抄録
羊赤血球をニワトリの静脈内に投与し, 脾臓における胚中心形成細胞の変化を超微形態学的に検索した。胚中心は大型リンパ細胞の集積とこれを囲む扁平な細網細胞の隔壁とからなり, 大型リンパ細胞は無数のポリゾーム, 正染色質に富む大型明調の核, 明瞭な核小体などが特徴であった。発達中の胚中心では, リンパ細胞は分裂, 増加して, 小型細胞となるが, 細胞内小器官にはほとんど変化がなく, 多数のポリゾームを有していた。胚中心は発達のピークに達した後, 退行過程に入りリンパ細胞は次第に萎縮し, 核, 細胞質が濃縮し, 空胞が増し, 細胞質突起が顕著になった。形成から退行に至る期間を通じて, 胚中心には形質細胞, 形質芽球はみられず, 胚中心でのリンパ細胞から形質細胞への変化はなかった。形質細胞は, 胚中心形成よりも早く赤脾髄に出現, 増殖して, 動脈周囲リンパ組識に接して集簇した。