1987 年 49 巻 5 号 p. 771-777
コロイダルカーボン, ヤギまたはラット赤血球をニワトリに静注後, 肝臓を経時的に採取し, 光顕および電顕的に観察した。カーボン投与5分後にKupffer細胞は大量のカーボン粒子を取り込み, 1-3日後には洞様毛細血管壁を離れ, Disse腔あるいは小葉間結合組織内に常在するTリンパ球集簇領域に移動し, 21日後までリンパ球集簇内に留っていた。赤血球を取り込んだKupffer細胞も1日後にはリンパ球集簇領域に移動した。洞内皮細胞は少量のカーボンを取り込むが, 赤血球の取り込みや洞壁から移動する所見は得られなかった。ニワトリのKupffer細胞が貧食後Tリンパ球集簇領域に移動する現象は食細胞とTリンパ球の相互作用にある役割を演じているものと推察された。