抄録
ラットの妊娠16日~19日に子宮内胎仔の除脳 (脳を吸引除去し, 下垂体はそのまま残す) あるいは下垂体除去 (脳とともに下垂体も吸引除去) を行い, 2日後の甲状腺濾胞細胞の微細構造の変化を調べた。下垂体除去胎仔では, 対照と比べて甲状腺重量は減じ, 濾胞細胞の「核/細胞」面積比が増加し、「粗面小胞体/細胞質」面積比は減少した。濾胞細胞は扁平となり, 粗面小胞体は縮小し, 濾胞腔面の微じゅう毛が短縮した。除脳胎仔では, 対照と比べて, 濾胞細胞にはほとんど変化が見られなかった。以上の所見から, ラット胎仔の下垂体・甲状腺系は, 視床下部による支配を受けていないと考えられた。