日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
Print ISSN : 0021-5295
ISSN-L : 0021-5295
コロイダルカーボンおよび赤血球を投与したニワトリ肝臓におけるリンパ球集簇内へのKupffer細胞の集積
杉村 誠鈴木 義孝阿閉 泰郎橋本 善春
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 49 巻 5 号 p. 771-777

詳細
抄録

コロイダルカーボン, ヤギまたはラット赤血球をニワトリに静注後, 肝臓を経時的に採取し, 光顕および電顕的に観察した。カーボン投与5分後にKupffer細胞は大量のカーボン粒子を取り込み, 1-3日後には洞様毛細血管壁を離れ, Disse腔あるいは小葉間結合組織内に常在するTリンパ球集簇領域に移動し, 21日後までリンパ球集簇内に留っていた。赤血球を取り込んだKupffer細胞も1日後にはリンパ球集簇領域に移動した。洞内皮細胞は少量のカーボンを取り込むが, 赤血球の取り込みや洞壁から移動する所見は得られなかった。ニワトリのKupffer細胞が貧食後Tリンパ球集簇領域に移動する現象は食細胞とTリンパ球の相互作用にある役割を演じているものと推察された。

著者関連情報
© 社団法人 日本獣医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top