抄録
β-カロチンおよびビタミンAが乳牛の卵胞顆粒膜細胞からのプロジェステロン産生におよぼす影響について検討した. 顆粒膜細胞は中等大 (直径8~10mm) の卵胞から注射器を用いて吸引・分離した. β-カロチン50μg/dlを4日間添加することにより, 顆粒膜細胞からのプロジェステロン産生量はわずかに上昇したが, 同量のビタミンA添加によって有意に上昇した (P<0.01). ビタミンA添加によるプロジェステロン産生量の増加は, 添加量に比例したが, 一方添加によって顆粒膜細胞の増殖は抑制され, 形態的変化が観察された. これらの成績から, β-カロチンはビタミンAを介して顆粒膜細胞のステロイド合成を促進することが示唆された.