1987 年 49 巻 5 号 p. 787-794
ユリカモメおよびウミネコの新鮮糞便17O例について, thermophilic Campylobacternoの検出ならびに分離菌株の生化学的性状およびDNA-DNA交雑試験による同定を行った。Thermophilic Campylobacterの検出率は直接分離培養法で6.5% (11例), 増菌分離培養法で29.4% (50例), 全体として30.0% (51例) であった。4種の増菌分離培養法のうちでは, Preston培地を用いる方法において最も高い検出率18.8% (32例) が得られた。分離株はC. jejuni, C. coliおよびC. laridisに同定され, 検出率はそれぞれ14.1% (24例), 7.6% (13例), および9.4% (16例) であった。C. laridisの基準株 (JCM2530T) および分離株 (R-237) に対する上記3菌種のDNA相同値はそれぞれ12~19, 10~17および75~99%で, カモメ由来のナリジキシン酸耐性 (30μg/ml<) 株は, DNA-DNA交雑試験の成績からも, C. laridisと同定された。