日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
Print ISSN : 0021-5295
ISSN-L : 0021-5295
猫の脳脊髄における浅膠境界膜の走査電子顕微鏡的研究
上原 正人上嶋 俊彦
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 50 巻 1 号 p. 115-124

詳細
抄録
大脳頭頂皮質,小脳,脊髄の浅膠境界膜(SGLM)を走査電子顕微鏡を主体として,透過電子顕微鏡と合わせて観察した. 大脳SGLMは一般に厚く,複雑で各種形態を示す,主に星状膠細胞突起から作られ,一部胞体も参加していた. 大脳表面は星状膠細胞の軟膜への突起である,終足で覆われていた. 終足辺縁にみられる多数の歯状突起を主体とした突起は隣接終足の下層に伸びて,大脳表面の終足輪郭は比較的整っていた. 大脳SGLMをつくる星状膠細胞は多くの膠細糸を含んでいたが,突起の形態から形質性星状膠細胞とみなされた. 小脳SGLMは薄く,主にBergmann細胞由来の終足からなり,一部で軟膜下星状膠細胞の胞体が参加し,小脳終足は大脳のそれと類似していた. 脊髄SGLMは大・小脳のそれの中間の厚さを示したが,部位による差が大きかった. 脊髄SGLMは表面を覆う終足と,分枝せずに直走する長い突起からなり,これらは線維性星状膠細胞の特徴を示すものと考えられた.
著者関連情報
© 社団法人 日本獣医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top