-
石野 清之, 中沢 宗生, 松田 泉
1987 年 49 巻 3 号 p.
395-402
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
R. equiによる肺炎病変の推移を明らかにするために, R. equiを気管内接種された32頭のモルモットの肺を病理組織学的に検討した。接種による化膿性気管支肺炎は次のように推移した。接種後1日では, 充血, 奨液浸潤, 多核巨細胞とグラム陽性菌を貧食したマクロファージの軽い浸潤, 2-5日後では多数の好中球と食菌したマクロファージの浸潤, 6-10日後では壊死細胞の集積, 変性した好中球を貧食した単核細胞と少数の多核巨細胞の浸潤, 12-16日後では正常肺胞にかこまれた単核細胞の小集積巣が見られた。R. equiを感染させたモルモットの肺病変は子馬の病変より修復傾向が強かった。
抄録全体を表示
-
石垣 克至, 児玉 洋, 林 恭行, 見上 彪, 伊澤 久夫, 鈴木 聡, 実吉 峯郎
1987 年 49 巻 3 号 p.
403-410
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
サケ科魚類由来ヘルペスウイルス (H-83株およびOncorhynchus masouウイルス (OMV) OO-7812株) の病原性および感染魚における抗体産生を調べた。H-83株はヤマメおよびニジマスの1年魚には病原性を示さず低い中和抗体産生がみられ二次免疫応答が観察されたが, 稚魚には致死的であった。OO-7812株はヤマメおよびギンザケに致死的であり, ギンザケにおいては眼および口腔内外に腫瘍を形成し, ウイルス分離成績から標的臓器は肝臓と推測された。両ウイルスをin vitroで継代することによりヤマメ稚魚に対する病原性は低下した。
抄録全体を表示
-
岡田 洋之, 千早 豊, 松川 清, 黒沢 隆, 高橋 清志, 其田 三夫
1987 年 49 巻 3 号 p.
411-418
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
発症から94日目に, 心臓のリンパ肉腫により斃死した2歳の皮膚型白血病牛1例を病理学的に検索した。初期には蕁麻疹が頚部, 肩部, 背部および下腹部に現れ, 発疹は次第に大きくなり, 全身に500個以上の丘疹および結節が認められたが, その後自然に脱落あるいは退縮した。剖検時, ほとんどの内臓諸器官ならびにリンパ節に腫瘍細胞の浸潤があった。病理組織学的に真皮で増殖した腫瘍細胞が表皮に浸潤, ついで表皮外ヘ排出される所見を得た。腫瘍病巣内では大食細胞による腫瘍細胞の貧食が認められた。退縮病巣では囲管性にリンパ球様細胞の浸潤が認められた。電顕的に腫瘍細胞の多くに集合性ライソゾームが認められた。
抄録全体を表示
-
江口 保暢, 白井 明志, 有嶋 和義, 山本 雅子, 植田 安寛
1987 年 49 巻 3 号 p.
419-426
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ラットの妊娠16日~19日に子宮内胎仔の除脳 (脳を吸引除去し, 下垂体はそのまま残す) あるいは下垂体除去 (脳とともに下垂体も吸引除去) を行い, 2日後の甲状腺濾胞細胞の微細構造の変化を調べた。下垂体除去胎仔では, 対照と比べて甲状腺重量は減じ, 濾胞細胞の「核/細胞」面積比が増加し、「粗面小胞体/細胞質」面積比は減少した。濾胞細胞は扁平となり, 粗面小胞体は縮小し, 濾胞腔面の微じゅう毛が短縮した。除脳胎仔では, 対照と比べて, 濾胞細胞にはほとんど変化が見られなかった。以上の所見から, ラット胎仔の下垂体・甲状腺系は, 視床下部による支配を受けていないと考えられた。
抄録全体を表示
-
寺西 永, 清水 晃, 河野 潤一, 木村 重
1987 年 49 巻 3 号 p.
427-432
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
滲出性表皮炎羅患豚, 健康豚, 健康牛, 健康鶏から分離したStaphylococcus hyicus subsp. hyicus計212株の化学療法剤21種類に対する感受性とペニシリナーゼ産生性について検討した。豚由来の124株中92株 (74.2%) が, いずれかの薬剤に耐性であった。耐性株のうち1剤耐性27.2%, 多剤耐性 (2~5剤) 72.8%であった。多剤耐性のうち主要なものはPCG・TC・OL・LCM・KM型, OL・LCM型, PCG・TC型, TC・OL・LCM型であり, 多剤耐性株の80.6%を占めた。牛由来は34株中5株 (14.7%) が耐性で, 1剤耐性2株, 多剤耐性 (2~3剤) 3株であった。鶏由来は54株中8株 (14.8%) が耐性で, 1剤耐性7株, 6剤耐性1株であった。以上のように, 豚由来株は牛および鶏由来株に比べて耐性株が多く, しかも多剤耐性化の傾向を示した。また, 豚由来の47株 (37.9%) のみがペニシリナーゼを産生した。
抄録全体を表示
-
小山 弘之, 国田 智, 上原 尚子, 斉藤 博
1987 年 49 巻 3 号 p.
433-437
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ウシ胸腺細胞を免疫原としてウシ胸腺皮質領域と反応するモノクローナル抗体 (MoAb) 3種を作出した。いずれのMoAbも膜蛍光抗体法において胸腺細胞の70%と反応したが末梢血単核球, リンパ節, 脾臓および骨髄の単個細胞とは反応せず, また, 胸腺型および仔牛型白血病腫瘍細胞とも反応しなかった。
抄録全体を表示
-
大石 勇, 片江 宏巳, 早崎 峯夫, 中垣 和英, 多田 融右
1987 年 49 巻 3 号 p.
439-445
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
犬糸状虫感染予防に用いるivermectinの有効投与量と投与計画を決定するため, 感染後1, 30, 60日の幼虫に対するivermectin3, 6μg/kg投与の抗幼虫効果を検討した。3μg/kgでは, 感染後1日の投与で全例が感染し, 平均感染率21.9%であった。30日後の投与では1/6頭に雄虫1匹が検出され平均感染率は0.1%であり, 60日後投与では3/6頭に虫が検出され, 平均感染率は4.0%であった。この成績から, 3μg/kgの投与では感染後1, 30, 60日の幼虫に対して殺虫効果が不確実であり, 1, 2カ月間隔での予防投薬には不適であることがわかった。6μg/kgを感染後1日に投与すると, 5/6頭に少数の虫が検出され, 平均感染率5.7%であった。しかし, 30, 60日後投与の両群には虫は検出されなかった。この成績から, 6μg/kg1回経口投与は感染後1日の幼虫に対して効果が不確実であるが, この投与量を感染開始後1カ月から終了後1カ月の期間, 1カ月間隔で月に1回投与すれば, 随時自然感染する幼虫は完全に殺滅され, 確実な予防効果が得られると推定された。
抄録全体を表示
-
中井 裕, 扇元 敬司
1987 年 49 巻 3 号 p.
447-452
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
Eimeria tenellaのsporozoiteを種々の温度で培養し, アミロペクチン含有量が異なるサンプルについて感染性を調べた。sporozoiteを0, 29, 37, 41℃で16時間培養すると高温培養では低温培養にくらべてアミロペクチン含有量及びひな腎培養細胞侵入率の低下が著しく, また, sporozoiteのアミロペクチン含有量と細胞侵入率の間に高い相関が認められた。41℃培養では虫体内のアミロペクチンはほとんど消失し, 大部分は運動を停止した。41℃で培養したsporozoiteを鶏胚に接種すると, 脱殻直後のsporozoite接種時と比較して, 致死率, oosyst産生ともに低い値を示した。以上の成績から, アミロペクチンはsporozoiteの生存, 運動, 宿主細胞への侵入, 増殖などにおいてエネルギー源となり, 感染性に重要な役割を果していると考えられた。
抄録全体を表示
-
山田 學, 松下 博治, 椙江 勇
1987 年 49 巻 3 号 p.
453-460
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ニワトリ体内での血栓溶解機能と, ニワトリ心臓から粗抽出して得た組織プラスミノーゲン・アクチベーター (t-PA) による外因系線溶の活性化について検討した。ニワトリ皮下に包埋したニワトリ血液凝塊あるいはトロンビン注射による血栓は速やかに消退した。ニワトリ新鮮心臓抽出液にはt-PA活性を認めたが, 62.5mM MgSO
4抽出液とニワトリのプラスミノーゲン (Plg) とを混合して37℃4時間の加温後, CaCl
2を加えたときにt-PA活性は最も強かった。EACAはこの反応系におけるPlg活性化に対する阻止効果が大きかった。以上からニワトリは, 血栓除去機能とt-PA活性化による線溶機構とを有していることが示唆された。
抄録全体を表示
-
津田 知幸, 難波 功一, 山崎 康人, ニルチャベ S., パタナプラシット N., シンチョンスボンコイ W., 小野寺 節
1987 年 49 巻 3 号 p.
461-468
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ロ蹄疫ウイルス蛋白のサブユニット中, 中和抗体産生抗原で, ワクチンの有効物質である140S粒子を, ロ蹄疫ウイルス不活化抗原から分離・精製し, 単純放射免疫拡散 (SRID) 法により定量した。高度免疫モルモット血清を用いると, 140S粒子とともにワクチンに含まれる12S蛋白により, 140S粒子の反応が影響された。これに対して感染耐過ウシ血清を用いたSRID法では, 140S粒子のみが定量され, 12S蛋白の混入があっても影響はなかった。140S粒子のSRID値は, 光電比色測定値および補体結合反応測定値と相関した。この方法は口蹄疫不活化ワクチンの有効性の測定や力価検定に有用と思われた。
抄録全体を表示
-
石川 濶
1987 年 49 巻 3 号 p.
469-475
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
乳牛の周産期における免疫能を把握するため, 分娩前後の血清IgG濃度およびコルチゾール濃度について, リンパ球幼若化能とTリンパ球数の変動を中心に検討した。また, 仔牛についてもそのリンパ球幼若化能とTリンパ球数の推移を出生直後から5週齢まで経時的に観察した。分娩を契機としてリンパ球幼若化能, Tリンパ球数および血清IgG濃度は低下し, 回復は分娩後約3週間であった。一方, 血清コルチゾール濃度は分娩時に有意に高くリンパ球機能低下に何らかの影響を与えているものと考えられ, 仔牛の出生時, リンパ球幼若化能およびTリンパ球数はすでに成牛の水準に近いことが示唆された。
抄録全体を表示
-
内藤 善久, 佐藤 行, 佐藤 れえ子, 谷口 和之, 村上 大蔵
1987 年 49 巻 3 号 p.
477-483
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
乳牛の分娩性低Ca血症の予防に関して, 1α-hydroxyvitamin D
3 (1αOHD
3) の泌乳牛に対する効果を調べた。分娩後1.5~3.4カ月のホルスタイン種泌乳牛5頭 (1αOHD
3群) にエタノール3mlに溶解した1αOHD
3500μgを筋肉注射し, 投与後14日まで血漿1,25 (OH)
2D濃度と無機成分の推移を6頭の対照群と比較観察した。投与群の1,25 (OH)
2D濃度は投与後6時間 (123.3pg/ml) 以降対照群に比較して有意に高く, 投与後2日では最高値 (307.1pg/ml) に達し, その後は低下して投与後10日には24.2pg/mlであった。投与群の血漿総Ca濃度は, 投与後2~7日 (10.6~10.9mg/dl) まで対照群に比較して有意に高かった。投与群のイオン化Ca濃度は, 対照群のそれに比較して投与翌日から上昇し, 投与後3日に最高値に達し, 14日には低下した。これらの成績から, 分娩性低Ca血症の予防のための1αOHD
3500μg1回筋肉注射は, 分娩前2~5日に行うのが適当と考えられた。
抄録全体を表示
-
北川 均, 佐々木 栄英, 鋤柄 卓夫, 石原 勝也
1987 年 49 巻 3 号 p.
485-489
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
肺動脈から犬糸状虫の移動をひきおこす血流動態の変化を検討する目的で, 全身麻酔下の犬糸状虫寄生犬にmilbemycin D (Milbe) を投与した後, 右心室圧, 肺動脈圧及び右心拍出量を測定した。Milbe投与50~100分後, 6例中4例において, 糸状虫は肺動脈から三尖弁口部及び右心房に移動した。Milbe投与後, 心拍数は一時的に増加したが, その後除々に減少した。糸状虫移動例では, 収縮期右心室圧と平均肺動脈圧は一定の変化を示さなかったが, 右心拍出量は糸状虫移動前に明瞭に減少した。1回拍出量 (右心拍出量/心拍数), 心指数 (右心拍出量/体重)及び拍出量指数 (1回拍出量/体重) も糸状虫移動例では減少した。肺動脈から右心房方向への糸状虫の移動には, 右心系の血流量と血流速度の低下が関与するように推察された。
抄録全体を表示
-
長野 秀樹, 宝達 勉, 土本 まゆみ, 井出 誠弥, 山上 正, 山岸 郭郎, 藤崎 優次郎
1987 年 49 巻 3 号 p.
491-497
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
精製ウイルスをトライトンX-100で可溶化したものを抗原とするELISA法により中和試験でほとんど交差性がみられなかったB42株 (マサチューセッツ型), グレイ株 (デラウェア型) およびA5968株 (コネチカット型) の3株間に強い交差反応がみられた。ELISA法ではB42株は血清学的に相互に異なると思われている上記3株以外の8株と強く反応し, 鶏血清のB42株に対するELISA抗体価は中和抗体価と平行して推移した。
抄録全体を表示
-
金内 長司, 宍戸 賢治, 渋谷 正樹, 山口 幸博, 尾形 学
1987 年 49 巻 3 号 p.
499-506
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
神奈川県動物保護センターに収容された成猫144例および子猫449例, 合計593例の結腸あるいは直腸内容物についてthermophilic Campylobacter, YersiniaおよびSalmonellaの検出ならびに分離菌株の生化学的あるいは血清学的性状試験を行なった。51例 (8.6%) からthermophilic Campylobacter, 12例 (2.1%) からYarsinia, 8例 (1.4%) からSalmonellaが検出された。成猫における3菌種の検出率はそれぞれ9.0, 5.8, 2.1%であり, 子猫ではそれぞれ8.5, 0.9, 1.1%であった。Yarsiniaは子猫よりも成猫から高率に検出された。Campylobacter分離菌64株はC. jejuni (48株) とC. coli (16株) に同定された。Yersinia分離菌12株はY. enterocolitica (6株), Y. frederiksenii (5株) およびY. pseudotuberculosis (1株) に同定された。Y. entrocolitica6株の生物型 (Wauters) は1型 (5株) および2型 (1株) であり, 血清型は06 (1株), 07 (1株), 014 (1株) および不明 (3株) で, ヒトに病原性を持つ血清型は分離されなかった。Salmonella分離菌8株はすべてS. choleraesuis subsp. choleraesuisと同定され, その血清型はagona (3株), blockley (3株), braenderup (1株) およびtyphimurium (1株) であった。
抄録全体を表示
-
松岡 俊和, 飯島 雄二, 桜井 健一, 栗原 富男, 鴻巣 泰, 田宮 和枝, 沖 三雄, 播谷 亮, 今田 忠男
1987 年 49 巻 3 号 p.
507-510
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
牛と豚を同時に肥育している1農家の牛2頭及び酪農家の乳牛1頭が, 著しい流延を示し, 2頭には, 掻痒症が認められ発症後各々約2, 7, 10時間で死亡した。脳 (3/3), 扁桃 (2/2), 掻痒部皮膚 (1/2) から豚腎株化細胞の円型化を示すウイルスが分離され中和試験及び蛍光抗体法によりsuid herpesvirus 1と同定された。全例に共通して非化膿性脳炎と神経細胞における核内封入体が観察された。これらの所見から, わが国で最初の牛のオーエスキー病と診断され, 血清学的に当該地域の豚群の間でウイルスの伝播があったことが明らかとなった。
抄録全体を表示
-
田中 まゆみ, 中村 政幸, 加藤 行男, 大前 憲一, 野川 浩正, 小川 益男
1987 年 49 巻 3 号 p.
511-513
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
野鳥, カモシカおよび環境由来Yersinia enterocolitica 67株について, プラスミドの保有状況とその病原性との関連を調べた。23株がプラスミドを保有していたが, その大きさは様々で, 病原性に関与しているものは認められなかった。なお, 4株からは, 病原性株の有するプラスミドと同じ大きさのプラスミド (約44メガダルトン) が検出されたが, それらの制限酵素による切断パターンは, いずれも病原性株のものとは異なっていた。
抄録全体を表示
-
川合 是彰, 高田 博, 湯浅 啓史, 山村 高章, 乾 俊秀, 岡庭 梓
1987 年 49 巻 3 号 p.
515-518
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
肉眼的に塊状および嚢胞状を呈した腎孟腫瘍を病理学的に検索した。光顕的に腫瘍細胞は大型多角ないし紡錘形で結合組織間に集族していた。腫瘍の塊状部では変性した糸球体や尿細管が, 嚢胞部では内腔を内張りする移行上皮に似た細胞の増生がみられた。電顕的に腫瘍細胞はトノフィラメントを有し, 少数のデスモゾームによって互に接していた。以上の所見から, 本腫瘍は腎孟粘膜原発の移行上皮癌と診断された。
抄録全体を表示
-
柳澤 利彦, 畔高 政行, 美土路 活男, 高橋 令治, 藤原 公策, 澤 邦彦
1987 年 49 巻 3 号 p.
519-522
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
全身臓器の出血・壊死を特徴とし, 細菌感染を伴う同腹仔犬の急性致死性ヘルペスウイルス感染症について病理学的に観察した。壊死巣周囲の変性細胞に, 好酸性あるいは好塩基性の核内および細胞質内封入体がみられ, 電顕で封入体内にウイルス粒子が認められた。腎・肺などから犬ヘルペスウイルスおよび大腸菌が分離された。
抄録全体を表示
-
小材 幸雄, 小茂田 匡史, 糸井 浩, 小泉 俊二, 小河 孝, 窪道 護夫, 畠山 英夫
1987 年 49 巻 3 号 p.
523-525
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
1984~85年にかけて群馬県内での一連のニューカッスル病発生中に発症したレース用ハトから中等毒, ブロイラー鶏およびキジから強毒のニューカッスル病 (ND) ウイルスが分離された。これらのウイルスに対するNDワクチンB1株の防御効果を30日齢ひなを用いて測定したところ, ワクチン接種ひなはいずれも分離株の攻撃に対して耐過し, かつ抗体価の変動も認められなかった。
抄録全体を表示
-
池田 輝雄, 田渕 清, 代田 欣二, 宇根 ユミ, 野村 靖夫
1987 年 49 巻 3 号 p.
527-530
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
4才ホルスタイン種牛に多発性前胃潰瘍を認め, 組織学的に無隔菌糸を伴う壊死, 化膿性血管病変が認められた。病変部培養で速やかに発育する白色綿毛状集落が認められ, 形態観察では胞子嚢柄基部の仮根, 球状の胞子嚢および中軸, アポフィスの痕跡が観察され, 原因菌は集落, 菌形態及び発育温度から, Rhiqopus microaporus var. microsporus Schipper and Stalpers 1984と固定された。
抄録全体を表示
-
扇谷 年昭, 岡部 達二, 佐々木 文存
1987 年 49 巻 3 号 p.
531-534
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
牛のタイレリア病の血清学的診断用に, 精製したTheilrria sergentiから3種のELISA抗原を抽出し, 抗原性状を検討したところELISAに於て最も良好な反応性を示したのはNonidet P-40による可溶化抗原であった。抗体により認識される抗原を高度免疫牛血清とのwestern blotting法で, 解析したところ, 主たる抗原は分子量32,000の蛋白質であった。
抄録全体を表示
-
清水 幹夫, 山本 純也, 阪野 哲也, 清水 健
1987 年 49 巻 3 号 p.
535-537
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
P. multocida (莢膜血清型D, 壊死毒素産生 (DNT
+)) をUVおよびニトロソグアニジン処理して温度感受性変異株を分離した。これらの変異株は高温培養で長い菌形を示し, マウスの致死毒性および壊死毒性は親株に比べて著しく低かった。変異株の一部はマウスに対して親株の攻撃に対する強い防御能を与えた。
抄録全体を表示
-
恩田 千景, 長谷川 篤彦, 友田 勇
1987 年 49 巻 3 号 p.
539-542
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
Cryptococcus neoformansの分芽胞子について, 莢膜の厚さの違いによる微細構造の差異を観察した。莢膜の厚い胞子では薄い胞子にくらべて透明層が明瞭で, 形質膜は屈曲に富み, ミトコンドリアや小胞体が豊富であった。莢膜の厚い胞子には, 多形性の細胞質内膜構造がしばしば観察され, いわゆるplasmalemmasomeあるいはlomasomeと考えられた。
抄録全体を表示
-
鈴木 勝士, 橋本 信一郎, 今道 友則, 内野 富弥, 本好 茂一
1987 年 49 巻 3 号 p.
543-546
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
超音波エコー画像診断法により, ラットにおける重篤な嚢胞状水腎症 (タイプI) と腎孟の拡張あるいは髄質消失をともなう軽度の水腎症 (タイプII) と, 臨床的に鑑別ができた。超音波エコー画像診断での計測値は, 剖検時の腎の三方向計測値とよく相関した。
抄録全体を表示
-
安藤 義路, 横木 勇逸, 門田 耕一
1987 年 49 巻 3 号 p.
547-550
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
5歳のデュロック種, 雌豚2頭の卵巣に, 海綿状または毛細血管性の血管腫が認められた。紫外線写真では普通写真に比べ, 腫瘍組織と卵巣組織の構造がより明瞭であった。腫瘍細胞の超微形態から, 卵巣血管腫は過誤腫よりもむしろ真の腫瘍であることが示唆された。
抄録全体を表示
-
千葉 修一, 岡田 幸助, 沼宮内 茂, 大島 寛一
1987 年 49 巻 3 号 p.
551-554
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
馬の濾胞上皮由来甲状腺濾胞状癌の1症例について病理学的に検索した。腫瘍組織は不規則な嚢胞様の濾胞の増殖と豊富な間質から成っており, 電子顕微鏡的検索では発達した粗面小胞体, 微絨毛, デスモゾームが観察された。抗力ルシトニン抗体を用いた免疫組織学的染色により腫瘍組織にはカルシトニン顆粒を持つ旁濾胞細胞は認められなかった。本例は下垂体中間部の腺腫を併発していた。
抄録全体を表示
-
スパサート アピナン, 藤岡 俊健
1987 年 49 巻 3 号 p.
555-557
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ニワトリ食道腺の粘液細胞には, 中性および硫酸とシアル酸残基を含む酸性糖質がみられた。レクチンを用いて検討したところ, 複合糖質にはα-D-glucose, α-D-mannose, β-D-galactoseとN-acetyl-D-glucosamine残基および末端位のgalactose-(1-3)N-acetylgalactosamine二糖が認められた。
抄録全体を表示
-
吉原 忍, 中川 迪夫, 須田 宏
1987 年 49 巻 3 号 p.
559-561
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
改良補体結合反応直接法によって, 豚回虫抗原に対する抗体をすべての実験感染豚から検出した。この抗体の力価は1:4から1:32の範囲であった。野外の肝白斑発症豚155例について, 同反応を実施したところ, 74例 (48%) が陽性であった。また, 小腸に豚回虫を保有していたものは, 155例中5例であった。
抄録全体を表示
-
望月 雅美, 杉浦 里津子, 阿久沢 正夫
1987 年 49 巻 3 号 p.
563-565
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
イヌコロナウイルス5821株を用いた微量中和試験 (MNT) により, イヌ・ネコのコロナウイルス抗体検出を試みたところ, 信頼性と鋭敏度について, プラック減数中和試験に比較して遜色なく, 広く応用できることがわかった。
抄録全体を表示
-
田島 誉士, 藤永 徹, 小池 寿男, 岡本 芳晴, 大友 勘十郎
1987 年 49 巻 3 号 p.
567-570
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
エチジウムブロマイドを用いてウマ末梢血リンパ球幼若化機能検査法を検討した。その反応条件を設定するとともに, 本法の有用性を検討するためトリチウムーチミジン取り込み法と比較したところ, 両者に高い正の相関関係が認められ, 本法はウマにおいて有用であると考えられた。
抄録全体を表示
-
土屋 耕太郎, 笠岡 達彦, 畔高 政行, 高橋 英司, 小西 信一郎
1987 年 49 巻 3 号 p.
571-573
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
CRFK細胞を用いることにより, 3株のイヌコロナウイルス (1-71株, 戸田株, 5821株) はウイルス接種後2日で明瞭なプラックを形成し, 接種ウイルス量とプラック数の間には正の相関関係が成立し, 再現性が高く, 簡便な定量法が確立された。本法が中和試験に応用できることも確められた。
抄録全体を表示
-
浅野 隆司, 保刈 成男
1987 年 49 巻 3 号 p.
575-576
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
Percollのdiscontinuous gradientsを用いた密度勾配遠心法によって, ウシ赤血球を5分画に分離し, 各分画についてグルコース-6-リン酸脱水素酵素, ピルビン酸キナーゼ, 乳酸脱水素酵素の活性を測定した。比量の低い分画ほど, 各酵素活性は高値を示した。
抄録全体を表示
-
古岡 秀文, 谷山 弘行, 松井 高峯, 高橋 俊之, 一条 茂, 小野 威
1987 年 49 巻 3 号 p.
577-579
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
胸腔ならびに腹腔内に多数の転移巣がみられた馬の上皮優勢型の悪性胸腺腫について病理形態学的検索を行った。腫瘍病巣はよく発達した給合組織で分割された多分葉構造を示し, 多数のリンパ球浸潤を伴っていた。腫瘍細胞は細胞質に富む円形あるいは楕円形の上皮性細胞で角化傾向を示し, 各所にHassall小体様構築物を形成していた。
抄録全体を表示
-
井上 智, 岡田 信彦, 美土路 活男, 中山 裕之, 高橋 令治, 藤原 公策
1987 年 49 巻 3 号 p.
581-583
発行日: 1987/06/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
馬の左肺に原発した顆粒細胞腫の1例について病理組織学的に検索した。腫瘍細胞は細胞質内にPAS陽性 (ジアスターゼ抵抗性), 抗ウシS100蛋白抗体に反応, 抗ヒト・ミオグロビン抗体に反応しない顆粒を豊富に持ち, 一部で限界膜に包まれた高電子密度の無構造均質な針状結晶を含んでいた。
抄録全体を表示