抄録
約6か月齢の豚32例の腎糸球体における微細形態学的変化を検索した. このうち24例は,光顕的に瀰漫性広汎性にメサンギウム拡大を示し,IgGとC3の沈着を伴っていたが,他の8例では糸球体病変およびIgG, C3沈着が軽微か,あるいは認められなかった. 主な微細形態学的変化は,メサンギウム領域,内皮下,上皮下におけるdense depositの沈着で,メサンギウムでは,paramesangial depositが特徴的であった. dense depositの沈着程度は,光顕・免疫蛍光法における変化のそれと相関していた. 32例中20例にはspherical microparticle(SMP)の集塊があり,それらは上皮下に最も顕著で,メサンギウム内,基底膜内,内皮下にも認められた. SMPの出現頻度は,光顕,免疫蛍光法における変化,dense depositの沈着程度とは必ずしも相関しなかった. dense depositあるいはSMP沈着を伴う部位を除いては,糸球体基底膜に著変を認めなかった.