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八木 行雄, 古内 進, 清水 真也
1987 年 49 巻 5 号 p.
745-750
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
T. sergenti人工感染摘脾牛3頭から得られた血液について, パーコール・コンレイ密度勾配遠沈を行ないT. sergenti寄生赤血球の分離を試みた。T. sergenti感染牛にデキサメサゾンを投与することにより寄生赤血球数は増加し, 投与開始後, 22日以内に39.9%に達した。密度勾配遠沈により, 寄生赤血球は低比重の分画で著しく増加し, 遠沈前の平均2.1倍 (最大寄生率64.8%) に達した。
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筒井 敏彦, 辻 淳子, 河上 栄一, 山田 陽一, 天野 正, 山内 亮, 小笠 晃
1987 年 49 巻 5 号 p.
751-755
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
継代繁殖した雄ビーグル17頭について, 12-102週齢の13段階で各1-2例の血液中androstenedione (A), 5α-dihydrotestosterone (DHT), testosterone (T) をRIA法によって測定し, androgenの日内変動を検討した。Aについては, 全期間を通じてあまり動きは認められず, 12-24週齢で1ng/ml以下, 26週齢では0.1ng/ml前後であった。約半数例では28週齢以後は日内を通じて1ng/ml前後の低値を保ち, 他の半数ではTに呼応して変動した。DHTは12-26週齢では0.1ng/ml前後で動きは認められず, 28週以後では半数例がAと同じ動きを示した。12-24週齢ではTは1ng/ml以下であったが, 顕著な精巣発育を示す26-30週齢では, 高値 (3ng/ml前後) と低値との間には2ng前後の差があり, かなりの日内変動が認められた。32週齢以後では変動幅が3ng以上となったが, 一定のリズムは認められず不規則であった。
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野牛 一弘, 太田 修一
1987 年 49 巻 5 号 p.
757-763
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
鶏伝染性気管支炎ウイルス抗原のELISAによる検出の確立を図るために, 発育鶏卵継代株を用いて基礎検討を行い, 以下の成績を得た。ウイルス中和法で株特異性が強く認められたM41株とA-5968株及びL
2株の間で高い交差反応性が認められた。10
1・8EID
50のM41株を接種された発育鶏卵および鶏から採取した尿膜腔液および気管乳剤から, ウイルス感染価が10
6.0EID
50以上になった接種3日目から, ELISAにより抗原が検出された。陰性の対照のNDVB 1株感染尿腔液及びSPF卵尿腔液の反応は微弱で, 陽性対照に比して明らかな差が認められた。以上の成績から, 本法はIBV実験感染材料からIBVを分離確認する際の正確かつ迅速な手段であるものと考えられた。
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平沢 勉, 林 俊春, 小西 信一郎
1987 年 49 巻 5 号 p.
765-770
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
チミジン処理により同調したCRFK細胞にイヌ・パルボウイルス (CPV) を接種し, 経時的に電顕観察した。接種12時間後にはクロマチンの辺在化ならびに核小体の変形が認められ, 18時間後には, 感染細胞の核は多形性を呈し核内に径約20nmのウイルス粒子が小集団をなして出現した。48時間後には細胞核の変形が目立ち, 細胞質に多数の空砲が出現し, 核内には散在性粒子はまれでウイルス粒子の大集団が認められた。48および72時間後に変性の進んだ細胞質において認められたウイルス粒子は, 基質中に散在または集団を形成し, 膜性構造物に付着するものもあった。以上の所見から, CPVは感染CRFK細胞の核内で組み立てられ, ついで細胞質ヘ移動すると考えられた。
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杉村 誠, 鈴木 義孝, 阿閉 泰郎, 橋本 善春
1987 年 49 巻 5 号 p.
771-777
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
コロイダルカーボン, ヤギまたはラット赤血球をニワトリに静注後, 肝臓を経時的に採取し, 光顕および電顕的に観察した。カーボン投与5分後にKupffer細胞は大量のカーボン粒子を取り込み, 1-3日後には洞様毛細血管壁を離れ, Disse腔あるいは小葉間結合組織内に常在するTリンパ球集簇領域に移動し, 21日後までリンパ球集簇内に留っていた。赤血球を取り込んだKupffer細胞も1日後にはリンパ球集簇領域に移動した。洞内皮細胞は少量のカーボンを取り込むが, 赤血球の取り込みや洞壁から移動する所見は得られなかった。ニワトリのKupffer細胞が貧食後Tリンパ球集簇領域に移動する現象は食細胞とTリンパ球の相互作用にある役割を演じているものと推察された。
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後藤 直彰, 堤 嘉隆, 佐藤 昭夫, 藤原 公策
1987 年 49 巻 5 号 p.
779-786
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
マウス肝炎ウイルスJHM株のプラック変異株JHM-1aおよびJHM-2cのマウスの中枢神経系に対する病原性について検討した。両変異株10
4PFUを4週齢ICRマウスに接種するとJHM-1a接種マウスは接種後7日以内に30%が斃死し, 脳のウイルス価は親ウイルスJHM株のそれに近い高い価を示した。JHM-2c接種マウスは全例生残し, ウイルス価も低かった。JHM-1a感染初期には, マウスは軽度の脳脊髄炎を示し, ウイルス抗原は神経細胞および希突起膠細胞に分布していた。神経細胞と希突膠細胞の融合も認められた。JHM-2c接種マウスでは病変は著しく軽度で, ウイルス抗原は主として希突起膠細胞にみられた。両変異株感染希突起膠細胞の細胞質に顆粒集合物状の封入体形成を認めた。接種4週後では, 両変異株接種マウスで希突起膠細胞にウイルス抗原が検出され, 脱髄も観察された。
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金内 長司, 今泉 尚志, 杉山 容子, 小迫 芳正, 関 昌子, 伊藤 武, 尾形 学
1987 年 49 巻 5 号 p.
787-794
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ユリカモメおよびウミネコの新鮮糞便17O例について, thermophilic Campylobacternoの検出ならびに分離菌株の生化学的性状およびDNA-DNA交雑試験による同定を行った。Thermophilic Campylobacterの検出率は直接分離培養法で6.5% (11例), 増菌分離培養法で29.4% (50例), 全体として30.0% (51例) であった。4種の増菌分離培養法のうちでは, Preston培地を用いる方法において最も高い検出率18.8% (32例) が得られた。分離株はC. jejuni, C. coliおよびC. laridisに同定され, 検出率はそれぞれ14.1% (24例), 7.6% (13例), および9.4% (16例) であった。C. laridisの基準株 (JCM2530
T) および分離株 (R-237) に対する上記3菌種のDNA相同値はそれぞれ12~19, 10~17および75~99%で, カモメ由来のナリジキシン酸耐性 (30μg/ml<) 株は, DNA-DNA交雑試験の成績からも, C. laridisと同定された。
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柳沢 順子, 金子 賢一, 林谷 秀樹, 小川 益男
1987 年 49 巻 5 号 p.
795-799
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
Yersinia enterocolitica03菌に対する定量的経口免疫法を検討するために, 同菌のホルマリン死菌を用いて投与回数, 投与菌量および投与間隔を変えて最適条件を検討した。(1) 総菌量500mgまたは, (2) 同250mgを1週間隔で3回に分けて経口投与, あるいは, (3) 同250mgを4日間隔で3回に分けて経口投与するといずれのマウス群でも100%の腸管定着阻止率を示した。(3) の方法によって経口免疫されたマウスについて, 経時的に生菌攻撃を行って免疫の持続期間を検討したところ, 最終死菌投与後6カ月において腸管定着阻止率の有意な低下が認められた。
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葛野 浩, 北村 正明, 岩野 良徳
1987 年 49 巻 5 号 p.
801-809
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
成鶏のERGにおいては, b波に重畳して出現する律動様小波 (OP) は通常4-5個出現し, これらを出現順にO
1, O
2, O
3とすると, 20Jouleの閃光刺激, 時定数0.003秒の条件下で測定した成鶏のO
1, O
2, およびO
3の平均振幅はそれぞれ165±21, 189±24, 159±22μVであり, また頂点潜時は15.2±0.8, 20.2±0.9, 24.8±1.2msecであった。暗順応15分まではこれらOPの振幅は減少し, 頂点潜時は有意に延長した。一方, 明順応では10分以内に振幅の顕著な増加と頂点潜時のゆるやかな減少が認められた。OPは胚子期19日目にO
1とO
2が不明瞭な小波として現れ, O
3は胚子期2O日目に出現したが, O
4は胚子期には現れなかった。孵化後数日間はO
1が振幅最大のOPであるが, 7日齢以後はO
2が最大となった。孵化直後急激にすべてのOPの振幅は大となり, これに伴って頂点潜時も短縮した。以上から, OPは錐体系の機能と関連を有し, それぞれの小波は異なった部位から発生することが示唆された。
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後飯塚 僚, 廣田 好和, 長谷川 篤彦, 友田 勇
1987 年 49 巻 5 号 p.
811-818
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ネコ伝染性腹膜炎 (FIP) 罹患ネコの腹水から採取した細胞およびその培養上清中に, マウス胸腺細胞の増殖を促進する活性が検出された。一方, 末梢血白血球の培養上清中には, 胸腺細胞増殖活性は認められず, 腹腔局所細胞の活性化による胸腺細胞増殖因子の放出が示唆された。活性因子は, 70℃30分で失活し, Sephacryl S-200ゲル〓過法により分子量は約12,000~20,000ダルトン, クロマトフォーカシング法により等電点4.1, 4.8, 5.3, 6.8の4分画からなることが示され, インターロイキン1であることが示唆された。
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清水 晃, 河野 潤一, 葉杖 真二, 木村 重, 田村 弘
1987 年 49 巻 5 号 p.
819-824
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
実験用のマウス (ヌードマウスを含む), ラット, ウサギおよび捕獲されたドブネズミ, クマネズミ, ハツカネズミ, フェレットから分離されたStaphylococcus aureus267株について, ヒト系 (Hセット) およびウシ系 (Bセット) S. aureus型別用ファージセットを用いて, 型別を試みた。実験用小動物由来139株の型別率はHセットで75.5%, Bセットで93.5%であり, 捕獲げっ歯類由来128株の型別率はHセットで32.8%, Bセットで62.5%であった。Hセットを用いて, 同一飼育場から購入したマウス・ラットの分離株をしらべると, マウス株のすべてがII群に, ラット株の大多数がI群および混合群に属した。Bセットを用いると, 捕獲されたドブネズミ株の多くはIV群に, クマネズミ株の多くはIII群に, ハツカネズミ株の多くはII群に属した。捕獲げっ歯類由来株の型別には, Bセットが型別率, 識別能力の点でHセットより有用と思われた。
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森川 嘉夫, 勝田 真一, 岡田 利也, 橋本 善之
1987 年 49 巻 5 号 p.
825-831
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
周生期ラットの舌下腺腺房細胞と粘液の量的変動を組織計測学的に調べた。舌下腺粘液は胎生末期に向かって蓄積し, 生後一時的に著しく減少した。腺細胞核は胎生末期に向かって扁平化し, 細胞の基底側へ押しやられていたが, 出生直後の著しい粘液放出と同時に, 核は一時的に円形化した後, 再び扁平となった。帝王切開によって採出された出生1日前の胎仔口腔内に綿球を挿入して2時間後に調べると, 出生直後に見られたと同様の変化が見られた。以上から, 出生後のラット舌下腺の粘液放出は, 口腔への外来性物理的刺激によるもので, このような舌下腺の反応能力は出生1日前にすでにそなわっていることが示唆された。
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近藤 康博, 田辺 昭, 佐藤 孝二
1987 年 49 巻 5 号 p.
833-840
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ファブリシウス嚢リンパ球構成に及ぼすテストステロンの影響を, 細胞表面B抗原, sIg及びの分布と濃度の面から解析した。テストステロンはファブリシウス嚢リンパ球のB抗原濃度の減少とB
+ sIg
-細胞の割合の低下を誘起したが, 脾臓および胸腺のリンパ球構成にはほとんど変化がなかった。ファブリシウス嚢のsIg
-リンパ球の
3H-テストステロン結合量はsIg
+リンパ球に比較して有意に高く, B sIg細胞の減少とよく一致した。これらの成績から, テストステロンは, Bリンパ球分化初期の段階にあるB
+sIg
-細胞に直接作用して, その分化を阻止すること, あるいは, B抗原の生成を阻害して, B
+sIg
-細胞の生成を抑えることが示唆された。
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鈴木 雅実, 岡田 幸助, 大島 寛一, 沼宮 内茂, 間 陽子, 小沼 操
1987 年 49 巻 5 号 p.
841-846
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
地方病性牛白血病 (EBL) 腫瘍細胞に存在する腫瘍関連抗原 (TAA) に対する単クローン性抗体を用いた末梢血リンパ球の補体依存性抗体細胞障害試験 (CDAC) によるEBLの生前診断の可能性について検討した。EBL牛28例中27例は細胞障害指数 (CI) 31.7以上を示した。残り1例はCI 28.0を示したが, 肉腫細胞を標的細胞とした場合のCIは61.0であった。一方, 牛白血病ウイルス (BLV) 感染未発症牛1例ならびにBLV非感染牛9例はすべてCI31.7未満を示した。また, 末梢血血液像との関連から, 形態的に異型性を示さない細胞でもTAAを有する細胞が存在することが示された。以上の成績から, EBL発症牛ではTAA保有細胞が末梢血中を循環しており, 末梢血を用いてのCDACはEBLの生前診断に応用可能であり, 従来の血液検査でEBL陰性と判定される非白血性EBLおよび亜臨床的EBLの生前診断の可能性が示唆された。
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馬場 栄一郎, 中野 昌子, 深田 恒夫, 荒川 皓
1987 年 49 巻 5 号 p.
847-851
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
Eimeria tenellaとSalmonella typhimuriumを感染させた鶏の盲腸内における細菌叢と揮発性脂肪酸 (VFA) の相関について調べた。非感染対照群, E. tenellaオーシスト4×10
4投与群, S. typhimurium約10
4連日5日間投与群, およびE. tenellaとS. typhimuriumの投与群の4群について, コクシジウム投与後7, 10および14日後に盲腸内細菌叢とVFA濃度を検査した。E. tenella感染群では, Bacteroides spp, Bifidobacterium spp.およびLactobacillus spp.の菌数が減少し, サルモネラを含む腸内細菌科およびClostridium perfringensの菌数が増加した。E. tenella感染盲腸でのVFA濃度は非感染の場合と比べて有意に低かったが, 各菌種の菌数とVFA濃度の間の相関係数は, いずれも低く, サルモネラの菌数増加および細菌叢の変動をVFA濃度の変化のみで説明することはできなかった。
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砂川 紘之, 都築 俊文, 武士 甲一, 安藤 芳明, 岡 重美
1987 年 49 巻 5 号 p.
853-858
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
耐熱性ウェルシュ菌5株と易熱性ウェルシュ菌9株, 合計14株のウェルシュ菌のエンテロトキシン産生性を逆受身ラテックス凝集法と家兎結紮腸管ループ法によって調べた。これらの免疫学的方法と生物学的方法によるエンテロトキシン産生性試験の成績はよく一致した。耐熱性菌5株はすべてエンテロトキシン産生性であり, 易熱性菌9株中3株はエンテロトキシン産生性であった。エンテロトキシン産生性あるいは非産生性にかかわらず, すべての易熱性菌は, in vitroおよびin vivoで耐熱性菌と同様の頻度で芽胞を形成した。このことから, 非産生菌がエンテロトキシンを産生しないのは, 芽胞を形成できないためではないことがわかった。
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宮澤 良道
1987 年 49 巻 5 号 p.
859-866
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
対照群 (C群), 両側尿水管結紮群 (L群), 両側腎摘出群 (N群) の実験犬に
3H-digitoxinを静脈内に1回投与し, その代謝・排泄に腎臓がどのように関与するかをdigitoxinの血漿動態および組織内濃度より検討した。血漿radioactivityはdichloromethane (CH
2 Cl
2) -溶性および-不溶性分画ともC群にくらべLおよびN群で有意に高値を持続した。CH
2 Cl
2溶性分画の血漿排泄半減期はC群では9.3時間であったが, L, N群ではその約2倍に延長し, digitoxinおよび強心作用を有する脂溶性代謝産物の血漿からの消失は著しく遅延した。Digitoxin投与24時間後の心臓と肝臓のradioactivityは各群においてほぼ同じ濃度を示し, 3群間の比較ではC, L, N群の順に両組織のradioactivityが高くなり, 有意差が認められた。一方, 腎臓のradioactivityは心臓・肝臓よりも高値を示したが, 両組織と異なり, C群ではL群より高い傾向が認められた。各組織のradioactivityと血漿CH
2 Cl
2-溶性分画のradioactivityとの間には有意の正相関が存在した。これらの所見から, 犬におけるdigitoxinの体内動態において, 腎臓が明らかに関与することが示唆された。
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御領 政信, 柴田 良久, 諏訪 隆彦, 梅村 孝司, 板倉 智敏
1987 年 49 巻 5 号 p.
867-873
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
外国より導入された種鶏からふ化した幼雛において, 鶏貧血因子に起因した貧血症が認められ, 12日から25日齢までの死亡率は, 雌で約2.4%, 雄で20.9%であった。肉眼的には, 骨髄の黄色化, 胸腺及びファブリキウス嚢の萎縮, 肝臓の退色・腫大及び肺の硬化が認められた。組織学的には, 骨髄低形成及びリンパ性器官におけるリンパ球の消失がかなりの発症雛で見られた。17日齢の発症雛の肝臓から, MDCC-MSB1細胞により, chicken anemia agent (CAA) が分離され, 自然感染例と同一の種鶏群由来の1日齢雛は, CAAに対し低感受性であった。肺アスペルギルス症及び細菌感染症が多くの例に合併しており, これらも死因として重要と考えられた。
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伊藤 寿啓, 梁川 良
1987 年 49 巻 5 号 p.
875-882
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
細胞外基質構成4成分であるフィブロネクチン, コラーゲン, ラミニン及びヒアルロン酸に対するレプトスピラの付着を各々の成分塗布カバースリップを用いて検討した。生菌の付着数はいずれの成分に対しても各々その濃度に依存して増大したが, 不活化菌はほとんど付着しなかった。またフィブロネクチン, コラーゲン及びラミニンへの付着菌数はヒアルロン酸への付着菌数に比べて有意に多かった。可溶性のフィブロネクチン, コラーゲン及びラミニン存在下では, レプトスピラの細胞外基質への付着は阻止されたが, ヒアルロン酸は阻止活性を示さなかった。細胞外基質を抗フィブロネクチン血清, 抗コラーゲン血清あるいは抗ラミニン血清で前処理するとレプトスピラの付着菌数は減少した。レプトスピラ強毒クローンは弱毒クローンよりもフィブロネクチン, コラーゲン及びラミニンに有意に多く付着したが, ヒアルロン酸への付着は毒力の程度と関連しなかった。以上の結果から, L. interrogansはフィブロネクチン, コラーゲン及びラミニンを介して宿主組織へ付着することが示唆された。
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萩尾 光美, 村上 隆之, 大塚 宏光
1987 年 49 巻 5 号 p.
883-894
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ウシの先天性心疾患40例に対してprospectiveな断層心エコー図診断を行い, 剖検所見と対比検討した。主にリニア型探触子を用いて診断した25例 (I群) と著者らが考案したセクタ型探触子を用いた系統的アプローチにより診断した15例 (II群) とを比較すると, 後者の診断能がより高かった。系統的アプローチを用いると, 完全大血管転位, 両大血管右室起始など複雑な心奇形の生前診断が可能であることが示唆された。しかし, 動脈管開存, 総肺静脈還流異常などの血管奇形は, 本法のみで確診するのは必ずしも容易ではなく, これらに対しては断層コントラスト心エコー図法や超音波パルスドプラ法の併用が有効と思われた。
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石田 敏雄, 桐沢 力雄, 小沼 操, 高島 郁夫, 橋本 信夫, 川上 善三
1987 年 49 巻 5 号 p.
895-896
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
おもに北海道の牛1,593例を対象にChlamydia psittaci静岡株を用いて補体結合反応で抗体調査を行ったところ, 973/1593 (61.0%) が抗体価1:8~1:128の陽性を示した。1977~1978年に道西部地区で得た血清は586/935 (62.7%), 1986年に道内7地区で得た血清は359/658 (54.6%) が陽性で, 1才未満の牛に高い陽性率を認めた。また, 岐阜からの血清53例中28例 (52.8%) が陽性であった。
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小野 憲一郎, 水谷 英一郎, 猪熊 寿, 長尾 和美, 長谷川 篤彦, 友田 勇
1987 年 49 巻 5 号 p.
897-898
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ロゼット形成法を用いて犬リンパ球のヒスタミン・レセプター (HR) について検討した。健康ビーグル犬5頭の末梢血リンパ球のHR保有率は17.9±3.4%で, ヒトやマウスでの報告値と近似した。またHRのH
1およびH
2アゴニストあるいはアンタゴニストを用いたロゼット形成抑制試験の結果では, dimapritを用いた場合, 特に著明な抑制が観察されたが, ロゼット形成法によって検出される犬リンパ球のHRはH
1およびH
2の両者であると考えられた。
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児島 健次, 山本 和克, 片江 宏巳, 中西 豊
1987 年 49 巻 5 号 p.
899-900
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
経口投与イベルメクチンの薬動力学的パラメータは静注動態と類似し, イベルメクチン23μgあるいは46μgを含有する錠剤は同等であった。
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杉本 次郎, 中山 裕之, 高橋 令治, 藤原 公策
1987 年 49 巻 5 号 p.
901-902
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
3才10カ月の雄雑種犬で前縦隔部, 肝, 腎, 心等に灰黄色の腫瘍結節が観察され, 腫瘍細胞は羊赤血球で高率にロゼットを形成し, 前リンパ球性T-cellリンパ肉腫と診断された。
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望月 雅美, 赤星 隆雄, 坂本 紘
1987 年 49 巻 5 号 p.
903-904
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ネコのウイルス性呼吸器病の主病因であるネコカリキウイルスとネコヘルペスウイルスに対する中和抗体測定のため, 微量中和試験 (MNT) とプラック減数中和試験 (PRNT) を比較した結果, MNTはPRNTより鋭敏ではないが, 簡便・経済的で多数検体処理に適すると思われた。
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池田 輝雄, 田渕 清, 西村 和子, 宮治 誠, 板倉 智敏, 柴谷 増博, 伊藤 郁夫, 凾城 悦司
1987 年 49 巻 5 号 p.
905-908
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
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牛のコクシジオイジス症 (C症) とされ, 病牛から菌は分離されなかった病例 (Jpn. J. Vet. Sci. 48, 155-157, 1986) について組織学的, 免疫学的に再検討した。組織学的にはC症に類似の球状体を認めたが, 内生胞子の出芽像・菌糸様構造が観察できる点が異なっていた。間接螢光抗体法で病牛血清は病牛組織の球状体とは反応したが, C. immitis感染マウスの球状体とは反応せず, また, 免疫拡散法においてもC. immitis抗原と反応しなかった。以上の結果から, 偽コクシジオイジス症と診断した。
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西 英機, 小沼 操, 和田 正秀, 桐沢 力雄, 川上 善三
1987 年 49 巻 5 号 p.
909-912
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
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皮膚型ウシ白血病細胞株 (SBLC-1) に対するモノクローナル抗体を作出した。得られた10クローンはいずれも正常ウシ末梢血リンパ球とは反応せず, SBLC-1細胞とのみ反応した。検査したクローンのうち4クローンはウシ胎仔胸腺細胞とも反応し, 4クローンはウェスタン・ブロット法で65,000のポリペプタイドを認識した。2クローンは培養液中に加えることによりSBLC-1細胞の増殖を抑制した。
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門田 耕一
1987 年 49 巻 5 号 p.
913-916
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
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ハンプシャー種の種雄豚の主として腹腔内リンパ節にリンパ腫が認められ, 大型リンパ様細胞が一様に増殖していたが, 一部リンパ節ではびまん性に類上皮細胞小集簇巣が散在していた。形態学的特徴から, 腫瘍細胞はT細胞由来であることが示唆された。
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河野 潤一, 石丸 司, 梅田 史郎, 清水 晃, 木村 重
1987 年 49 巻 5 号 p.
917-919
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
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日本産肝蛭メタセルカリアについて, 外被の除去, 1%ペプシン加0.2%塩酸溶液, CO
2およびSodium dithionite 0.02Mを溶解した精製水, NaHCO
3およびHEPESを添加したHanksの緩衝塩類溶液 (HBSS), 10%胆汁加HBSS, さらにHBSSによる各処理を順次行うことにより供試メタセルカリア4,517個中2,873個 (63.6%) が脱嚢した。
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柳井 徳磨, 矢本 敬, 真鍋 淳, 高岡 雅哉, 松沼 尚史
1987 年 49 巻 5 号 p.
920-922
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
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120日齢B6C3F1マウスの視床に認められた鉱物質沈着症についてX線微小部分析を行い, 沈着巣にカルシウム, 燐のほか, 少量の亜鉛, 鉄, 銅およびマグネシウムが検出された。
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岩下 修, 原澤 亮
1987 年 49 巻 5 号 p.
923-925
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
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蔗糖濃度勾配遠心により精製, [
35S]メチオニン標識したウマ動脈炎ウイルス粒子を免疫沈降反応により回収してSDS-PAGEにより分画したところ, 2種の構造ポリペプチド (分子量16Kおよび14K) から構成されていることがわかった。
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宇塚 雄次, 徳力 幹彦, 川崎 安弘, 松本 治康
1987 年 49 巻 5 号 p.
926-928
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
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非動化したペントバルビタール麻酔下のネコにおいて, 皮質体性感覚誘発電位 (SEP) を脳波検査と同様の電極部位を記録部位として, 正中神経刺激により300回加算を行って記録したところ, 刺激反対側の前頭部で最も大きな波形が得られ, 最初の陽性波 (P
1) のピーク潜時は10.00±0.67msecであった。0.5Hzと50Hz低周波フィルターは出現する波形にはほとんど影響しなかった。
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池田 孝則, 吉田 稔, 岩崎 真, 津田 修治, 白須 泰彦
1987 年 49 巻 5 号 p.
929-931
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
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吸入毒性における暴露中の温度の影響を調べるために, 18, 24, 29℃ (実験動物飼育規準の上下限とその中間) で鼻部暴露型チャンバーを用いて8週齢雄ラットを大小粒径のCVPおよびMPPミストに暴露し, 同一条件下の経口毒性と比較した。大粒子CVPミストの毒性は小粒子の約4倍であったが, 暴露中の温度変化は両薬物の吸入毒性にほとんど影響はなかった。
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笹生 好久, 中山 裕之, 高橋 令治, 土井 邦雄, 藤原 公策
1987 年 49 巻 5 号 p.
932-934
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
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イヌ剖検例100頭の大動脈弓部および腹部大動脈を病理組織学的に観察し, 線維性内膜肥厚を73頭 (大動脈弓部56頭, 腹部大動脈68頭) に認めた。病変の程度は年齢が高い例ほど重度であった。
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築山 俊夫, 品川 森一, 柴田 リリ, 佐藤 儀平
1987 年 49 巻 5 号 p.
935-938
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
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イヌアデノウイルス2型 (CAd2), ウシアデノウイルス1型 (BAd1) およびウマアデノウイルス (EAd) のウイルスDNAをラット3Y1細胞に導入した。CAd2 DNAによりトランスフォーマントが再現性良く得られたが, BAD1 DNAでは実験を通して一つのフォーカスしか得られず, EAd DNAによるトランスフォーマントは検出できなかった。CAd2 DNAによるトランスフォーマントにはウイルスDNAの左端およそ11%領域から, およそ1kbおよび2kbのmRNAが読まれていた。
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馬場 威, 小田切 美晴, 森本 委利, 掘本 知昭, 山本 祥二
1987 年 49 巻 5 号 p.
939-941
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
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1978年6月以降, 大阪府下の1養鶩場の21~40日齢アヒルにおいて, 脚弱, 頚部捻転などの神経症状を伴う疾患が多発し, 脳, 脊髄, 肝臓, 脾臓, 心嚢および血液からMoraxella (Pasteurella) anatipetiferが純粋に分離された。分離菌を接種されたアヒルは野外発生例同様の症状を示し, 菌が回収された。
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及川 弘
1987 年 49 巻 5 号 p.
942-944
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
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来歴不詳ネコおよび実験室内繁殖育成ネコ合計30頭について, 電気射精法により採取した精子の41.5±3%に蛍光陽性体fluorescence-positive body (F(p)body) が検出された。両群間で検出率の差は認められず, 毎週採取時同一個体での変動係数は5%以下であった。
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宮澤 清志, 明石 延幸, 奥田 潔, 丸尾 芳彦, 池広 靖和
1987 年 49 巻 5 号 p.
945-947
発行日: 1987/10/15
公開日: 2008/02/13
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飼育頭数および年間搾乳量がほぼ等しい牧場の中から, 飼養管理がよく疾病発生率の低い牧場 (A群), 飼養管理に問題があると考えられ, 疾病発生率の高い牧場 (B群, C群) について副腎皮質機能を比較した。罹病率はA群16%, B群57%ならびにC群67%であった。ACTH-Z負荷後の乳汁中コーチゾール値の上昇倍率は, A群では4.3±0.8倍, B群では2.7±0.6倍, C群では1.6±1.2倍で, A群と他の2群との間に有意差 (P<0.05) がみられ牛群の罹病率と副腎皮質機能とは密接な関係にあることが示唆された。
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