抄録
C型ボツリヌス菌14株を,30,37,および42℃で培養し,濁度,菌数お上び芽胞数を経時的に測定したところ,至適発育温度によって4群にわけることができた. 至適発育温度での培養液では培養遠心上清中の毒素量が低く培養液の遠心沈直を音波処理して菌体を破壊すると大量の毒素が遊離した. 菌体結合毒素は遊離毒素に比べ,ニワトリに対する経口毒力が著しく高かった. C型L毒素(分子量約50万)はpH2でC型菌体に結合したが,M毒素(分子量約30万)は結合しなかった. 菌体を80℃15分加熱してもこの結合は起こり,再結合したL毒素の経口毒力も著しく増大した. 以上の成績から,C型ボツリヌス毒素は,耐熱性菌体成分を介して菌体に結合し,この結合は消化管(胃)内でも起こると考えられ,菌体結合毒素はニワトリの発症に重大な役割を果たすと結論した.