べた。各培養分画に対する抗血清の生菌発育凝集 (GA) 抗体は常にIgM及びIgG両分画に認められた。抗CF血清は血清型1a及び2型の強毒株による攻撃に対して, マウスを最もよく防御した。一方, 抗WCあるいは抗KC血清はhomologous血清型 (2型) の攻撃に対してのみ有効で, 抗KC血清の効果は低かった。また, 抗血清のマウス防御活性はいずれもIgG分画のみに認められた。CFで1回, KCあるいはKCWで3回の吸収により, 抗CF血清のGA抗体価は対照抗血清に比し, 4~16分の1に低下し, 血清型1a及び2型の攻撃に対するマウス防御活性 (ED
50値) は1.7~4分の1に低下した (P<0・01)。これらの成績から, 抗CF血清は最も防御活性が高く, 他の血清型菌に対しても有効であること, また, 感染防御抗原は菌体細胞壁由来であり, CF中により多く存在することが示唆された。
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細川 暁, 一条 茂, 後藤 仁
1987 年 49 巻 1 号 p.
43-50
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
10頭のSPFネコにネコ汎白血球減少症ウイルスを接種し, 臨床・血液・病理学的検索を実施した。ウイルス接種後の主な臨床症状は, 可視粘膜のチアノーゼ, 軟便, 一過性の軽度な発熱, 元気・食欲の減退などであったが, いずれも軽症で, 死亡例はなかった。血液所見では, 主としてリンパ球と好中球の減少を認めたが, 白血球数の最低値は6,000/μl以上であった。骨髄液の所見では, 顆粒球系細胞と赤芽球系細胞の低形成が認められ, とくに幼若細胞の減少が特徴的であった。病理組織学的には, リンパ系組識の変化が明瞭で, 脾臓・腸間膜リンパ節におけるリンパ球の減少と網内系の活性化, および胸腺における萎縮とリンパ球の減少が特徴的であった。核内封入体は, リンパ系組識の細網細胞と小腸の陰窩上皮細胞に認められた。
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安場 正子, 沖本 一夫, 飯田 晶敏
1987 年 49 巻 1 号 p.
51-59
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
毒性試験に使用したビーグル犬86例の偶発性組織病変を, 若齢群と高月齢群との間で比較検索した。肝臓と腎臓の好酸性結晶状核内封入体, 顎下腺の細胞浸潤, 腎臓における尿細管の脂肪化と糸球体の脂質沈着, 胸腺の萎縮と嚢胞形成, 脾臓のsiderofibrotic noduleおよび甲状腺の旁濾胞細胞増生が, 高月齢群で若齢群に比べてより高い頻度でみられた。両群を通じて心外膜における中皮細胞の限局性増生, 精巣上体の核内封入体, 腎臓の限局性肉芽腫性炎および胆嚢における異所性膵が, 各1例で認められた。寄生虫に起因すると考えられる肉芽腫が21例 (24.4%) にみられた。
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織間 博光, 川瀬 清, 一木 彦三
1987 年 49 巻 1 号 p.
61-66
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ハロセン吸入麻酔下で手術を行った犬の手術中に乳酸リンゲル液 (LR) とデキストロース加乳酸リンゲル液 (LRD) を輸液し, 前者を対照としてデキストロース添加の効果を検討し, 以下の成績を得た。1) LRD輸液は手術侵襲下の犬におけるNEFAの遊離を抑制した。2) LRD輸液は手術侵襲下の犬の肝グリコーゲン量を増加させた。3) LRD輸液によって手術侵襲下の犬における十分な尿排泄量が維持された。以上の成績から, 手術中のLRD輸液はLR単独輸液より有用であると考えられた。
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山手 丈至, 田島 正典, 布谷 鉄夫, 工藤 悟
1987 年 49 巻 1 号 p.
67-75
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
Fischer 344/DuCrjラット雌雄各1,705匹中34匹の中枢神経系に自然発生腫瘍が認められた。腫瘍は38-109週例の雄24匹 (1.4%) 及び雌10匹 (0.6%) に発生し, 星状膠細胞腫11例, 希突起膠細胞腫5例, 混合膠腫5例, 髄膜腫5例, 顆粒細胞腫4例, 上衣細胞腫2例, 細網肉腫及び髄芽細胞腫各1例であった。星状膠細胞腫は線維型4例, 原形質型3例, 毛様型3例及び悪性型1例に分けられた。髄膜腫は髄膜内皮腫型2例, 線維腫型2例及び悪性型1例に分類された。上衣細胞腫の1例は小脳天幕から発生し, 脳室外上衣細胞腫と診断された。担腫瘍ラット34匹中7匹が神経症状を示し, それら症状と腫瘍の解剖学的局在とが関係づけられた。
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桜井 治久, 高橋 宏昌, 佐藤 基佳, 広瀬 恒夫, 斎藤 篤志, 鈴木 直義
1987 年 49 巻 1 号 p.
77-84
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
Babesia rodhaini (以下, バベシア) 感染耐過マウスの脾臓細胞をバベシア抗原存在下で培養すると, 培養上清 (LKs) は, 非感染マウス由来の脾臓細胞培養上清に比べて高いMIF活性を示した。感染耐過マウスの腹腔マクロファージ (Mφ) のバベシア貧食能は, 非感染マウスMφに比較して高進していた。バベシア感染急性期および感染耐過母マウスからの胎仔あるいは新生仔からは, 原虫は分離されず, 垂直感染は証明できなかった。感染耐過母マウスからの新生仔は, 1週齢でバベシア感染に対して強い感染死防御能を示した。感染耐過母マウスからの新生仔は, 非感染マウスで授乳しても, 1~5週齢の攻撃に対して有意の感染抵抗性を示した。
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平原 正, 安原 壽雄, 児玉 和夫, 中井 正久, 佐々木 文存
1987 年 49 巻 1 号 p.
85-93
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
1984年, 新潟県と大阪府下の2養豚場で, 発咳や鼻漏を呈する約3か月齢豚の気道から融合性の細胞変性を示すagent4株が分離され, マウス, ラット, ハムスターおよびニワトリの赤血球を凝集した。分離株はIUdRにより増殖を阻害されず, エーテル, クロロホルムおよび酸 (PH3.0) に感受性で, 220nmのフィルターを通過したが, 100nmのフィルターは通過しなかった。電子顕微鏡観察により, 直径約120~160nmのコロナウイルス様粒子を認めた。抗血清による交差中和試験では, 豚伝染性胃腸炎ウイルスとは反応せず, 牛コロナウイルスとは弱い反応を示し, 血球凝集性脳脊髄炎ウイルス (HEV) と強い交差を示した。以上の成績から, 分離株はHEVと同定された。2か月齢の仔豚と初乳未摂取2日齢仔豚に分離ウイルスを経鼻および経口接種したところ, 軽い発咳やくしゃみ, 鼻漏などを呈し, 気道および肺よりウイルスが回収され, HI抗体は7日目に最初に検出された。抗体分布調査では, 約3~4か月齢で陽性率が上昇する傾向がみられた。
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梅村 孝司, 佐藤 宏, 御領 政信, 板倉 智敏
1987 年 49 巻 1 号 p.
95-104
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
12例の子牛に見られた先天性および周産期小脳異常を形態学的に4型に分類した。12例中3例は皮質組織の異所結節あるいは1脳回に限局した顆粒およびプルキンエ細胞層の欠損などの軽微な組織奇形を示し, アカバネ病と診断された。他の2例では左右小脳半球における部分的な対称性組織欠損がみられた。別の3例および4例は, それぞれ小脳低形成および小脳変性を示し, 小脳低形成はウイルス性下痢症-粘膜病ウイルス感染によるものと考えられたが, 小脳変性の病理発生は一様ではなく, 周産期低酸素症あるいは脳室形成異常に基づく頭蓋内圧亢進によって惹起された症例が含まれるものと思われた。
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伊東 久男, 山田 純三, 山下 忠幸, 橋本 善春, 工藤 規雄
1987 年 49 巻 1 号 p.
105-114
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ブタの消化管における内分泌細胞の分布と出現頻度とを免疫組織化学的に検索し, 12種類の分泌細胞を同定した。胃には5-HT, ソマトスタチン, ガストリン, M-ENK-8, グルカゴンおよびBPP分泌細胞が確認され, 前4者は恒常的に存在し, いずれも幽門腺部に最も多数みとめられた。小腸には5-HT, ソマトスタチン, ガストリン, M-ENK-8, モチリン, セクレチン, CCK, GIP, ニューロテンシンおよびグリセンチン分泌細胞が恒常的にみとめられた。ニューロテンシンおよびグリセンチン分泌細胞は回腸に最も多かったが, その他の細胞は十二指腸に高頻度にみとめられた。また小腸にはグルカゴンおよびBPP分泌細胞もまれに観察された。大腸には5-HT, ソマトスタチンおよびグリセンチン分泌細胞が常にみとめられ, いずれも直腸で最も多く出現した。またモチリン, グルカゴンおよびBPP分泌細胞が大腸にもまれにみとめられた。以上の結果から, ブタの消化管内分泌細胞の分布様式は, ヒトのそれに類似することが示唆された。
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大石 勇, 片江 宏己, 早崎 峯夫, 多田 融右
1987 年 49 巻 1 号 p.
115-120
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
Ivermectinの犬糸状虫幼虫に対する殺虫効果を, 感染後30日虫齢の幼虫について検討した。Ivermectinの1回経口投与によって幼虫に対し確実な殺虫効果がある投与量は3μg/kg以上であり, 0.5, 1,2μg/kg投与量でも幼虫に対して用量依存性に不完全な殺虫効果が認められた。Ivermectin0.5, 1,2μg/kgを30日虫齢の幼虫に投与すると, 検出虫の性比 (雌虫/雄虫) は対照群より小さく, 明らかに雌虫の減少が認められた。また, 検出虫の平均体長も投薬群では1μg/kg群の雌虫を除き, 雌・雄虫ともに対照群より有意に短小であった。
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内藤 善久, 渡辺 栄次, 佐藤 れえ子, 村上 大蔵
1987 年 49 巻 1 号 p.
121-127
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
乳熱予防に用いられるビタミンD
3 (VD
3) 大量投与の乳牛VD
3代謝への影響を知るため, ホルスタイン種泌乳牛5頭に分娩後7日目にVD
3 1,000万I.U. (VD
3群) を筋注し, 血漿中のVD
3代謝産物25OHDおよび1,25 (OH)
2Dを中心に, Caと無機P濃度の推移をも投与後15日まで調べ, 4頭の無処置対照群と比較した。乳中のCaおよび無機P量におよぼす影響も同時に調べた。VD
3群における血漿25OHD濃度は持続的に上昇したが, 1,25 (OH)
2D濃度は投与初期にのみ一過性の著明な上昇がみられた。VD
3群の血漿Ca濃度は投与後2日から対照群に比較して有意に高かったが, 血漿無機P濃度は投与中期のみに上昇し, VD
3群の投与初期における血漿Ca濃度の上昇は, 血漿1,25 (OH)
2D濃度の上昇によって, その後は25OHD濃度の持続的上昇によって維持されているものと考えられた。また, VD
3の大量投与にかかわらず血漿1,25 (OH)
2D濃度については厳密な制御機構が働いていることが示唆された。
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津田 知幸, 徳井 忠史, 小野寺 節
1987 年 49 巻 1 号 p.
129-132
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
豚水胞病ウイルス自然感染豚中和抗体はVP1と反応したが, モルモットではSDS-PAGEにより分離されたVP2, 尿素庶糖密度匂配によって得られたVP1・VP3混合物およびVP2によって中和抗体が誘導された。VP1, VP2, VP3それぞれを注射されたモルモットではELISAによりウイルスに対する抗体産生がみられた。
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Haziroglu Rifki, 播谷 亮, 成田 實
1987 年 49 巻 1 号 p.
133-135
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
アカバネウイルスOBE-1株を哺乳マウスの脳内に接種し, 凍結組識とホルマルン固定組織について蛍光抗体法と免疫酵素抗体法を行なった。ウイルス抗原は壊死病巣周囲の神経細胞の細胞質, 特に核周囲に認められた。
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小沼 操, 西 英機, 岡田 洋之, 桐沢 力雄, 千早 豊, 川上 善三
1987 年 49 巻 1 号 p.
137-140
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ヒフ型ウシ白血病の腫瘍から, T細胞様性状を示し浮遊した状態で増殖するリンパ系細胞株を樹立した。この細胞は1,5年以上継代され, ヌードマウスに造腫瘍性を示したが, そのDNAにはウシ白血病プロウイルスは含まれていなかった。
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駒庭 英夫, 福所 秋雄, 清水 悠紀臣
1987 年 49 巻 1 号 p.
141-144
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
豚腎株化細胞CPK細胞を用いて, マイクロプレート法による豚伝染性胃腸炎ウイルス定量中和反応を確立した。この方法により測定した血清中和抗体価と, 従来用いられてきた豚腎初代培養細胞を用いた試験管法により測定された中和抗体価の間には高い相関 (r=+0.976) が認められた。
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石田 卓夫, 鷲巣 月美, 福岡 淳, 鳥谷部 一成, 内野 富弥, 本好 茂一
1987 年 49 巻 1 号 p.
145-149
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
猫伝染性腹膜炎ウイルス感染細胞を抗原として, 猫血清中の抗体価測定のためのマイクロプレートを使った酵素免疫測定法を開発した。猫伝染性腹膜炎発症例はすべて1:400以上の高い抗体価を示し, SPF猫は全例陰性 (1:25) 以下であった。蛍光抗体法による抗体価と本法による抗体価はよく一致した。
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沢田 拓士, 高橋 敏雄, 瀬戸 健次
1987 年 49 巻 1 号 p.
151-154
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
弱毒豚丹毒菌 (血清型2型) のブイヨン培養液を全培養液, 培養上清, 培養濾液, 菌体及び洗浄菌体に分画し, それらの免疫原性を検討した。各分画の原液あるいは濃縮ワクチンで免疫されたマウスは強毒株 (1a型) の攻撃に対して耐過生存した。各分画のマウス防御率は, 洗浄菌体で低かった他は, 明らかな差は認められなかった。濃縮ワクチンで免疫された豚は同様の抗体応答を示し, 攻撃に対してすべてが耐過生存したが, 培養濾液の免疫性が最も高いと思われた。
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三浦 昇, 仙波 裕之, 小川 博之, 佐々木 伸雄, 大石 秀夫, 大橋 文人, 竹内 啓, 臼井 和哉
1987 年 49 巻 1 号 p.
155-158
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
血腫形成, 粘膜の出血など, 種々の出血傾向を呈した6カ月齢のサラブレッド種雌馬について, 血液凝固検査および血小板機能検査を行ったところ, 血餅退縮が欠如し, いずれの濃度のADPにおいても血小板凝固が誘起されず, 血小板無力症と診断された。
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望月 雅美, 山川 睦
1987 年 49 巻 1 号 p.
159-160
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
101例のネコ糞便をヒトロタウイルス検出用逆受身血球凝集反応キットで検査した結果, 同腹の健康仔ネコ由来の3例が陽性を示し, 糞便内には多数のロタウイルス様粒子が観察され, 超微構造的特徴と抗牛ロタウイルス血清を用いた免疫電子顕微鏡法によりロタウイルスと考えられた。細胞培養によりウイルスは分離できなかった。
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佐々木 脩, 勝野 正則
1987 年 49 巻 1 号 p.
161-164
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
豚肺虫成虫由来の好酸球遊走因子 (ECF) に対する家兎抗血清を用いて, 豚肺虫雌成虫と3期幼虫体内におけるECFの局在を間接蛍光抗体法により検討した。ECFは成虫の消化管の筋層, 絨毛ならびに内容物と非収縮性の筋層部に, また, 幼虫の消化管と体筋層の一部に認められた。これらの事実からECFは虫体から容易に分泌され, 感染初期の好酸球増多の成因の一つであると考えられた。
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磯部 尚, 鈴木 恭
1987 年 49 巻 1 号 p.
165-167
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
Leucocytozoon caulleryi自然感染鶏血清において, ELISAは寒天ゲル内沈降反応に比べ, 非常に感度が高いことが示された。また, ELISA抗体価は変動するものの, 翌年の流行期まで陰転することはなかった。
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梅村 孝司, 河南 明孝, 御領 政信, 板倉 智敏
1987 年 49 巻 1 号 p.
169-171
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
7歳の雌雑種犬に脳原発リンパ芽球性リンパ肉腫が見られた。腫瘍病巣は, 細胞質にy-グロブリンを保有するリンパ芽球の集積からなり, 1側の小脳髄体, 小脳脚, および延髄背外側部に限局していた。
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宮岡 貞次, 津田 修治, 白須 泰彦
1987 年 49 巻 1 号 p.
173-175
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
イヌにおけるBPMCとフェンチオンの急性毒性における相互作用を肝のin vitro BPMC代謝との関連において調べた。フェンチオン150mg/kg (1/4最小致死量, MLD) 前処置後, BPMC100mg/kg (1/8MLD) 投与により4匹中2匹が死亡し, BPMCの中毒症状は延長された。肝ミクロゾームにおけるBPMCの代謝は, フェンチオンで抑制されたが, フェンチオン オキソンでは抑制されなかった。
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筒井 敏彦, 辻 淳子, 河上 栄一, 山田 陽一, 天野 正, 山内 亮
1987 年 49 巻 1 号 p.
177-179
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
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雄犬について, 出生時から性成熟 (48週齢) に至るまでの末梢血中androgenをRIA法によって測定した。androstenedioneは20-28週齢で平均0.27ng/mlであったが, その前後では, 約0.8ng/mlであった。5α-dihydrotestosteroneは, 全期間を通じて低く, 平均0.19ng/mlであった。26週齢からtestosteroneが急増して28週齢でピーク (平均2.38ng/ml)を示し, その後, かなり変動はあったが2ng/ml前後の高値を示した。
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斎藤 俊之, 竹野 一, 中村 滋, 上原 正人
1987 年 49 巻 1 号 p.
181-183
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
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ワラビ地下茎から単離したbraxin A
1をモルモットの腹腔内に1回投与したところ, 300及び600mg/kgの用量で膀胱に浮腫・出血性の変化を認め, 600mg/kgで投与後2日に血尿を観察した。
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二井 愛介, 中山 裕之, 井上 智, 藤原 公策
1987 年 49 巻 1 号 p.
185-189
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
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DEN投与後デキストラン鉄を負荷したICRマウスにTyzzer菌MSK株を接種すると, 壊死巣の多くは鉄陽性肝細胞領域に形成され, DEN処置により誘発された鉄陰性肝細胞領域の病巣は極めて少数であった。
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小長谷 勝利, 大木 与志雄
1987 年 49 巻 1 号 p.
191-193
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
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マレック病 (MD) 関連腫瘍表面抗原 (MATSA) 陰性, 転移性のMD腫瘍細胞株を移殖したひなにおいては, 血清IgMの減少および羊赤血球に対する特異的IgM PFC産性能の抑制が認められた。また, MD腫瘍細胞株移殖ひなの脾臓細胞を移殖したひなにおいても同様な免疫抑制が認められた。これらの結果から, MD腫瘍細胞株移殖ひなにおいては, 免疫抑制性リンパ球が優位になっていると考えられた。
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菱沼 貢, 高橋 芳幸, 金川 弘司
1987 年 49 巻 1 号 p.
195-197
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
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ホルスタイン種雌牛が正常な雌子牛の分娩後に無形無心体を排出した。この無心体は, 筋肉, 肺, リンパ節および骨組織などから構成されていた。無心体および雌子牛の染色体構成は60, XXで, 正常な雌の核型を示していた。
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大槻 公一, 山崎 浩一, 河岡 義裕, 坪倉 操
1987 年 49 巻 1 号 p.
199-201
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
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山陰地方に飛来する渡り鳥から分離したH7N7, H5N3, H2N2の亜型のトリインフルエンザウイルス5株を用いてマウス感染性を検討した。全株とも接種後ddYマウスの呼吸器 (肺及び気管) で増殖し, 接種後6日間以上連続してウイルスが回収され, マウス血清中のHI抗体の上昇も全株について認められた。斃死もしくは臨床症状を発現した例はなかった。
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播 英仁, 輿水 馨, 原澤 亮
1987 年 49 巻 1 号 p.
203-205
発行日: 1987/02/15
公開日: 2008/02/13
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日本各地におけるニワトリ由来ウレアプラズマの分布を調べる目的で, 1都13県82鶏群の計456羽のニワトリの口腔を検査したところ, 1都8県, 31鶏群の110羽 (22.6%) がウレアプラズマ陽性であった。ウレアプラズマの分離率は農家, 個人宅, 幼稚園, 小学校で飼育されているニワトリの方が, 専業養鶏場のニワトリより高率であった。1都8県に散在している11鶏群から分離された11株は代謝阻止試験によりすべて血清学的に均一な性状を示し, ヒト由来Ureaplasma urealyticum T960株およびウシ由来U. diversum A417株とは区別された。
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