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磯貝 浩, 磯貝 恵美子, 脇坂 仁美, 井藤 信義, 首藤 文栄, 石井 冬, 高野 一雄
1987 年 49 巻 6 号 p.
949-955
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
歯肉炎自然発症 (SUS) ラットおよび歯肉炎を起こさない対照 (RES) ラットの血清中の免疫グロブリン, 補体量およびマクロファージの活性を比較した。前歯肉炎段階の若齢SUSラットはRESラットに比べて, 免疫グロブリン量が著明に低く, C3量および補体の溶血活性も低かった。SUSラットにおけるIgA量および補体の溶血活性は観察期間中低いままであったが, 他の免疫グロブリン量は次第に増加した。2~7か月齢のSUSラットにおけるC3量はRESラットに比べて高くなったが, 補体の溶血活性は常に低かった。羊赤血球に対する抗体応答はSUSラットにおいて抑制されていた。
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保富 康宏, 高橋 清志, 黒沢 隆, 井田 三夫, 小沼 操
1987 年 49 巻 6 号 p.
957-963
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
EBL発症牛とBLV抗体陽性で臨床上正常な牛について, モノクローナル抗体を用いた補体依存性細胞障害試験 (CDAC), リンパ球数, 血清中の乳酸脱水素酵素総活性値 (LDH) とそのアイソエンザイム (LDH-IE) およびシアル酸 (SA) を調べた。非発症牛群において, CDAC陽性群は陰性群に比べ, リンパ球数, LDH, LDH2, LDH3, SAが高く, 逆にLDH1は低い値を示していた. さらにCDACの細胞障害指数と各検査項目との間には有意な相関がみられた (p<0.05~0.005). 以上から, CDACはEBLの早期診断には有用であり, さらに上記検査項目の一部を加えることによって, 精度の向上が期待できると考えられた.
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許 敏道, 広瀬 昶, 菅野 茂
1987 年 49 巻 6 号 p.
965-972
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ウイスター系雄ラットについて, 正常体温 (35-37℃) および低体温 (30-25℃) 時またはイソプロテレノール投与 (1.5or3.0μg/kg, i. v.) 前後の肢誘導心電図, 胸部単極誘導心電図, ベクトル心電図および単極誘導心表面電位図を記録した. 体温の下降に伴い, 肢誘導心電図には, RR間隔の一時的短縮とともにQT間隔の延長が発現し, 続いてT波は二峰化された. 低体温時とイソプロテレノール投与後のべクトル心電図にはQRS環の変形を伴わずに前額面および水平面のT環のみに明らかな変形が現れた. 一方, 正常体温の無処置ラットにおいても, 胸骨近辺の胸部単極誘導心電図および心室中隔近辺の単極心表面電位図に二峰性T波が認められ, 低体温にするかイソプロテレールを投与することによって, 胸部および心室表面のほぼ全域から二峰性T波が記録されるようになった. 以上の成績から, 肢誘導心電図において認められる二峰性T波はもともと局所的に存在し, 正常ラット心室筋でも認められる現象が, 低体温またはイソプレテレノール投与によって顕在化されたものであることが示唆された.
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志賀 瓏郎, 佐々木 剛, 堀井 菜摘子
1987 年 49 巻 6 号 p.
973-979
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
7頭のラットについて, 飼料, 胃, 小腸4部位 (上部, 中部, 内容物のアルカリ性転換部 (S-B), および下部), 大腸3部位 (盲腸, 結腸上部および下部) の各内容物および糞のpH, pHの変化と関連するCl
-, HCO
-3, NaおよびK含量ならびにMg, Ca, P含量を測定し, 以下の成績を得た. 内容物の胃での酸性化 (pH7.10→3.46), 小腸上部でのpHの急上昇 (pH3.46→6.60), S-Bでの急激なアルカリ化 (pH6.86→7.40), 盲腸での酸性化 (pH7.97→6.91), 結腸上部でのアルカリ化 (pH6.91→7.97) が認められた. S-Bは, 小腸開始部から約75%の部位であった. Cl
-, HCO
-3, Na, K含量は, pHとの間に相関はなかったが相互に正の相関があり, 胃でのHCl分泌, 盲腸での有機酸発酵に対応し, ミネラルの中和調節効果が示唆された. Mg, Ca, Pの可溶性含有率 (Sup%) は相互間に正の相関があり, それぞれがpHとの間に負の相関をもち, pHの上昇に伴うMg, Ca, Pの沈殿促進効果が認められた. 盲腸でのP含量の急増から, 微生物体へのPの蓄積が示唆された.
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松田 基夫, 山田 隆紹
1987 年 49 巻 6 号 p.
981-987
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
マウス胚様体核抽出液およびF9細胞抽出液から抗Sm抗体カラムを用いて高純度のSm snRNP (Ula, Ulb, U2, U4, U5, U6とX-snRNP (約90ヌクレオチドRNA)) が得られた. 同様の方法で, 胚様体のクロマチン/核小体消化物とミトコンドリアを除去した後の細胞質画分からも, メジャーなU-snRNPに関して核抽出液画分中から得られたものと類似のRNAのプロファイルが得られた. 抗m
2, 2, 73G抗体カラムを用いて胚様体U-snRNPの分画を行ったところ, Ula, UlbとU2-snRNPのみがカラムに吸着され溶出された. またDEAEカラムを用いて胚様体U-snRNPの粗分画を試みたところ, UlおよびU2-snRNP分画の他にマイナーなU-snRNPも検出された.
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矢後 啓司, 萩原 茂, 川村 齊, 成田 實
1987 年 49 巻 6 号 p.
989-994
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
新生子豚の致命的な甚急性病が1985年10月に神奈川県下で発生した. 病気の特徴は元気消失, ふるえ及び黄褐色下痢便などであった. 死亡した4例の脳, 肺, 腎, 扁桃及び腸管からESK細胞で細胞変性効果を示すウイルスが分離, クローニングされ, Kanagawa株と名付けられた. Kanagawa株は理化学的, 生物学的及び血清学的性状から, トガウイルス科のアルファウイルスに属するゲタウイルと同定された.
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納 敏, 一条 茂
1987 年 49 巻 6 号 p.
995-1001
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
アフィニティクロマトグラフィーにより精製した抗ウシMb抗体で感作したグルタールアルデヒド固定タンニン酸処理羊赤血球を用い, マイクロタイター法によって逆受身赤血球凝集反応 (RPHA) によるウシミオグロビン (Mb) の微量測定法を実施した. 血中では10ng/ml, 尿中では2ng/mlのMbの検出が可能であった. 健康牛の血中Mbは<10~80ng/ml, 尿中Mbは<2~16ng/mlであった. 子牛の栄養性ミオパチー16例のMbは高値を示し, 血中で640~51,200ng/ml, 尿中で640~256,000ng/mlであったが, 治療開始後3~5日には血中Mbは正常値に復帰した. 乳牛の産後起立不能症51例の血中Mbは高値を示し, 発症時に320~20,480ng/mlであり, 約30%の例では血清CPK活性値は正常値を示した. 起立後, 血中Mb濃度は急速に低下して2~4日後には正常値となったが, 廃用例では終診時まで高値が持続した. 以上から, RPHA法により, 骨格筋障害の早期かつ的確な診断が可能であると考えられた.
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川村 齊, 矢後 啓司, 成田 實, 今田 忠男, 西森 知子, 播谷 亮
1987 年 49 巻 6 号 p.
1003-1007
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
甚急性経過で死亡した新生子豚から分離したゲタウイルスKanagawa株を無菌子豚の筋肉内に接種すると20時間後に食欲不振, 元気消失, 全身のふるえ, 舌のふるえ及び後肢の不調整, 皮膚の赤色化などの症状を現わし, 接種後2~3日でほとんどが死亡または瀕死状態となった. これらの子豚の臓器と血清から高い値のウイルスが回収された. 経口・経鼻接種の場合は症状は軽く, 死亡例はなかった.
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工藤 忠明, 加藤 由美子, 増野 裕英, 本所 久男, 北澤 馨
1987 年 49 巻 6 号 p.
1009-1013
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
犬の左右の足三里に1日1回30分間置針及び通電刺激 (1volt, 2Hz, 1msec, 陽性矩形波) し, あるいは1日1回30分5日間置針及び通電刺激して, 末梢リンパ球に及ぼす針の影響を観察した. 反復刺激後数日間にわたりANAE染色陽性細胞は減少, PHAによる幼若化リンパ球の刺激指数及び血清r-グロブリンは低下し, T-細胞を中心とした免疫能の抑制が示唆された.
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三宅 陽一, 金田 義宏
1987 年 49 巻 6 号 p.
1015-1019
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
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片側性潜伏精巣を示したホルスタイン種の雄牛の培養白血球について, 染色体を分析した. 観察されたすべての細胞分裂中期像 (82個) 中に, 常染色体性の転座染色体1個認められ, 染色体数は59個であった (正常牛は2n=60). 異常染色体では, 2個の異なる常染色体対の1個ずつが, その動原体部位で融合し, Gバンド分染法により, 染色体No.1とNo.26の転座が明らかにされた. 皮膚由来の染色体構成分析によっても白血球と同様の染色体転座が認められた. またC, Cdバンド分染法では, 転座染色体の動原体部位に2個の濃染ヘテロクロマチンが観察された. 両親牛の染色体分析は実施できなかったが, 異母兄妹の雌牛9頭と異父兄妹雌牛3頭には染色体異常は見出されなかった. これらの結果から, 転座染色体は両親牛に由来するものでなく, おそらく受精卵ないし早期胚における染色体異常に起因するものと思われた.
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稲葉 俊夫, 免山 央時, 清水 亮佑, 小野 忠義, 森 純一
1987 年 49 巻 6 号 p.
1021-1025
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
β-カロチンおよびビタミンAが乳牛の卵胞顆粒膜細胞からのプロジェステロン産生におよぼす影響について検討した. 顆粒膜細胞は中等大 (直径8~10mm) の卵胞から注射器を用いて吸引・分離した. β-カロチン50μg/dlを4日間添加することにより, 顆粒膜細胞からのプロジェステロン産生量はわずかに上昇したが, 同量のビタミンA添加によって有意に上昇した (P<0.01). ビタミンA添加によるプロジェステロン産生量の増加は, 添加量に比例したが, 一方添加によって顆粒膜細胞の増殖は抑制され, 形態的変化が観察された. これらの成績から, β-カロチンはビタミンAを介して顆粒膜細胞のステロイド合成を促進することが示唆された.
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金城 俊夫, 源 宣之, 鈴木 順
1987 年 49 巻 6 号 p.
1027-1033
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
岐阜県東部山岳地帯で1981年から1984年の冬期間に捕殺された野生ニホンカモシカの血清について, Toxoplasma gondii, Brucella abortus, Leptospira interrogans, Chlamydia psittaci及び日本脳炎ウイルスの5種類の人畜共通伝染病の病原体に対する抗体調査を行った. 抗体陽性率は, C. psittaciに対し10.7% (36/335), L. interrogansに対し10.4% (42/404) 及びT. gondiiに対し5.4% (41/765) であった. しかし, B. abortusおよび日本脳炎ウイルスに対する抗体は, それぞれ718例及び208例調べたが検出されなかった.
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斉藤 康秀, 井上 巖, 林 文夫, 板垣 博
1987 年 49 巻 6 号 p.
1035-1037
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
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3才の雌猫が白い泡状物とともに雌のハリガネムシを1匹吐出した. 虫体は体長585mm, 最大体幅1.2mmで, 体表クチクラに環状帯, 腹中線, 背中線, アリオールがないこと, 口の開口がないことからGordius ogataiの近似種と思われたが, 著しく軟化していたために種の確定はできなかった. 猫は臨床的に正常で食欲もあり, 戸外で昆虫などを捕食していたことから, ほぼ成熟したハリガネムシ寄生昆虫の捕食により感染したと思われた.
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森尾 保徳, 今西 泰一郎, 西村 昌数, 矢ヶ崎 修
1987 年 49 巻 6 号 p.
1039-1044
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
DDTおよびdieldrinをマウスに経口または静脈内投与すると, DDTでは振戦, dieldrinでは強直性および間代性痙攣がみられ, 脳室内投与によっても質的に類似した症状が引き起こされた. 静脈内注射された両剤は, 神経切断後の坐骨神経-腓腹筋系に直接作用を示さなかったことより, 中枢神経系に由来する作用と思われた. DDTの振戦は抗ドーパミン薬で悪化したが, 抗ムスカリン薬は影響しなかった. dieldrin痙攣は抗ムスカリン薬または抗ドーパミン薬で軽減され, 抗アドレナリン薬または抗GABA薬で悪化された, このようなDDTとdieldrinとの相違から, 両剤が異なる神経路を通じて神経毒性を発現させていることが示唆された.
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清水 実嗣, 佐藤 国雄
1987 年 49 巻 6 号 p.
1045-1051
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
牛ウイルス性下痢-粘膜病 (BVD-MD) ウイルスによる異常子の出産が多発した地域で, 異常子と同時期に出生した外見上健康な子牛154頭, および清浄地由来の子牛112頭について持続感染牛の有無を調査した. 汚染地域由来の子牛154頭の調査では, 18頭の血清と白血球から非細胞病原性のBVD-MDウイルスが分離された. このうち13頭について1~2か月後に再検査を実施したところ, 12頭から再度ウイルスが分離され持続感染牛と考えられた. ウイルスが分離された子牛はBVD-MDウイルスに対する中和抗体を保有せず, 血清と白血球のウイルス価は10
4.0~10
6.1TCID
50/mlであった. 清浄地の子牛112頭に持続感染牛は認められなかった. 持続感染牛から分離されたウイルスの血清学的性状は同一であったが, 既知のBVD-MDウイルスであるNo. 12株, Nose株, T-20株とは異なっていた.
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北 満夫, 浜岡 隆丈, 湊 一
1987 年 49 巻 6 号 p.
1053-1057
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ガスクロマトグラフィー (GC) により家畜のクロストリジウム感染症の迅速推定診断を試みた. ガス壊疸死亡豚の肝および脾臓の病変部位から採取した材料では, GCによってプロピオン酸, 酪酸および酢酸が検出され, この揮発性脂肪酸 (VFA) パターンは, 病変部から分離されたClostridium novyiの培養のそれに類似していた. 気腫疸死亡牛2頭の肝および脾臓の病変部乳剤は, 病変部から分離されたClostridium chauvoeiの培養のそれに類似するVFAパターンを示した. C. novyiあるいはC. chauvoei接種マウスおよびモルモットの皮下病変部のGC分析の成績は, 豚および牛での成績とよく類似していた. しかし, GC分析でClostridium tetani, Clostridium septicum, およびC. chauvoei感染症を区別することは困難と思われた.
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辨野 義己, 伊藤 喜久治, 宮尾 陽子, 光岡 知足
1987 年 49 巻 6 号 p.
1059-1064
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
多雪地域において樹皮を主食とする野生ニホンザル (JM) と固型飼料および生甘薯で飼育されているJMの腸内フローラを検索したところ, 野生のJMの総菌数, Bacteroidaceae, Eubacterium, Peptococcaceae, Bifidobacterium, Sarcina ventriculi, EnterobacteriaceaeおよびStreptococcusの菌数およびClostridium perfringens, Enterococcus, StaphylococcusおよびPseudomonasの検出率が飼育JMのそれに比べて有意に低いことが明らかにされ, また, Bacteroidesの選択培地 (NBGT) に発育する菌種も野生のJMで有意に低いことが認められた. 一方, 全フローラに占める割合をみると, 野生のJMはレシチナーゼ陰性のClostridiumおよびLactobacillusの割合が飼育JMのそれに比べて極めて高いことも明らかにされた. 以上の事実は食餌成分が腸内フローラの構成に著しい影響を与えることを示した.
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落合 謙爾, 間 陽子, 藤本 胖, 小沼 操
1987 年 49 巻 6 号 p.
1065-1072
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
地方病性牛白血病 (EBL) 腫瘍移植ヌードマウスにおいて, EBLの腫瘍関連抗原を認識する単クローン性抗体c143の腫瘍増殖に与える影響を検討した. c143投与群の腫瘍増殖は, 対照群と比較して有意に抑制された (P<0.05). c143投与群の腫瘍移植部位には, 腫瘍移植後3日からマクロファージの浸潤がみられ, 7~14日に顕著となり, c143の抗腫瘍効果にはマクロファージの反応が関係していると推測された.
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福岡 隆, 梁川 良
1987 年 49 巻 6 号 p.
1073-1079
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
Corynebacterium renale No.115株の有線毛 (P
+) 菌を10
8.4またはそれ以上膀胱内に接種されたマウスの腎臓, 膀胱及び尿において, P
+菌から無線毛 (P
-) 菌への集団変化が認められ, もともと接種P
+菌の中に少数存在していたP
-菌が生体内で選択的に増加したためと考えられた. P
+菌からP
-菌への集団変化は, 血中抗線毛抗体陰性のマウスでも認められ, わま, 接種前にマウスを抗線毛抗体で受動免疫することによって促進されなかった.
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北川 均, 石原 勝也, 佐々木 栄英
1987 年 49 巻 6 号 p.
1081-1086
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
心臓選択性β
1受容体遮断薬を全身麻酔下の犬糸状虫寄生犬6例に投与し, 肺動脈内の糸状虫が右心房方向へ移動するか否かを検討した. β
1受容体遮断薬メトプロロールを約8mg/Kg投与した後, 全例で心拍数と右心拍出量は減少し, 犬糸状虫は6例中5例で肺動脈から右心房へ, また, 1例では肺動脈弁を越えて右心室へ移動した. しかし4例では, 犬糸状虫が短時間内に肺動脈へ戻った. 右心室圧, 肺動脈圧及び1回拍出量は, 投薬後, 増加, 減少, または変化せず, 一定の変動を示さなかった. この投薬に伴う心拍数と心拍出量の減少, すなわち肺動脈の血流量と血流速度の減少が, 血流と逆方向へ犬糸状虫の移動を誘発したと考察された.
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杉浦 健夫, 松村 富夫, 福永 昌夫, 平澤 澄
1987 年 49 巻 6 号 p.
1087-1096
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
1980~1985年に日本中央競馬会トレーニング・センターに所属する競走馬の発熱性疾患について血清疫学的に調査した. 発熱馬総数は3,849頭で, 血清が採取された2,852頭中669頭 (23.7%) に, 馬ヘルペスウイルス1型 (EHV-1), 馬ライノウイルス1型 (ERhV-1), ロタウイルスおよび馬アデノウイルス (EAdV) に対する抗体の上昇が認められ, EHV-1が491頭 (73.4%), ERhV-1が91頭 (13.6%), ロタウイルスが64頭 (9.6%), EAdVが23頭 (3.4%) であった. EHV-1とロタウイルスに対する抗体は, 冬~初春に上昇し, ERhV-1抗体は冬のみならず, 初春および初秋にも上昇がみられた. EHV-1抗体上昇馬のうち, 満3歳馬の占める割合は他のウイルスの約2倍であり, ERhV-1とEAdVの抗体上昇馬はすべて満4または3歳以下であった. EHV-1, ロタ, ERhV-1およびEAdVの抗体上昇馬の平均年齢はそれぞれ2.96, 2.73, 2.44および2.27歳であった.
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宮前 武雄
1987 年 49 巻 6 号 p.
1097-1103
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
センダイウイルスコアRNAを化学修飾した不活化ワクチンと解裂剤を用いて作製した不活化ワクチンの経鼻免疫原性をマウスの接触感染防御試験によって比較した. ブリリアントグリーン, ローダミンB, ホフマンズバイオレットによる不活化ワクチンは顕著な感染防御効果をもたらし, また, ヒドロキシルアミン不活化ワクチンによっても強い感染予防効果が得られたが, メトキシアミン不活化物による成果は著しく劣った. ヂエチル硫酸, メチルニトロソグアニジン, クリスタルバイオレット等の不活化剤処理ワクチン, ならびに解裂剤 (デオキシコレート, フェノール, 尿素, アルカリ, チモール) 処理ワクチンに防御効果はなかった.
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甲斐 一成, 金田 佳枝, 後藤 直彰, 鹿江 雅光
1987 年 49 巻 6 号 p.
1105-1111
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
猫伝染性腹膜炎ウイルスの新株FIPV-HRを猫に10代継代, fcwf-4細胞培養に馴化させた. 細胞培養でのウイルス増殖はよく, 細胞付着ウイルスは4.8×10
7PFU/ml, 培養液放出ウイルスは2.3×10
7PFU/mlの力価を示した. ウイルス活性の半減期は37℃で180分であった.
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萩尾 光美, 大塚 宏光
1987 年 49 巻 6 号 p.
1113-1125
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
断層心エコー図とパルスドプラ法を組み合わせた超音波パルスドプラ法の家畜への臨床応用を検討する目的で, 犬および子牛健常例および弁閉鎖不全症例について各心室流入・流出路および大血管近位の超音波パルス血流測定を行った. 健常動物では, 各部位での血流測定は概ね良好であり, 得られた血流パターンは犬および子牛ともにヒト健常者のそれらときわめて類似していた. 犬および子牛の弁閉鎖不全3症例についての所見から, 本法により, 閉鎖不全の重症度をある程度推定することが可能と思われた.
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志賀 瓏郎, 石田 貢, 堀井 菜摘子, 菅原 伯, 岡田 幸助, 沼宮内 茂, 大島 寛一
1987 年 49 巻 6 号 p.
1127-1128
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
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フリー
大脳の著しい欠損と欠損部脳脊髄液 (CSF) の貯留を示す4頭の子病牛のCSFでは全例でNaが高値, Caが低値を示し, 2頭でMgが低値を示したが, K, Cl, iPでは全例正常値であった. 血清では, 全例Mg, Ca, iPが低値を示したが, Na, K, Clは正常値であった.
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杉山 公宏, 山品 恒郎, 神原 隆仁, 梶ケ谷 博, 小長谷 勝利, 梅田 昌樹, 磯田 政恵, 坂井 利夫
1987 年 49 巻 6 号 p.
1129-1130
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
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204日齢の採卵鶏の肩部と頚部に, 体表部から膨隆しやや赤味を帯びた黄白色の大きさを異にした4個の腫瘍が認められ, 病理組織学的に, 鶏にはきわめてまれな皮膚扁平上皮癌の分化型と診断された.
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永井 博文, 佐藤 昭夫, 後藤 直彰, 藤原 公策
1987 年 49 巻 6 号 p.
1131-1132
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
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マウス肝炎ウイルス (JHM) 由来変異株JHM-1aおよびJHM-2cをマウス脊髄初代培養細胞に接種すると, ウイルス価は接種後12~24時間に最高値を示し, グリア細胞および神経細胞内あるいは細胞表面にウイルス抗原が認められた. JHM-1a感染細胞では小融合細胞が形成され, 大型封入体がみられたが, 細胞融解は明瞭ではなかった. JHM-2c感染細胞ではウイルス抗原量は少なく, 細胞変性はほとんどみられなかった.
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宇根 ユミ, 谷本 忠司, 菅沼 常徳, 兵藤 哲夫, 代田 欣二, 野村 靖夫
1987 年 49 巻 6 号 p.
1133-1134
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
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右心不全を呈した7ヶ月齢の雄猫を病理学的に検索した. 右心房および心室は高度に拡張し, 房室弁口は拡大していた. 右心房内膜は, 不規則な肥厚と石灰化を示していた. 右心室大乳頭筋は, 肥大伸張し, 腱索を欠いて直接, 三尖弁に付着していた. 三尖弁弁帆は, 短く, 弁組織はよく分化していた. 小乳頭筋は心室中隔のやや上方を起始部として中隔尖に付着し, 動脈下乳頭筋は伸張して中隔尖と角尖の間に直接付着していた.
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福島 博
1987 年 49 巻 6 号 p.
1135-1136
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
豚肉に投与されたYersinia pseudotuberculosis serotype 4b菌は, 6℃および25℃において増殖しないが生残し, 自然汚染された豚肉は Y. pseudotuberculosis感染症の感染源となることが示唆された.
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布谷 鉄夫, 田島 正典, 星 澄夫, 水谷 誠
1987 年 49 巻 6 号 p.
1137-1140
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
Fayoumi種の1系統であるYL系鶏に, 換羽後の羽が白色化する異常個体が出現し, いずれの例にも甲状腺小胞の破壊, リンパ濾胞形成並びに形質細胞浸潤などを特徴とするリンパ球性甲状腺炎と, 羽にリンパ系細胞浸潤を伴うメラニン色素含有細胞の変性が認められた. 異常鶏の血中T
4値は正常鶏に比べて低い傾向を示し, ELISA法により血清に抗thyroglobulin抗体が検出された.
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中井 豊次, 久米 勝巳
1987 年 49 巻 6 号 p.
1141-1144
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
6農場の肥育豚計64頭について鼻腔内からの菌分離ならびに補体結合 (CF) 反応を実施し, H. pleuropneumoniae血清型5の流行状況を調査した. 5型菌は計23頭 (35.9%) から分離され, 農場ごとの分離率は20%~75%であった. また, 2型菌は同時に計24頭 (37.5%) から分離され, 大部分の菌分離陽性豚は分離菌の血清型に一致するCF抗体を保有していた.
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樋口 誠一, 伊藤 直之, 川村 清市, 安田 純夫
1987 年 49 巻 6 号 p.
1145-1147
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
飽血後30日のフタトゲチマダニ・成ダニのヘモリンフ内に見られたBabesia ovataのキネートの大きさは15.70±1.21×2.64±0.55μmで, 一端は丸く, 先端にCapを有し, 他端は次第に細く, 核は辺縁もしくはほぼ中央に位置し, 空胞が観察された.
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永幡 肇, 野田 寛, 安倍 健彦
1987 年 49 巻 6 号 p.
1148-1150
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
臨床型乳房炎牛10頭中5頭において, 炎症初期にリンパ球幼若化反応の著明な抑制がみられ, 乳汁中NAGase活性の低下 (回復期) に伴いリンパ球幼若化反応の回復が認められた. また, 血漿コルチゾール値は炎症初期に上昇して57.0±22.5ng/ml (mean±SD, n=3) となり, その後漸次減少し10~23日後では9.9±3.7ng/mlであった. 幼若化反応抑制の一因として炎症に関連したコルチゾール濃度の上昇が考えられた.
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美土路 活男, 中山 裕之, 岡田 信彦, 小野 憲一郎, 安田 和雄, 沢 邦彦, 高橋 令治, 藤原 公策
1987 年 49 巻 6 号 p.
1151-1153
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
低血糖とてんかん様発作を呈した犬のインスリノーマ2例について, 病理学的に観察した. 1例は未熟β細胞からなる悪性インスリノーマで, 肝・膵リンパ節に転移巣を認め, 他の1例は成熟β細胞からなる良性インスリノーマであった. 両例とも腫瘍細胞は正常膵島に似た配列を示し, 細胞質内には, 形・大きさが不同の多数のインスリン陽性顆粒を有していたが, 悪性例では未熟顆粒が, 良性例では成熟顆粒が多数を占めていた.
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西原 真杉, 貴邑 冨久子
1987 年 49 巻 6 号 p.
1154-1156
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
卵巣摘除ラットから得た視床下部スライスにおいて, 弓状核および内側視索前野ではともに約半数のニューロンがフェニレフリン (α
1-アゴニスト) に対して反応を示し, 両部位で反応性に差はなかった. イソプロテレノール (β-アゴニスト) に対して反応したニューロンは少数であったが, 弓状核と内側視索前野との間に有意差が認められた.
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宮田 保彦, 古郡 浩
1987 年 49 巻 6 号 p.
1157-1159
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
日本飼養標準で1週齢~25か月齢まで育成した77頭のホルスタイン牛の血清フェリチン量と, 最大の易移動性貯蔵鉄分画である肝臓非ヘム鉄量との相関は他の血液成分と肝臓非ヘム鉄量とのそれよりも高く, 血清フェリチン量は鉄栄養の最良の指標と考えられた.
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吉川 康一, 廣田 好和, 後飯塚 僚, 岩田 祐之, 安田 和雄, 林 俊春, 小野 憲一郎, 佐々木 伸雄, 長谷川 篤彦, 友田 勇
1987 年 49 巻 6 号 p.
1160-1161
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
元気消失と呼吸促迫を呈した4歳齢の雌シェパード犬について臨床病理学的検査を行った結果, (1) X線検査における瀰漫性肺浸潤像 (2) 末梢血における好酸球数の増加 (42%) を伴う白血球増多 (51200/μl), (3) IgGの著増 (4100mg/dl) を伴う高蛋白血症 (11.7g/dl), (4) 骨髄における好酸球系細胞の著増, (5) 気管支洗浄液における好酸球の相対的増加および細胞質内IgG保有細胞の増加が認められた.
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東原 朋子, 前島 一淑, 藤川 勇治, 見上 彪
1987 年 49 巻 6 号 p.
1162-1164
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
東京地区の野良ネコの血清を用いてネコ白血病ウイルス (FeLV) p27抗原, FeLV gp70ならびにネコ白血病ウイルス付随細胞膜抗原 (FOCMA) に対する抗体の検出を試みた. 380匹のネコのうち, 23匹 (6.1%) がFeLV-p27抗原陽性であった. また, 4.5%がFOCMA抗体陽性であり, FeLV-gp70抗体は5.2%で陽性であった.
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永幡 肇, 野田 寛, 高橋 清志, 黒沢 隆, 其田 三夫
1987 年 49 巻 6 号 p.
1165-1167
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
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持続性肺炎, 口腔粘膜の潰瘍および高度の好中球増多症を伴うホルスタイン若牛 (15か月齢) の好中球機能を検討したところ, 著明なNBT還元能, ルミノール依存性化学発光反応および走化能の低下を認め, 好中球の機能不全が疑われた.
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三輪 尚克, 朴 範沢, 後藤 仁, 野呂 新一
1987 年 49 巻 6 号 p.
1168-1170
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
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1985年11月~86年3月におけるヒトでのインフルエンザ流行時に採取した屠場豚の鼻汁ぬぐい液80例中1例から, 人型 (H3N2) ウイルスを分離した. この豚由来株と同流行でのヒトからの分離株 (H3N2) に対して86年1月~8月に採取した屠場豚血清のHI抗体価を測定し, その分布から, 若齢豚と成豚が同一流行時に本ウイルスに感染したことが示唆された.
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今泉 和則, 今戸 奈保子, 湊 良雄, 和田 功, 武下 政一, 岡庭 梓
1987 年 49 巻 6 号 p.
1171-1173
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
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12週齢のCrj : CD (SD) ラットにおいて, 右生殖腺が卵精巣, 左生殖腺が卵巣の組織像を呈する片側性真性半陰陽が認められ, 子宮角の粘膜の一部に扁平上皮化生が, 膣周囲結合織層には前立腺および尿道球腺が観察された.
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伊藤 隆司, 津田 知幸, 小野寺 節, 徳久 修一, 三浦 克洋, 清水 真也, 田中 義夫
1987 年 49 巻 6 号 p.
1174-1176
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
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T. sergenti抗原で前処置したマウスではオーエスキー病ウイルス抗原やIBRウイルス抗原, 羊赤血球に対する抗体産生が増強された. ヌードマウスではT. sergenti抗原のこのような増殖効果は観察されなかった.
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中村 孝, 深川 進, 桐生 啓治
1987 年 49 巻 6 号 p.
1177-1179
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
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1才の繁殖雌豚の右耳甲介に約2ヶ月の間に形成された直径17cm, 重量2.1Kgの巨大腫瘤について病理組織学的に検討した. 優性な膠原線維基質中に平滑筋細胞が証明され, 血管平滑筋由来の線維平滑筋腫と診断された.
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渡辺 清隆, 北垣 貴央, 山本 晋二
1987 年 49 巻 6 号 p.
1180-1182
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
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大腸菌AK (AKe) とラットシトソールAKアイソザイム1 (AK1), または, ミトコンドリアAKアイソザイム2 (AK2) との間に, 免疫学的交差反応がELISAで検出されたが, 酵素免疫阻害試験では検出されなかった. AK1とAK2との間の交差反応は, ELISAにおいてもほとんど検出されなかったことから、AKeとAK1の共通抗原決定基は, AKeとAK2のそれとは異なると考えられた.
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杉村 誠, 石丸 広樹, 阿閉 泰郎, 鈴木 義孝
1987 年 49 巻 6 号 p.
1183-1185
発行日: 1987年
公開日: 2008/02/13
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イヌおよびヤギリンパ節のS-100陽性細胞は非リンパ球性単核細胞で, 胚中心を含む皮質全域およびリンパ洞に分布していた. その分布と形態から陽性細胞には, 胚中心のfollicular dendritic cell (FDC), 傍皮質領域のinterdigitating reticulum cellおよびtingible-body macrophageなどの食細胞が含まれていると思われ, FDCのみがS-100αモノクローナル抗体に陽性を示した.
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