抄録
26頭の健康仔牛,86頭の健康成牛及び232頭の肝病変を有する野外例の血清総GOT, m-GOT, GLDH活性を測定し,さらに4頭の仔牛で薬物性肝障害を作出してGOTアイソエンザイムの変化を観察した. 実験的肝障害例においては,肝の壊死性障害が顕著な時期に血清m-GOTの明白な上昇が認められた. 野外例では,肝細胞壊死,肝線維症,肝腫瘍,アミロイド症などでm-GOTの中等度ないし高度上昇を認めたが,肝細胞水腫性変性,脂肪化,肝蛭症などではm-GOTはほとんど上昇しなかった. 起立不能や外傷など筋肉損傷を併発している牛の肝機能評価にm-GOT/t-GOT比が有用と思われた.