日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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50 巻, 1 号
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  • 代田 欣二, 野村 靖夫
    1988 年 50 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    約6か月齢の豚32例の腎糸球体における微細形態学的変化を検索した. このうち24例は,光顕的に瀰漫性広汎性にメサンギウム拡大を示し,IgGとC3の沈着を伴っていたが,他の8例では糸球体病変およびIgG, C3沈着が軽微か,あるいは認められなかった. 主な微細形態学的変化は,メサンギウム領域,内皮下,上皮下におけるdense depositの沈着で,メサンギウムでは,paramesangial depositが特徴的であった. dense depositの沈着程度は,光顕・免疫蛍光法における変化のそれと相関していた. 32例中20例にはspherical microparticle(SMP)の集塊があり,それらは上皮下に最も顕著で,メサンギウム内,基底膜内,内皮下にも認められた. SMPの出現頻度は,光顕,免疫蛍光法における変化,dense depositの沈着程度とは必ずしも相関しなかった. dense depositあるいはSMP沈着を伴う部位を除いては,糸球体基底膜に著変を認めなかった.
  • 岡本 芳晴, 藤永 徹, 田島 誉士, 星 信彦, 大友 勘十郎, 小池 壽男
    1988 年 50 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    CTS由来細胞は培養開始後暫時浮遊細胞と付着細胞に分れ,形態学的持徴と染色体数から,浮遊細胞がCTS細胞であり,付着細胞は線維芽細胞と考えられた. 培養開始3日後の浮遊細胞からCTS細胞をほぼ純粋に得ることができ,培養条件を検討した結果,pH7.2の20%,馬血清加培養液を用いて37℃で培養し,4日毎に培養液を1/4交換する方法が適当と考えられた. しかし,この条件によって培養しても,2週間を越えての浮遊細胞の維持は困難であった. 浮遊細胞の犬への接種によりCTSの発症が確認され,付着細胞による発症は認められなかった.
  • 岩崎 仁, 八十島 昭, 土井 邦雄, 岡庭 梓
    1988 年 50 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    過剰のビタミンD2を投与したビーグル犬にみられた病変の分布とその性状を,とくに血管系における変化に注目して病理組織学的に検索し,これら病変に及ぼすコレステロール同時負荷の影響についても調べた. ビタミンD2 (480,000I.U./kg/日)の21日間経口投与により,大動脈には中膜の水腫,弾性板走向の乱れおよび平滑筋細胞の変性が,冠状動脈には内膜の水腫,内弾性板の石灰沈着と断裂および平滑筋細胞の増殖が惹起された. 異所性石灰沈着は肺,気管,腎臓,甲状腺,上皮小体,脈絡叢,顎下腺,耳下腺,前立腺,胃および網膜に観察された. コレステロール(300mg/kg/日)の同時負荷によりこれらの変化は増悪し,大動脈病変は中腹の石灰,多糖類および少量の脂質の沈着により特徴づけられる,いわゆるMonckeberg型硬化症へと進展した.
  • 岩崎 真, 吉田 稔, 池田 孝則, 津田 修治, 白須 泰彦
    1988 年 50 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    有機燐剤フェンチオン (MPP) ミストのラットにおける全身暴露と鼻部暴露(アニマルホルダー収容) による毒性を比較した. LC50 (4h) は全身暴露では0.22mg/l,鼻部暴露では1.84mg/lであった. MPPを経口あるいは皮下投与による急性毒性試験結果からホルダーの拘束は,毒性にほとんど影響を及・ほさないことが示唆された. 一方,全身暴露によるMPPミストの毒性は,暴露終了後に動物の被毛を刈り取ると軽減した. 全身暴露群と鼻部暴露群の動物にMPPミストを同一濃度で同時に暴露すると,全身暴露のほうが鼻部暴露時より全血ChE活性が強く抑制された. ChE活性の抑制は全身暴露後に被毛を刈り取ると軽減した. 全身暴露群,鼻部暴露群,全身暴露後毛刈り取り群の動物をそれぞれのLC50に対して4時間暴露すると,暴露後の全血ChE活性の抑制度は,ほぼ同様であった. 以上から,MPPミストの全身暴露による毒性は鼻部暴露の8倍で,その差は吸入以外により取り込まれたMPPによることが示唆された.
  • 首藤 文栄, 村山 識, 小熊 恵二, 久保 周一郎
    1988 年 50 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    細胞融合によるボツリヌス毒素に対する単クローン抗体作製の過程で,大分子量の抗体存在が予想されたので,これを製精して性状を調べた. 単クローン抗体を含む腹水をSephadex G-200でゲルろ過し,IgG・IgM間に溶出される画分を,抗原(毒素)を結合させたカラムに負荷して,目的物質を分離製精した. 製精標品は,disc電気泳動で移動率の異なる3バンドを示し,すべての成分が抗体活性を有していた. SDS電気泳動では,245,000, 22,000, 188,000, 152,000, 135,000, 105,000, 75,000, 67,000, 52,000,および25,000のバンドが検出された. 2-メルカプトエノタール処理により,135,000以上のバンドは消失し,通常IgGの重鎖と軽鎖の他に,120,000, 82,000および67,000のバンドが検出された. 標品はゲル内沈降反応で抗IgG抗体と反応したが,抗IgM抗体および抗IgA抗体とは反応しなかった. 以上の結果から,細胞融合では通常IgGの他に,大分子IgGも産生されていることが示唆された.
  • 石田 卓夫, 鷲巣 月美, 島谷部 一成, 本好 茂一
    1988 年 50 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    日本の飼い猫から猫Tリンパ球指向性レンチウイルス(FTLV)に対する抗体を検出した. 本抗体はFTLV感染リンパ球に認められる分子量26kdの蛋白を認識していた. 今回検出された抗体陽性86例中ほとんどは,口内炎/歯齦炎,削瘻,慢性上部気道疾患,リンパ節腫大などの慢性疾患症状を示し,猫白血病ウイルス(FeLV)は陰性であった. FTLV抗体陽性猫はすべての年齢において認められ,ほとんどが屋外飼育あるいは野良猫から飼育されるようになったものであった. 感染は多頭飼育家庭でよくみられ,1例以上の陽性猫が存在する多頭飼育群の感染率は52.7%であった.
  • 上野 俊治, 諏佐 信行, 古川 義宣, 相川 勝弘, 板垣 伊織, 小宮山 毅, 高島 由佳
    1988 年 50 巻 1 号 p. 45-52
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    遊離ラット肝細胞の脂質過酸化に対する6価(Cr VI)及び3価クロム(Cr III)の影響を調べるため,遊離肝細胞を種々濃度の各種クロム化合物とともに37℃,60分間培養し,脂質過酸化をチオバルビツール酸法で測定,細胞障害を培養液中へのLDH遊出により検討した結果,次の成績を得た. 1) 遊離肝細胞の脂質過酸化は,125~1000μM濃度のCr III添加により抑制された. Cr VIは低濃度(125μM)で脂質過酸化を抑制したが,高濃度(1000μM)では促進した. 2) 肝細胞からのLDH遊出は,Cr VI (K2 Cr2 O7, 125~1000μM) により促進されたが,Cr III (Cr (NO3)3)では250μM以上の添加で有意に抑制された. 3) Cr VI添加で誘起された脂質過酸化は,抗酸化剤N,N'-diphenyl-p-phenylenediamine α-tocopherol, diethyl dithiocarbamateで抑制されたが,LDH遊出は抑制されなかった. 4) グルタチオン枯渇剤(diethyl maleate)で前処理した肝細胞においては,Cr VIによる脂質過酸化がCr VI濃度に依存して増強され,さらにこの増強作用は,GSHの添加により消失した. 5) アスコルビン酸による脂質過酸化は,Cr VI及びCr IIIの添加で著しく抑制された. 以上の成績から,遊離肝細胞における脂質過酸化はCr VIにより誘起され,Cr IIIにより抑制されることが明らかになり,さらに,Cr VIによる脂質過酸化は細胞内のGSHと一部関連するが,細胞障害とは直接関連していないことが示唆された.
  • 溝口 順二, 今道 友則
    1988 年 50 巻 1 号 p. 53-61
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    雌ラットの血漿インスリン濃度は,妊娠の経過に伴って上昇したが,分娩2日前に急激に低下し,泌乳期間中は有意に低下して処女ラットの20-30%であった. 泌乳期間終了後3日には再び処女ラットの値に戻った. インスリン濃度の低下は末梢血のみならず門脈血においても認められ,乳仔数が増加すると用量反応的に低下し,泌乳中断により処女ラット値に戻った. グルコース投与後には処女ラットと等しいインスリン分泌量がみられることから,泌乳ラットではインスリン分泌が抑制されていると考えられた. さらに,乳管切断ラットでは,吸乳刺激が加えられてもインスリン濃度の低下はみられず,乳仔数増加により末梢血糖は用量反応的に低下することから,泌乳ラットにおけるインスリンの分泌低下には乳生産に伴う末梢血糖の低下が関与していると推察された.
  • 山田 隆紹, 松田 基夫, 佐俣 哲郎, 土屋 亮, 小林 好作
    1988 年 50 巻 1 号 p. 63-69
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Bence Jones (B-J)蛋白尿を伴ったIgAモノクローナルγ-グロブリン血症の猫の腹水と尿から,モノクローナルIgA (M-IgA)とB-J蛋白を各々精製し,その性状を検討した. これら2種の蛋白は,硫酸アンモニウム塩析法,DEAE Sephadex A-50によるイオン交換法,Sephadex G-75あるいはG-200によるゲルろ過法,Protein Aならびに抗α鎖血清を用いたアフィニティー法を組み合せて精製した. SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分析で,M-IgAの分子量は約230,000であり,B-J蛋白は2種の主要成分からなりその分子量は約28,500と25,O00であった. B-J蛋白は2次電気泳動による分析で少なくとも5種のポリペプチドで構成されていることが確認された. さらに免疫学的検索とアミノ酸組成の分析から,M-IgAとB-J蛋白は抗原的に共通部分があり,かつ共通のポリペプチドから構成されていることが確認された.
  • 安田 準, 三田 久美子, 岡崎 ひづる, 岩瀬 恵美子, 町田 登, 戸尾 祺明彦, 佐藤 博
    1988 年 50 巻 1 号 p. 71-81
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    26頭の健康仔牛,86頭の健康成牛及び232頭の肝病変を有する野外例の血清総GOT, m-GOT, GLDH活性を測定し,さらに4頭の仔牛で薬物性肝障害を作出してGOTアイソエンザイムの変化を観察した. 実験的肝障害例においては,肝の壊死性障害が顕著な時期に血清m-GOTの明白な上昇が認められた. 野外例では,肝細胞壊死,肝線維症,肝腫瘍,アミロイド症などでm-GOTの中等度ないし高度上昇を認めたが,肝細胞水腫性変性,脂肪化,肝蛭症などではm-GOTはほとんど上昇しなかった. 起立不能や外傷など筋肉損傷を併発している牛の肝機能評価にm-GOT/t-GOT比が有用と思われた.
  • 星 信彦, 橋本 善春, 北川 浩, 昆 泰寛, 工藤 規雄
    1988 年 50 巻 1 号 p. 83-92
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ブタリンパ節の「髄質様組織」とそれに面するリンパ洞の微細構造を電顕的に検索した. 髄質様組織は主に細網細胞と膠原線維束からなり,いわゆる髄洞構造はみとめられなかった. 皮質・髄質様組織境界部の髄質様組織側および被膜下洞付近の髄質様組織には,多数の細長い細胞質突起を相互に,あるいは大食細胞の細胞質突起と複雑迷路状にからめあい,密な網工を形成している樹枝状細胞が多数観察された. 輸出リンパ管の存在しない被膜下領域では,明瞭なリンパ洞の形態を備えた被膜下洞はみとめられなかった. 梁柱周囲洞の梁柱側を構成する内皮細胞はほぼ連続した基底膜で覆われ,その外側にはよく発達した膠原線維束が観察された. 梁柱周囲洞の実質側および被膜下洞の内壁は不連続な洞内皮細胞と膠原線維束の2層構造を呈した. これらの結果から,ブタリンパ節のリンパ洞には他動物のリンパ節にはみられない微細構造が存在するとともにその髄質様組織は強い結合組織性の性格を有し,リンパ節に流入する物質や細胞成分の濾過作用を増強させているものと推察された.
  • 深瀬 徹, 香門 真理江, 板垣 博
    1988 年 50 巻 1 号 p. 93-97
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    鶏舎で採取した鶏糞0.5kgずつの30検体を6検体ずつの5群に分け,うち1群を無処置群とし,1群には糞便表面積1m2あたり300mlの水道水を散布した. また,このほかの3群に対しては,糞便表面積1m2あたり300mlの水道水にトリフルムロン250mg/m2,500mg/m2,または1000mg/m2を懸濁して散布した. 各群から発生したイエバエの数は,無処理群で13~23 (18.8±4.4)匹,水道水散布群で13~23 (18.3±3.8)匹であったが,トリフルムロン250mg/m2群では8~10 (9.0±0.6)匹,500mg/m2群では6~8 (6.8±0.8)匹,1000mg/m2群では1~2 (1.2±0.4)匹であった. 薬剤を散布した糞便中には,奇形サナギが多数残存していた.
  • 伊東 久男, 橋本 善春, 北川 浩, 昆 泰寛, 工藤 規雄
    1988 年 50 巻 1 号 p. 99-110
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    マウスおよびブタの主要な胃腸膵内分泌細胞6種類の個体発生時における出現時期と分布とについて免疫組織化学的に観察した. グルカゴン細胞の出現が最も早く,マウスでは妊娠9日齢胎仔で,またブタではすでにCRL0.8cm胎仔で本細胞が十二指腸とそれから膨出した膵臓に多数観察された. マウスの膵臓では,PP,インシュリン,ガストリン/CCKおよびソマトスタチン細胞がそれぞれ,10,11,13,15日齢胎仔で最初にみとめられた.ブタの膵臓では,インシュリン,ソマトスタチンおよび5-HT細胞がCRL1.0cm胎仔で,またPP細胞がCRL2.5cm胎仔で同定された. 一方,マウスの消化管ではPPおよびガストリン/CCK細胞が妊娠14日齢胎仔で,5-HT細胞が15日齢胎仔で,またソマトスタチン細胞が16日齢胎仔でそれぞれ初めて観察された. ブタの消化管では,これらの細胞がCRL2.0ないし3.0cm胎仔に出現していた. また発生初期のブタ胎仔の消化管にはインシュリン細胞がみとめられた. これらの観察結果から,いずれの動物種の胃腸膵内分泌系においてもグルカゴン細胞が最初に出現すること,一般に膵臓内分泌細胞の方が消化管内分泌細胞よりも先に出現することなどが明らかとなり,胃腸膵内分泌細胞の出現時期と分布に関する個体発生様式はマウスとブタとの間で基本的に類似していることが示唆された.
  • 平棟 孝志, 工藤 竜大, 菊地 直哉, 梁川 良
    1988 年 50 巻 1 号 p. 111-114
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    C. renale, C. pilosum およびC. cystitidis はホスホマイシン(FOM)に抵抗性で,その最小発育阻止濃度(MIC)は25,000-75,000μg/mlであったが,S. aureus, S.agalactiae, E. coli,およびB.subtilisのそれは12.5-25.0μg/mlであった. トリプチケースソイ寒天培地にFOMを200μg/ml,抗真菌剤として,アムホテリシンBを2μg/ml,馬脱線血を5%に加えた選択培地を用いて,江別市近郊で飼育されている210頭の健康牛から尿路コリネバクテリアの検出を行ったところ,12頭(5.7%)の外陰部および14頭(6.6%)の膣前庭からC. renaleが,また,34頭(16.2%)の外陰部および膣前庭からC.pilosumが分離され,外陰部からの尿路コリネバクテリア菌数が,膣前庭からのそれよりも多かった. 上記選択培地を用いることにより,糞尿で汚染されている牛の外陰部にC.renale, C. pilosumが多数存在することが明らかにされ,この選択培地は牛舎の床,放牧場の土などにおける尿路コリネバクテリアの分布を調べるために有用と思われた.
  • 上原 正人, 上嶋 俊彦
    1988 年 50 巻 1 号 p. 115-124
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    大脳頭頂皮質,小脳,脊髄の浅膠境界膜(SGLM)を走査電子顕微鏡を主体として,透過電子顕微鏡と合わせて観察した. 大脳SGLMは一般に厚く,複雑で各種形態を示す,主に星状膠細胞突起から作られ,一部胞体も参加していた. 大脳表面は星状膠細胞の軟膜への突起である,終足で覆われていた. 終足辺縁にみられる多数の歯状突起を主体とした突起は隣接終足の下層に伸びて,大脳表面の終足輪郭は比較的整っていた. 大脳SGLMをつくる星状膠細胞は多くの膠細糸を含んでいたが,突起の形態から形質性星状膠細胞とみなされた. 小脳SGLMは薄く,主にBergmann細胞由来の終足からなり,一部で軟膜下星状膠細胞の胞体が参加し,小脳終足は大脳のそれと類似していた. 脊髄SGLMは大・小脳のそれの中間の厚さを示したが,部位による差が大きかった. 脊髄SGLMは表面を覆う終足と,分枝せずに直走する長い突起からなり,これらは線維性星状膠細胞の特徴を示すものと考えられた.
  • 大石 勇, 片江 宏巳, 中垣 和英, 中井 正博
    1988 年 50 巻 1 号 p. 125-130
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Ivermectinの1か月間隔投与による犬糸状虫の寄生予防効果を,自然感染下で実験した. 実験犬35頭をA(15頭), B(10頭), C(5頭)の3群とし,7月1日から9月30日の3か月間蚊に曝して自然感染させた. さらに,A,B両群には7,8月に3回に分けてL3を1頭当り30匹実験感染した. A群には8,9,10,11月の各月1日にivermectin 6μg/kgを経口投与し,B群にはA群と同一日にplaceboを投与し,C群は無投薬群とした. B群全例からは平均49.1匹の虫が回収(実験感染L3数に対して平均163.7%の回収率)され,C群全例からは平均33.6匹の虫が回収されたことから,この実験では高度の自然感染があったことが示された. Ivermectin投与のA群からは虫は回収されず,右心への寄生予防効果は確実であり,副作用は認められなかった. 以上の成績から,自然感染開始後1か月から終了後1か月の期間を通して,1か月間隔でivermectin 6μg/kgを投与すれば,犬糸状虫寄生を確実に予防できることが証明された.
  • 千早 豊, 松川 清, 古澤 幸夫, 八田 嘉明, 岡田 洋之, 有沢 幸二
    1988 年 50 巻 1 号 p. 131-137
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    過去10年間における当教室での仔牛の剖検例406例中に19例の深在性真菌症を認めた,そのうちアスペルギルス症の1例の中枢神経,腎臓,心臓,気管支リンパ節および末梢神経に播種性病巣が認められ,原発巣は肺が考えられた. さらに消化器系アスペルギルス症およびムコール症を伴っていた. 早産による虚弱体質,出生時の股関節脱臼,抗生物質およびデキサメサゾンの投与による感染への抵抗性の低下が真菌感染の前駆要因と考えられた.
  • 磯貝 浩, 磯貝 恵美子, 井藤 信義, 高野 一雄
    1988 年 50 巻 1 号 p. 139-144
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    歯肉炎自然発症ラット(SUSラット)における歯肉血流量を水素ガスクリアランス法で測定した. 急性歯肉炎を起こした2~4か月齢のSUSラットにおいて著明な歯肉血流量の増加が観察された. 7か月齢で血流量は対照と同様の値にもどり,歯肉の病変は亜急性炎へと進行した. 対照ラット(RESラット)では歯肉血流量は実験期間中一定であった. この知見から歯肉局所の血流量が急性炎症病変に伴って増加することが示唆された.
  • 大田 博昭, 吉川 泰弘, 山内 一也, 石島 洋一, 小峯 健一, 岡田 秀親
    1988 年 50 巻 1 号 p. 145-152
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニワトリひなあるいはその鶏胚に鶏痘ウイルスワクチン株あるいは野外株を接種して病原性,組織学的変化,ウイルスの増値性,特異免疫の成立について,補体活性化の影響を検討した. ワクチン株は細胞,鶏胚・ひなのいずれにおいてもC3の沈着を起こすことから,補体の活性化が考えられたが,野外株では補体活性化はみられなかった. ワクチン株接種ひなでは善感発痘がみられ,鶏胚での症原性は野外株より高かった. 偽好酸球浸潤を防止するcarrageenanで鶏胚を処置してワクチン株を接種したところ,処置しない鶏胚にくらべて低い病原性と示した. ワクチン株接種では,野外株の場合と比較して,他のウイルス株攻撃に対する抵抗性,特異免疫の成立が早く,より高いレベルに達した. これらの成績から,鶏痘ウイルス感染により誘導される補体活性化が病原性の発現および特異的免疫の成立に関与することが示唆された.
  • 竹内 正太郎, 小林 良則, 両角 徹雄, 森 康行
    1988 年 50 巻 1 号 p. 153-157
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    豚,鶏および牛から分離されたStaphylococcus hyicus subsp. hyicusのプロテインAを定性的および定量的に調べた.スライド感作血球凝集反応によって病豚由来47株中42株(89.4%)および健康豚由来132株中105株(79.5%)に菌体結合性プロテインAが証明されたが,鶏および牛由来株では認められなかった. これらの豚由来株からのリゾスタフィンによって遊離した菌体結合性プロテインAとヒトIgGとの間に寒天ゲル内沈降反応で形成された1本の沈降線は,Staphylococcus aureus Cowan I株のプロテインAとヒトIgGの間に形成された沈降線と融合した. プロテインAをマイクプレート感作血球凝集反応で定量的に測定したところ,対照S. aureusの力価(1 :5,120)に対して,ほとんどの豚由来株は低い力価(1 :32~1 :256)を示した. また,プロテインAは豚由来株培養上清にも証明され,菌体外プロテインAではなく,細胞壁の菌体結合性プロテインAが溶菌に伴って培地中に遊離したものであると思われた.
  • 武藤 顕一郎, 和栗 秀一
    1988 年 50 巻 1 号 p. 159-167
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    調べたヒツジ10頭全例の第二・三胃口周囲の溝唇ないし基底部の粘膜下組織から筋層にかけて腺が存在していた. 複合管状胞状線で,終末部は漿液細胞,粘液細胞および筋上皮細胞からなり,漿液細胞の核周囲部には,大型の電子的に明調な分泌果粒も認められた. 筋上皮細胞は腺細胞と基底膜の間にあり,その細胞質突起は腺房表面に放射状に広がり,突起端で互に連続し,網工を形成していた. 粘膜内の位置や組織学的構造の特徴から,この腺は食道腺に類似のものと考えられ,幼若なヒツジで高頻度に認められた.
  • 杉山 広, 堀内 貞治, 冨村 保
    1988 年 50 巻 1 号 p. 169-174
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウェステルマン肺吸虫の脱嚢幼虫を対象として,幼虫期虫体の抗原解析を試みた. ウサギ免疫血清を用いたゲル内沈降反応および酵素抗体法により,幼虫抽出粗抗原中には成虫抗原と免疫学的に共通する物質が含まれることが示された. 免疫血清を成虫抗原で吸収し,幼虫抽出粗抗原との反応におよほす影響をimmunoblotting法により調べると,吸収により分子量26,000の物質との反応は消失したが,34,000以上の物質との反応は大きく変化せず,幼虫抽出粗抗原中には幼虫期に特異的な物質も含まれていることが示された. 抗原の局在部位を免疫染色により調べたところ,免疫血清は,成虫抗原による吸収の有無にかかわらず,幼虫の腸管上皮細胞およびその内容物と反応した. 以上の成績から,ウェステルマン肺吸虫の幼虫期虫体は,成虫との共通抗原物質のほか,幼虫期に特異的な抗原物質を含み,いずれも虫体の腸管由来であることが示唆された.
  • 志賀 瓏郎
    1988 年 50 巻 1 号 p. 175-182
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    5頭の成雌羊について,一定飼料給与期(C-1期;10日間), Ca CO3の750mg (Caとして300mg)/kg体重/日添加給与期及び再び飼料のみで飼育した時(C-2期;7日間)のCa, Mg, Pの出納および血清濃度を測定し,Ca, Mg, P代謝に及ほすCa多給の影響を調べ次の成績を得た. 1) E期には,Caのみかけの吸収量と体内保留量は著増したが,尿中排泄量は変化がなく,血清濃度が一過性にわずか上昇した. C-2期には,Caのみかけの吸収量と体内保留量が負の値を示し,尿中排泄量と血清濃度は変化がなかったことから,Ca吸収量の増加は少量と考えられた. 2) Ca添加給与直後には,Mgのみかけの吸収量,尿中排泄量,体内保留量に著変はなかったが,血清濃度は一過性に有意に低下した. E期後半では,Mgのみかけの吸収量と体内保留量の漸減傾向に対応し,血清濃度も低いレベルを保った. C-2期には,Mgのみかけの吸収量と体内保留量は有意に減少し,尿中排泄量は有意に増加したため,Mgの吸収抑制が認められ,血清濃度は回復しなかった. 3) E期の前半には,Pの血清濃度が一過性に上昇したが,後半にはみかけの吸収量の減少と尿中排泄量の増加により負の出納を示した. C-2期には,C-1期に比べ,Pのみかけの吸収量は回復したが,尿中排泄量は多く,体内保留量は少なかった. 以上から,Ca多給による一過性のCa吸収量の増加が,MgとP代謝を抑制することが示唆された.
  • 荒井 延明, 橋本 善春, 北川 浩, 昆 泰寛, 工藤 規雄
    1988 年 50 巻 1 号 p. 183-192
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニワトリの上部消化管および気道に付属するリンパ組織の分布について組織学的に検索し,粘膜固有層中に出現するIg含有細胞(cIg: cIgG, cIgA, cIgM)およびT細胞の分布とそれらの孵化後の分化過程とについて免疫組織化学ならびに計量組織学的に検討した. 成鶏では,発達したリンパ組織が上部消化管においては食道扁桃として,また気道においては膜性気管支部のリンパ小節群として常時観察され,cIgの総数は食道肩桃部において最も多いことが明らかにされた. cIgGは上部消化管と気道を通じてcIgAおよびcIgMよりも高頻度に出現し,食道扁桃部と膜性気管支部においては少数のcIgGが孵化後5日齢で最初に検出され,cIgG数の増加は孵化後2週齢まで顕著であり,同時に盛んな胚中心の形成が観察された. また,これらの部位には孵卵20日齢より多数のT細胞が検出された. 上部消化管および気道その他の部位におけるcIgとT細胞は加齢とともに漸増した. これらの結果から上部消化管では食道扁桃が,気道では膜性気管支部のリンパ小節群が下部消化管におけるパイエル板や盲腸扁桃に相当するリンパ組織として局所免疫機構の中で重要な役割を果たす部位であると推察された.
  • 筒井 敏彦, 手塚 泰文, 清水 敏光, 村尾 育子, 河上 栄一, 小笠 晃
    1988 年 50 巻 1 号 p. 193-198
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    新鮮精液を用いて犬の腔内人工授精による受胎に必要な精子数および精液量について,1~5才のBeagle,雄11頭,経産雌25を用いて検討した. 精液量3mlと1mlの2グループとし,生存精子2億,1憶,5千万,2.5千万を逆立ちさせた交配適期の雌犬3~9頭に人工授精した. 注入精子数2億では7/8(89%),1億では5/15(33%),5千万では6/13(46%),2.5千万では0/8が受胎した. 精液量のちがいによる成績に差はなかった. これらの成績を雄と1回交配させたコントロールのそれ(18/19, 95%)と比較すると,2億注入例のみが有意の差を示さなかった.
  • 窪田 宜之, 梁川 良
    1988 年 50 巻 1 号 p. 199-207
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Corynebacterium renale No.115株の有線毛(P+)菌および無線毛(P-)菌のマウス好中球による食菌を調べた. オプソニンの存在しない条件,5%の補体のみ,あるいは抗線毛血清のみ,抗P+菌血清のみ,抗P-菌血清のみのいずれかが存在する条件では,P-菌がP+菌より有意に多く食菌された. P+菌の取り込みは,抗線毛血清と補体あるいは抗P+菌血清と補体の存在下で上昇し,P-菌と同程度取り込まれた. 抗線毛単クローン性抗体16/15および13/4は補体の存否にかかわらず,P+菌に対しオプニソン効果があり,P-菌に対してはなかった. 抗線毛単クローン性抗体16/5と13/4のオプニソン効果は抗線毛血清と補体の両者が存在する場合よりも弱かった. P-菌の取り込みはオプニソンが存在する条件としない条件ではぼ同じであった. またマウス好中球によるこれらの食菌の結果を以前報告したマウスマクロファージによる食菌の結果と比較して考察した.
  • 後飯塚 僚, 恩田 千景, 廣田 好和, 長谷川 篤彦, 友田 勇
    1988 年 50 巻 1 号 p. 209-214
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ネコ伝染性腹膜炎(FIP)ウイルスに曝露されたネコ肺胞マクロファージ培養上清中のインターロイキン1 (IL-1)活性をマウス胸腺細胞の増殖反応を用いて検索したところ,培養開始後48時間から96時間にかけて高い活性が認められた. IL-1は56℃,30分の熱処理で活性が低下し,Sephacryl S-200を用いたゲル〓過で分子量約15000 daltonであることが明らかになった. これらの物理化学的性状はlipopolysaccharide (LPS)で誘発されたネコIL-1のそれと類似していた. クロマトフォーカシング法を用いて検索した結果,FIPウイルス誘発のネコIL-1の等電点は,4.1, 4.8, 5.3および6.8であり,前3者はヒ卜のIL-1αに,等電点6.8のIL-1はIL-1μに相当すると考えられた. FIPウイルス誘発のネコIL-1は,LPS誘発のIL-1に比べ,等電点6.8のIL-1の比率がより大であった.
  • 山本 茂貴, 岩井 浤, 上田 雄幹
    1988 年 50 巻 1 号 p. 215-225
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    結核菌(青山B株)死菌免疫BALB/cヘテロ(nu/+)マウスの膝高リンパ節細胞から,抗原刺激一休止培養サイクルを反復する方法で,ツベルクリン活性ペプチド(TAP)反応性T細胞lineを樹立した. 得られたT細胞lineはThy1.2+, Lyt1.2+, L3T4+, Lyt2-で,IL-2およびMIF産生能を有し,in vivoでの遅延型足蹠反応を示すことから,TDTHサブセットに属するとみなされた. 結核抗原に特異的に反応するTAP反応性T細胞lineはBCG感染ヌードマウスに移入後2週で肝に肉芽腫を形成出来たことから,TDTHが肝肉芽腫形成に関与するT細胞サブセットであることが確認された. さらにT細胞lineを移入されたマウス肝の観察で,肉芽腫を認めたマウスでは脾の白脾髄周囲にも肉芽腫を認めたことから,少なくとも移入T細胞の一部はまず脾に到達して再刺激を受けた後,肝肉芽腫形成に関与することが示唆された.
  • 河上 栄一, 筒井 敏彦, 山田 陽一, 小笠 晃, 山内 亮
    1988 年 50 巻 1 号 p. 227-235
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    片側性陰睾の成犬12頭,未成熟犬3頭お上び両側性陰睾の成犬1頭に陰嚢内固定手術を実施後,2, 4または8週間隔で精巣容積,精巣バイオプシーの組織所見を観察するとともに,末梢血・精巣静脈血中テストステロン値を測定した. 手術後,陰睾側精巣容積は明らかに増大し,未成熟犬では術後8週,成犬では10週で,陰睾側精巣の精細管内に少数の精子が認められた. さらに術後20, 24週では陰睾側と対照側の精巣組織所見に大きな相違はみられず,とくに術後の下降側精巣における精細胞数の増加が注目された. 手術後一過性に悪化した精液性状は,術後の経過時間とともに改善された. 末梢血および両側精巣静脈血中テストテロン値は,固定手術後徐々に増加した. 以上のごとく,犬では陰睾側精巣を陰嚢腔内へ下降させることにより,両側精巣の造精機能が促進されることが判明した.
  • 久米 勝巳, 中井 豊次
    1988 年 50 巻 1 号 p. 237-241
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    豚あるいはモルモットを用い,H. pleuropneumoniae血清型2および5菌株で調製した2価ワクチンの防御能を検討した. 防御はワクチン注射動物の75%から95%で認められ,血清型2あるいは5菌株の攻撃に耐過したすべての動物はhomologousの株に対して1:16以上の補体結合(CF)抗体価を有した. 等量の菌濃度で調製された2価ワクチンには少なくとも1×1010個/mlを含むことが必要であろうと考えた.
  • 原澤 亮, 大林 ふき乃, 岩下 修, 金内 長司
    1988 年 50 巻 1 号 p. 243-246
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    C.jejuniのゲノムの一部に相補的な合成オリゴヌクレオチドを用いてドット・プロット法とサザン・プロット法によるDNA交雑試験を行い,以下の結果を得た. ドット・プロット法による検出限界は10ngであり,プローブは他のCampylobacter 4菌種とは交差せず,野外分離株についてC. jejuniを同定することができた.プローブはサザン法により,ゲノム中の1.2kb Hind III断片,1.8kb BamHI断片上のみに相同配列をもつことが示された.
  • 甲斐 一成, 黒木 雅彦, 金田 佳枝, 鶴岡 浩志, 鹿江 雅光, 井上 誠
    1988 年 50 巻 1 号 p. 247-249
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    猫伝染性腹膜炎ウイルスUCD1株を感染させた猫由来細胞4株のうち2株に細胞変性がみられたが,他の2株およびVero細胞あるいはラット乳癌由来細胞では変性は観察されなかった. これらの感染細胞に抗ウイルス抗体と免疫酵素抗体を作用させると,ラット由来細胞を除くすべての細胞でフォーカス状のウイルス抗原が検出された.
  • 平野 紀夫, 佐々木 敦子, 小野 勝彦, 村上 敏明, 松本 稔
    1988 年 50 巻 1 号 p. 251-253
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    イヌロタウイルスRS-15株は明瞭な細胞変性効果を示してGBK細胞で増殖した. トリプシンとDEAEデキストランを加えた重層寒天によるプラック法では,GBK細胞でのプラック形成はMA104細胞にくらべて約10倍高かった.
  • 清宮 幸男, 菊地 文也, 田中 修一, 大島 寛一
    1988 年 50 巻 1 号 p. 255-257
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1985年5月~6月に岩手県のミンク農場に授乳症の発生があり,授乳中の230頭中70頭が死亡した. 食欲不振ないし廃絶,顕著な削痩および運動失調がみられ,剖検により,体脂肪の著しい減少,肝臓の著明な腫大および黄色化が認められた. 組織学的には,肝臓および腎臓の高度脂肪化が観察され,飼料分析の結果,栄養成分の不均衡な飼料の給与によるものと思われた.
  • 湊 良雄, 山村 高章, 高田 博, 小嶋 明廣, 今泉 和則, 和田 功, 武下 政一, 岡庭 梓
    1988 年 50 巻 1 号 p. 259-261
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    長期飼育したSD系雄ラット(88週齢)の心嚢および横隔膜に灰白色結節状で硬い骨様の腫痛を認めた. 腫瘍組織には類骨形成が著明で,rERがよく発達した細胞から,細胞内小器官に乏しい細胞まで,種々の分化段階にある骨芽細胞類似の腫瘍細胞が観察された. 間質には基質小胞を中心とする骨化機転も認められた. 全身骨格に異常がないことから,本症例は胸腔軟部組織原発の骨外性骨肉腫と診断された.
  • 山本 雅子, 有嶋 和義, 江口 保暢
    1988 年 50 巻 1 号 p. 263-266
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ラット胎仔に,胎齢17~20日の午前10時においてCRFを直接皮下注射し,8時間後に副腎皮質細胞を電顕的に観察した. 胎齢17日例と18日例では変化はみられなかったが,胎齢19日以降の例においては,ミトコンドリア/細胞面積比が有意に増加し,同時に,滑面小胞体の拡張,ポリゾームの増加,ゴルジ体の発達が観察された.
  • 池 和憲, 蛭間 正巳, 井出 誠弥
    1988 年 50 巻 1 号 p. 267-268
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    哺乳豚の下痢症(ND)由来54株(9頭)および離乳豚の下痢症由来159株(35頭)の計213株の大腸菌について線毛抗原Att25 (FY)の検出を試みたところ,ND後に敗血症で死亡した2頭由来の5株から,従来牛由来株でのみ報告されていたAtt25が検出された.
  • 岡田 利也, 森川 嘉夫
    1988 年 50 巻 1 号 p. 269-272
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ラット胎仔の腎臓の単位体積当たりの腎小体数は,胎生16~18日に増加し,胎生18~20日にかけては逆に減少し,その後一定となった. すなわち,胎生16~18日は盛んな腎小体の新生の時期で,それ以後は腎小体の分化と尿細管の発達が盛んとなることが示された.
  • Rerkamnuaychoke W., 九郎丸 正道, 西田 隆雄
    1988 年 50 巻 1 号 p. 273-275
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ハムスターの蔓状静脈叢では,動脈と静脈の外膜は融合して1層を形成し,ここに多数のリンパ管が存在していた. 静脈壁には不規則方向に突出した特異構造,endothelial bridgeが動脈走行に沿って常に認められ,動脈を支持する役割を担うと考えられた.
  • 松岡 俊和, 飯島 雄二, 桜井 健一, 鴻巣 泰, 田宮 和枝, 沖 三雄, 新井 則雄, 神田 幹雄
    1988 年 50 巻 1 号 p. 277-278
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    病理組織学的検査及びウイルス分離により,犬のオーエスキー病が確認された(1986年3月8日). 主な臨床症状は,沈うつ,流涎および掻痒であった. 病理組織検査では,中枢神経系において,脳脊髄炎と神経節炎が観察され,神経細胞およびグリア細胞の核内に封入体が認められた. 免疫酵素抗体法により,核内封入体に一致して,オーエスキー病ウイルス抗原が検出され,脳,胸髄,心および胸腺からオーエスキー病ウイルスが分離された.
  • 須永 藤子, 並河 和彦, 菅野 康則
    1988 年 50 巻 1 号 p. 279-281
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Babesia gibsoni感染犬の体温リズムを移動平均法とコサイナー法を用いて解析したところ.一時的な体温上昇後にリズムが平坦化する時期と,昼間に低く,夜に高い体温を示す時期とが認められ,後者は死期に近づくにつれてみられた. これら2時期の体温リズムと感染前のそれとの差は統計的に有意であった.
  • 岡本 芳晴, 藤木 徹, 田島 誉士, 大友 勘十郎, 小池 壽男
    1988 年 50 巻 1 号 p. 283-285
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬の可移植性性器肉腫由来CTS細胞を皮下接種されたX線照射マウスでは,接種10日後に直径約8mmの腫瘤が形成されて後,徐々に退縮した. ヌードマウスではCTSの発育は緩慢で,接種17週後に最大直径約6~8mmに達し,ヌードマウスから得られたCTS細胞を幼犬皮下に継代接種したところ,接種7週後に直径約1cmの腫瘤が形成された.
  • 新井 敏郎, 佐々木 昌志, 田中 寿一, 大木 与志雄
    1988 年 50 巻 1 号 p. 287-290
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ハタネズミの肝・腎・心筋・骨格筋および血漿のLDH 活性とそのアイソザイムパターンを測定し,マウスの成績と比較検討を行った. ハタネズミの肝では5型のみが検出されたが,活性はマウスの約1/3であった. 骨格筋では5型の活性がマウスに比べて低く,相対的にH型が高く,血漿でも各臓器の成績を反映してハタネズミではマウスに比べて相対的にH型が高かった.
  • 谷本 忠司, 代田 欣二, 信田 卓男, 宇根 ユミ, 野村 靖夫
    1988 年 50 巻 1 号 p. 291-293
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ネコの結腸に発生した組織球肉腫について病理学的に検索した. 腫瘍細胞は多形性を示し,細胞質は非特異的エステラーゼ反応,酸性フォスファターゼ反応陽性で,間接酵素抗体法によりリゾチーム,α1-アンチトリプシンが証明された. 腫瘍細胞間には,C型ウイルス粒子が多数認められた.
  • 鈴木 泰子, 児玉 道, 井上 亙, 関口 喜一
    1988 年 50 巻 1 号 p. 295-297
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    豚レトロウイルスの逆転写酵素に対する単クローン性抗体を作出した. これら抗体は,この酵素が有するDNA polymerase活性を特異的に抑制し,鶏赤芽球症ウイルス逆転写酵素の同活性は抑制しなかった. また,RNase H活性に対する抑制は認められなかった.
  • 佐藤 宏, 川瀬 史郎, 奥 祐三郎, 神谷 正男, 大林 正士
    1988 年 50 巻 1 号 p. 299-302
    発行日: 1988/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Schistosoma mansoni, Angiostrongylus siamensis, A. costaricensis, Toxocara canis, T. cati各感染マウスの肺および胆管を組織学的に観察した. 蠕虫感染と関連して,胆管および細気管支では異形成性上皮に由来する蛋白結晶が,肺胞マクロファージでは赤血球に由来すると考えられる蛋白結晶が高率に認められた.
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