日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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50 巻, 2 号
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  • 泉対 博, 甲野 雄次
    1988 年 50 巻 2 号 p. 303-311
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    馬伝染性貧血ウイルスを接種した5頭の馬についてウイルスと赤血球の結合,変性赤血球への補体の結合・活性化,その結果生ずる溶血またはマクロファージ等による捕食について調べた. 発熱,ウイルス血症を示したときの赤血球には,ウイルスが付着しており,モルモット補体存在下で37℃で接種前または潜伏期赤血球と比べて溶血しやすく,健康馬由来培養マクロファージによって捕食されやすかった.すべての例で初回発熱の後期及び下熱直後に赤血球数が減少したが,その時点では一部の例でゲル内沈降試験,HI試験,中和試験によって抗体が検出できなかった. 発熱とともに血清補体活性価は低下した.
  • 菊池 直哉, 高柳 直哉, 小坂 祐司, 平棟 孝志, 梁川 良
    1988 年 50 巻 2 号 p. 313-323
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    小莢膜保有K. pneumoniae莢膜型1の健康種雄馬精液および子宮内膜炎罹患患馬子宮頸管における存在を調べ,さらにマウスに対する毒力および好中球による被食菌の程度について,大莢膜保有株と比較検討した. 小莢膜保有株は,莢膜の厚さが1.3-2.2μmで,大莢膜保有株は,莢膜の厚さが3.0μm以上であった. 種雄馬精液由来K. pneumoniae 5株中4株(80.0%)が小莢膜保有株であり,1株(20.0%)が大莢膜保有株であった. 一方,子宮頸管由来K. pneumoniae 83株中7株(8.4%)が小莢膜保有株であり,他の76株(91.6%)が大莢膜保有株であった. このように,種雄馬精液と子宮内膜炎罹患馬子宮頸管において,小莢膜保有株および大莢膜保有株の分離率に差が認められた. 小莢膜保有株は,マウスに対して弱い毒力(精液由来株,LD50が107-108 CFU),または中等度の毒力(子宮頸管由来株,LD50が105 CFU)を示し,ウマ,マウスの好中球に容易に食菌された. 一方,大莢膜保有株は,精液および子宮頸管由来を問わず強い毒力(LD50が102-104 CFU)を示し,好中球の食菌作用に抵抗し,ほとんど食菌されなかった.
  • 昆 泰寛, 橋本 善春, 北川 浩, 工藤 規雄
    1988 年 50 巻 2 号 p. 325-332
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    3種両生類における糸球体傍装置(JGA)の構成要素,レニン含有(RC)細胞の分布ならびにその超微形態を観察した. JGAは輸入,輸出糸球体細動脈ならびにRC細胞からなり,糸球体外血管間膜は存在しなかった. 緻密斑様構造物はウシガエルのみにみとめられた. RC細胞は輸入血管に沿って広く存在していたが,輸出血管にはみとめられなかった. アフリカツメガエルにおいて,RC細胞は糸球体内部に多数みとめられた. 超微形態学的に,本細胞の果粒にはときに融合像(集塊果粒を含む)がみられ,小型小胞と大型有芯小胞を含む多数の無髄神経線維が外膜側にみとめられ,一部本細胞の陥凹部に侵入していた. これらのことから,両生類は魚類と鳥類,哺乳類との中間的JGA構成を有することが明らかとなった.
  • 佐俣 哲郎, 松田 基夫
    1988 年 50 巻 2 号 p. 333-340
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウマの体毛と蹄のケラチンのアミノ酸組成を解析した. 蹄のAsx, Gly, Ala, Ile, Leu, TyrおよびPheの含有量は体毛より高く,またThr, Ser, Pro, Cysは逆に低かった. 両者のCysの含量の差異が最も著しかったことから,形成されるケラチンの種類決定にCysが重要なことが示唆された. さらに,7品種のウマの体毛と蹄のアミノ酸組成の比較生化学的解析から,品種間における血統関係がそのアミノ酸組成に部分的に反映することが示唆された. 過ギ酸で可溶化されたケラチンをゲル濾過分画したところ,いくつかの成分が検出され,SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分画で,分子量100,000~30,000ダルトン領域に広いスメア様バンドが検出された.
  • 三宅 陽一, O'Brien S.J., 金田 義宏
    1988 年 50 巻 2 号 p. 341-345
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    in situ 分子雑種法の一部改良法を用いて豚染色体上のrDNA遺伝子局在部位を検索した結果,rDNA遺伝子は染色体No.10の二次狭窄部位に位置することが明らかとなった. また,in situ 分子雑種に際しては,雑種反応終了後のスライドを30%フォルムアミド(0.1×SSC)で洗浄することが最適の条件であった.
  • 門田 耕一, 渡辺 正信
    1988 年 50 巻 2 号 p. 347-352
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種,乳廃用牛に子宮腺癌が認められた. 腫瘍は子宮筋層,骨盤腔のリンパ節,肺にあり,豊富な結合組織性間質を伴った管状構造からなっていた. 腫瘍細胞を電顕的に観察したところ,微絨毛内に,芯細線維があり,rootletとなって細胞質内に伸展していた. 腺腔内には多数のglycocaly-ceal bodyが存在していた. また腫瘍細胞周囲の間質にはリポフスチン保有細胞があった.
  • 平原 正, 安原 壽雄, 松井 修, 児玉 和夫, 中井 正久, 佐々木 文存
    1988 年 50 巻 2 号 p. 353-361
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1984年に新潟県下と山形県下の養豚場で呼吸器症状を呈し,やや衰弱した3~4か月齢豚の気道から細胞変性を示すagentを2株分離した. 分離株は豚腎培養細胞のほか,牛・犬・猫・猿の腎培養細胞で,細胞変性を伴ってよく増殖し,継代され,かつ,ヒトO型血球と豚赤血球を凝集した. 分離株はIUdRにより増殖を阻害されず,エーテル,クロロホルム,酸(pH3.0)に耐性で,100nmフィルターを僅かに通過したが,50nmフィルターは通過しなかった.電子顕微鏡観察により,直径約,70~80nmのレオウイルス様粒子を認め,交差中和試験により1型と強い交差を示した. 分離ウイルスを3か月齢仔豚と初乳未摂取の10日齢仔豚に経鼻と経口接種したところ,くしゃみや鼻漏など軽い呼吸器症状を示した. 抗体分布調査では,3~4か月齢での陽性率上昇傾向がみられ,1型が2型と3型よりも平均抗体価およぼ陽性率ともにいちしるしく高かった.
  • 村瀬 稔, 仲西 寿男, 坂崎 利一
    1988 年 50 巻 2 号 p. 363-370
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1980年11月から1981年10月の間に,神戸市内の1河川にもうけた4定点からnon-01 V.choleraeの検出を毎月1回試みた. 52件の河川水のうち,17件(33%)からnon-01 V.choleraeを分離したが,上流地点から最も高頻度に分離され,また水温と検出頻度の間に関係がみられた. また,1980年7月から1982年6月の間に,近海で捕獲された魚類,国内産エビ類,カキ,魚貝類販売店舗のフキトリおよび輸入エビ類におけるnon-01 V.choleraeの汚染状況をしらべたところ,魚類486件,国内産エビ190件および輸入エビ8件のうち,それぞれ50(10.3%), 32(16.8%)および8件(100%)からnon-01 V.choleraeが分離された. カキ59件および環境フキトリ13件からは全く検出できなかった. Non-01 V.choleraeの検出率は1980年の7月から9月の夏期に特に高かったが,1981年の同じ期間では低かった. 魚類およびエビ類におけるnon-01 V.cholerae汚染菌量(MPN値)は59%が102/100g以下であったが,7件(17.9%)は104/100gを越えていた. 汚染菌量は魚類よりエビ類で高かったが,とくに輸入エビ類で顕著であった. これらの分離菌株のうちコレラ毒素に似たエンエロトキシン産生の頻度は魚類:11.8%,国内産エビ類:17.2%および河川水:11.8%であった.
  • 中井 雅晶, 橋本 善春, 北川 浩, 昆 泰寛, 工藤 規雄
    1988 年 50 巻 2 号 p. 371-381
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニワトリの精巣上体と精管の微細血管系について,鋳型標本の走査電顕的観察,光顕および透過電顕による組織学的観察をおこなった. 精巣網には血管は少なく,それらは不規則な血管網を形成していた. 毛細血管は,間質中を上皮に隣接することなく走行しており,内皮細胞に小孔を有する,いわゆる有窓性のものは稀であった. 精巣輸出管から精管に至るおのおのの排出管は,密な毛細血管網によって取り囲まれていた. 毛細血管の分布様式は全域においてdeferential type (Suzuki〔29〕)であった. 管周囲の毛細血管は上皮直下に存在し,内皮細胞の上皮に面する非薄な部分に小孔を有する有窓性毛細血管であった. トレーサーとして血に投与されたHRPは,内皮細胞の小孔や飲小胞によって速やかに血管外に移動し,各部位の上皮細胞基底面お上び側面に達していた. これらの成績から,ニワトリの精巣網を除く精巣上体と精管部においては,上皮細胞と毛細血管との間で盛んな物質交換がおこなわれていることが推察された.
  • 関 智代子, 高島 郁夫, 有川 二郎, 橋本 信夫
    1988 年 50 巻 2 号 p. 383-393
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Chlamydia psittaci P-1041株(ドバト由来)とIzawa株(セキセイインコ由来)を免疫源として27種の単クローン性抗体を作出し,ELISA,蛍光抗体法および補体結合反応を用いて8種類のクラミジア株に対する反応パターンを比較した. 15種の抗P-1041単クローン性抗体は,属特異的,亜種特異的および株特異的な3群にまた12種の抗Igawa単クローン性抗体は,属特異的および亜種特異的な2群に大別された. 属特異的な抗体のほとんどはKIO4感受性,プロナーゼ抵抗性かつ耐熱性の分子量10,000の抗原を認識していた. 亜種あるいは株特異的な抗体は,プロナーゼ感受性で易熱性の分子量40,000または90,000の抗原を認識していた.
  • 伊東 久男, 橋本 善春, 北川 浩, 昆 泰寛, 工藤 規雄
    1988 年 50 巻 2 号 p. 395-404
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ブタの胃腸膵内分泌系におけるクロモグラニン(CG)含有細胞の分布と出現頻度,およびその発生過程における出現時期とについて免疫組織化学的に検索し,胃腸膵各部位に多数のCG含有細胞の出現を観察した. 成体での本細胞の出現頻度は,消化管のいずれの部位においても先に報告した内分泌細胞の出現頻度を上回り,特に胃底腺部と幽門腺部で極めて高かった. 6種類の主要な胃腸膵内分泌細胞におけるCGの局在を検討した結果,膵臓のpancreatic polypeptide細胞を除くすべての細胞がCG陽性を示した. またGrimeliusおよびSevier-Munger鍍銀法で同定された好銀細胞もすべてCG陽性であった. 一方個休発生学的にCG含有細胞は,CRL 0.8cm(妊娠18日齢)胎仔で肝臓に多数,また十二指腸に中等度観察された. これらの細胞の一部はグルカゴン細胞であることが確認されたが,その他の細胞は各種ホルモンに対する抗血清のいずれにも反応しなかった. CG含有細胞はついでCRL1.5cm(同24日齢)胎仔で幽門洞に,3.0cm(同33日齢)胎仔で胃底部に,また3.4cm(同35日齢)胎仔で空回腸および大腸にそれぞれ初めて観察された. これらの結果からCGは,胃腸膵ホルモンよりも発生過程のより早い段階で内分泌細胞内に出現することが示唆された.
  • 後藤 義之, 三浦 康男, 甲野 雄次
    1988 年 50 巻 2 号 p. 405-413
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1985年11月から1986年4月にかけて南九州を中心に水無脳症-小脳形成不全症候群を伴う異常子牛の出産が多発し,その総数は2,463頭に達した. 発生は主として肉用種に認められ,乳用種では稀であった. 本病は鹿児島県の曽於郡で初発し,次第に周辺部に広がり,九州全域に波及した. 本病の原因と想定されるChuzanウイルスに対する抗体は九州で高率に,中国,四国の一部で低率に認められた. 抗体陽性牛の分布と本病発生地とは一致し,またChuzanウイルスの流行年と異常子牛の発生年とは一致した. これらの結果からChuzanウイルスが異常子牛の発生と密接な関係を持つと推定され,血清疫学調査の成績からChuzanウイルスは過去に九州に存在せず,今回の流行前に沖縄諸島を経由して本土に侵入した可能性を示した.
  • 古山 富士弥, 吉田 俊秀, 熊崎 路子, 大原 孝吉
    1988 年 50 巻 2 号 p. 415-423
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Wistar系ラットの体温調節能力について系統差を,とくに温熱性唾液分泌と体水分利用効率との関連において検討したので報告する. 8系統のWistar系ラットを,42.5℃-40%RHの人工気候室においたところ,体温調節能は比較的すぐれた系統と,高温非耐性の系統があったが,Crj: Wistarが最もすぐれていた. 小型ですぐれた高温耐性の系統もあり,高温耐性に特異的に貢献する機構の存在が示唆され,その一つは温熱性唾液分泌であった. 温熱性唾液分泌は,顎下腺の大きさには依存しなかった. 体温調節能の高い系統が温熱性唾液分泌および唾液塗布をおこなっているときには,体水分利用効率は高く,体温調節機構と水-浸透圧調節系の協調による高体温抑制が示唆された.
  • 八木 行雄, 古内 進, 高橋 秀之
    1988 年 50 巻 2 号 p. 425-431
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Theileria sergenti寄生牛赤血球の解糖系について検討した. 原虫寄生率の増加にともない,エンデン-マイヤーホッフ(EM)経路に含まれる4つの酵素,hoxokinase, phosphofructokinase, pyruvate kinaseおよびlactate dehydrogenase活性とブドウ糖消費率は増加したが,瀉血牛の赤血球では明らかでなかった. またペントース・リン酸(PP)経路に含まれるglucose 6-phosphate dehydrogenase(G-6-PD)および6-phosphogluconate dehydrogenaseは変化しなかった. 一方,両代謝の関連物質であるATPおよびGSHは原虫寄生率の増加にともなって変動したが,一定の傾向はみられなかった. 密度勾配法により分画された感染赤血球の解糖系酵素活性は,G-6-PDを除き寄生赤血球のピークに一致した. 以上の成績から,T.sergenti寄生牛赤血球ではPP経路については不明であるが,EM経路は明らかに亢進していること,またこの現象は赤内型原虫によるものと思われた.
  • 吉野 知男, 百渓 英一
    1988 年 50 巻 2 号 p. 433-438
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    臨床的に茫然佇立および旋回運動等の症状を示した一歳の和牛における共尾虫症を剖検した. 左側脳室嚢虫寄生,内水頭症,前頭骨における頭蓋癆ないしは頭蓋骨穿孔を認めた. 病理組織学的には白質の海綿状脳症を伴う側脳室から周囲に及ぶ寄生虫性肉芽腫と共尾虫寄生が認められた. 嚢虫の袋は薄く透明で,嚢壁内には4個の吸盤,二重王冠配列を示す大小の鈎を備えた額嘴で構成される頭節が無数認められた.
  • 土谷 稔, 奈良間 功
    1988 年 50 巻 2 号 p. 439-444
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    18頭のマカカ属のサルにおける慢性膵炎を病理組織学的に検索した. 膵病変はその拡がりと分布状態から瀰慢性,多巣状性,巣状性に分けられ,それぞれ10例, 4例, 4例に認められた. いずれの型においても,主な組織学的変化はリンパ球・形質細胞を主体とした炎性細胞浸潤と小葉間および小葉内線維化であり,さまざまな拡がりを示した. 好中球浸潤は比較的軽度であったが,ときに多数の好中球浸潤を伴う小壊死巣が認められた. 多巣状性病変と瀰慢性病変の個々の炎症性反応は極めて類似の性格を持つことから,巣状急性膵炎から多巣状慢性膵炎ヘ移行し,最終的に瀰慢性慢性膵炎像が形成されたと思われた.
  • 川口 陽資, 小西 喬郎, 中村 貴史
    1988 年 50 巻 2 号 p. 445-452
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Eimeria tenella標準株(NIAH)を親株とし,その早熟性オーシストの選抜継代によって性状の異なる早熟株を確立した. この早熟株の20代選抜継代株を用い生体内原虫の形態的な観察と宿主に対する病原性を調べた結果,プレパテントピリオドは,親株と比較し1日強短縮され,感染後112時間にオーシストが確認された. 形態的に,各世代ともシゾゴニー期(シゾント)の原虫の発育は,促進されており,このことはin vitro培養においても確認された. さらに,第2代シゾントは,親株に比較し小型化し粘膜固有層に散在していた. 一方,病原性は,親株に比較し有意に低下したが,オーシスト産生能は維持されていた.
  • 山手 丈至, 田島 正典, 伊原 三重子, 渋谷 一元, 工藤 悟
    1988 年 50 巻 2 号 p. 453-461
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    109週齢まで飼育したB6C3F1マウス雄200匹のうち29匹(14.5%)に,雌200匹のうち30匹(15.0%)に,自然発生血管内皮細胞(VEC)腫蕩が認められた. 担腫瘍マウスの週齢は72から109週の範囲にあった. VEC腫瘍は単発型と多発型に分類された. 単発型は,雄6匹と雌7匹の脾臓,雄8匹と雌2匹の肝蔵,雄1匹と雌5匹の皮下組織,雌雄各2匹の壁側腹膜及び雌3匹の子宮に弧在性腫瘍として出現した. 多発型は,脾臓,肝臓,骨髄,皮下組織,壁側腹膜,精巣上体あるいは胸腺の2から5部位の組合せで,雄12匹及び雌11匹に認められた. 単発及び多発型の間には,組織学的特徴及び腫瘍の出現部位において本質的な差異はなかった. 海綿様及び血管内皮腫様の増殖様式が区別された. 前者は海綿状血管腫の特徴を有し,すべての腫瘍の大部分の部位に認められた. 後者は脾臓及び肝臓に発生した腫瘍にときにみられ,軽度に異型性のある細胞からなり,拡張した腔も有糸分裂像も伴わなかった. 多発型VEC腫瘍をもつマウスでは,赤血球数,ヘモグロビン量,ヘマトクリット値及び血小板数が低い傾向を示し,異形赤血球がしばしば観察された.
  • 渡来 仁, 小沼 操, 保田 立二
    1988 年 50 巻 2 号 p. 463-469
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛白血病腫瘍リンパ節細胞から精製したガングリオシドGD3をニワトリに免疫することにより得た抗体が,牛白血病腫瘍細胞の検出に有用であるか否かを検討した. 得られた抗体は,TLC-immunostainingでN-グリコリルノイラミン酸を持つガングリオシドGD3と反応した. 補体依存性細胞傷害試験により,非白血病牛と白血病牛の末梢血リンパ球およびウシ胎仔組織に対する抗ガングリオシドGD3抗体の反応性を調べた結果,抗ガングリオシドGD3抗体は,白血病牛の末梢血リンパ球,ウシ胎仔胸腺細胞およびウシ胎仔肝細胞と反応したが,正常牛および牛白血病ウイルス感染牛からの末梢血リンパ球とは反応しなかった. また,間接蛍光抗体法により,抗ガングリオシドGD3抗体は牛白血病腫瘍細胞と反応することを確認した. これらのことから,抗ガングリオシドGD3抗体は,牛白血病の特異診断に用いることができるものと思われた.
  • 藤井 陽一, 生田 和良, 加藤 四郎, 見上 彪, 内貴 正治
    1988 年 50 巻 2 号 p. 471-479
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    各々異なる糖脂質性抗原が発現されるマレック病(MD)腫瘍由来,可移植性同腫瘍株由来および白血球(LL)腫瘍由来各細胞株の糖脂質組成の差違を薄層クロマトグラフィーで比較し,免疫学的に確認した. MD腫瘍由来6細胞株は各々類似の糖脂質組成を示し,5糖以上の糖鎖を持つ中性糖脂質が1主成分として検出された. 移植MD腫瘍由来細胞2株とLL腫瘍由来細胞2株は比較的似た糖脂質組成を示し,MD腫瘍株には認められないForssman糖脂質やasialo GM1などが検出された.
  • 廣田 好和, 吉川 康一, 長谷川 篤彦, 友田 勇
    1988 年 50 巻 2 号 p. 481-488
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    健常ビーグル成犬の末梢血多形核白血球(PMN)の形状に及ぼす血清の影響について検索した. 自己,または同種新鮮血清に浮遊したPMNを3℃に静置すると,1~5分以内にPMNは球形から卵円形,有棘形,あるいは偏心状の細胞に変形した. このような変形は,ザイモザンで活性化した血清およびカゼインに浮遊したPMNにおいて観察される形状変化と同じであった. 変形細胞の出現比率は,PMNを10%血清に5分間浮遊した場合に最大であった(約68%). 好中球の変形は,好酸球のそれに比して迅速で,変形細胞出現率も高かった. さらに,血清を56℃で30分間加熱処理しても,PMN中の変形細胞発現率は変らなかった.
  • 海野 耕一, 林谷 秀樹, 金子 賢一, 小川 益男
    1988 年 50 巻 2 号 p. 489-494
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニワトリにCampylobacter jejuniを経口投与して,同菌の腸管定着性を調べた. 投与菌口嚢から大腸にまで定着した後,3ヵ月以内に排菌が終了し,生菌投与時におけるニワトリの年齢が高い程,排菌持続期間が短かった. また,最小感染菌数は使用菌株およびニワトリの年齢によって変動した. 一方,C. jejuniに対する血中凝集素価が1:80に達していたにもかかわらず,排菌が持続していたことから,体液性の抗体は排菌停止に重要な役割を担っていないことが示唆された.
  • 玄 順浩, 阪口 玄二
    1988 年 50 巻 2 号 p. 495-501
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    C型ボツリヌス菌14株を,30,37,および42℃で培養し,濁度,菌数お上び芽胞数を経時的に測定したところ,至適発育温度によって4群にわけることができた. 至適発育温度での培養液では培養遠心上清中の毒素量が低く培養液の遠心沈直を音波処理して菌体を破壊すると大量の毒素が遊離した. 菌体結合毒素は遊離毒素に比べ,ニワトリに対する経口毒力が著しく高かった. C型L毒素(分子量約50万)はpH2でC型菌体に結合したが,M毒素(分子量約30万)は結合しなかった. 菌体を80℃15分加熱してもこの結合は起こり,再結合したL毒素の経口毒力も著しく増大した. 以上の成績から,C型ボツリヌス毒素は,耐熱性菌体成分を介して菌体に結合し,この結合は消化管(胃)内でも起こると考えられ,菌体結合毒素はニワトリの発症に重大な役割を果たすと結論した.
  • 佐藤 博, 工藤 吉夫, 竹下 潔
    1988 年 50 巻 2 号 p. 503-508
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    濃厚飼料を給与せずに21週間放牧した搾乳牛(無濃厚飼料区)および乳量に応じて濃厚飼料を給与して放牧した搾乳牛(対照区)における血液成分の変化を調べた. 無濃厚飼料区では放牧の初期に乳量および乳脂率が急に低下し,血漿Pi濃度の低下も著しかった. またこの区では放牧中のGOT,GPTおよびA1-P活性の上昇が大きかった. 放牧開始によって血漿グルコース濃度が上昇したが,乳酸濃度は低下の傾向を示した. 放牧の中期には無濃厚飼料区の血漿の酢酸濃度が対照区よりも高く,グルコース濃度が低かった. 放牧によって血漿尿素濃度は両区とも上昇したが,総蛋白濃度は無濃厚飼料区で低い傾向を示した. コレステロール濃度は放牧中に低下の傾向を示し,また無濃厚飼料区では放牧初~中期のコレステロール濃度が有意に低く,これは乳脂率低下とも一致していた.
  • 渡辺 清隆, 田中 一彦, 小島 浩, 今西 隆和, 山本 晋二
    1988 年 50 巻 2 号 p. 509-512
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ブルーデキストラン-Sepharose 4Bアフィニティカラムに結合したシトソール型アデニレートキナーゼ(AK1)は,低濃度のNADHにより高収率で溶出されたが,NAD+によっては溶出されなかった. AK1-NADH複合体の差スペクトルは269nmおよび273nmに正の極大を,326nm付近に負の極大を示し,また,AK1-NAD+複合体のそれも,275nmに正の極大を示した. NADHおよびNAD+は,AMPおよびATPの両基質に関して,AK1を競争阻害した. これらの結果から,NADのアデニンおよびニコチンアミド部分は,AK1のATP結合部位およびAMP結合部位にそれぞれ結合すると想像された.
  • 馬場 栄一郎, 山元 美奈子, 深田 恒夫, 荒川 皓
    1988 年 50 巻 2 号 p. 513-518
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Eimeria maximaが感染した鶏の腸管におけるサルモネラの侵入の様相を調べた. E. maxima感染鶏および非感染鶏を麻酔し,小腸中央部に設けたループにSalmonella serovar typhimurium(S. typhimurium)1.6-4.0x105CFUを注入し,血中,脾,肝への移行を検査した. 各材料からのS. typhimuriumの検出率は非感染対照鶏の小腸ループの場合よりも高く,とくにE. maxima投与後10日の脾で著明であった. 一方,コクシジウムに感染していない鶏の小腸ループあるいは結紮した盲腸にS. typhimuriumを注入した場介の菌の移行は,小腸ループの方が高く,脾での検出頻度には有意差がみられた. つぎに,E. maxima投与後10日の鶏の小腸ループに,S. typhimurium 1.8-8.4x107CFU を注入して経時的に心血,脾,肝での菌数を測定した. 脾の菌数は,E. maxima感染鶏,非感染鶏ともに肝や血中よりも高く,注入後3時間まで平均約102/gの菌数を示した. 肝では,注入後30分にE. maxima感染鶏に比べて有意に高い菌数を示した. 心血では,E. maxima感染鶏から少ないながら菌が検出されたが,非感染鶏では注入後2時間まで検出されなかった. 以上の成績から,鶏では結紮した盲腸よりも小腸ループからの方がサルモネラは浸入しやすく,E. maxima感染はこれを助長することがわかった.
  • KUNCL R.W., RICHTER W.
    1988 年 50 巻 2 号 p. 519-527
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    実験用アカゲザルの24%に住肉胞子虫の感染がみられた. 感染は軽微であったが,検査した筋肉のすべてで同様にみられたので,検査のためには筋肉の大きいブロックを採取することが必要と思われた. 種の同定には嚢壁の微細形態学が必要であり,光顕レベルでは筋肉の伸展,切亢のアングルなどから嚢壁の詳細について誤認が生ずると思われた.
  • 藤崎 幸蔵, 神尾 次彦
    1988 年 50 巻 2 号 p. 529-536
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Haemaphysalis longicornis単為生殖系統岡山株の幼ダニをTheileria sergenti福島株感染牛に寄生させて得た飽血ダニを,15,20,25,30,35℃の各恒温下で飼育し,若ダニに変態させた. 脱皮後6~120日にこれらの若ダニを家兎に2日間寄生させ半飽血ダニとした後,唾液腺を摘出しこれにメチルグリーンピロニン染色を施して唾液腺内のTheileriaの感染様相を調べた. 15,30,35℃で飼育したダニでは,唾液腺における感染成立程度は極めて低率であったが,20,25でで飼育されたダニでは感染が高率に認められダニ体内におけるT. sergentiの発育に好適なことが示された. なお,家兎吸血のかわりに35℃で感作しだダニでは,原虫塊は認められなかった.
  • 安田 和雄, 小野 憲一郎, 佐々木 伸雄, 長谷川 篤彦, 友田 勇
    1988 年 50 巻 2 号 p. 537-542
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    標準的飼養条件下にある哺乳子牛(1ヵ月齢) 2頭,離乳直後の育成牛(4ヵ月齢) 1頭および成牛(20ヵ月齢) 1頭にHeidenhainの小胃を作製して血中ガストリン濃度(IRG)と酸分泌の関係を検討した. 哺乳子牛のIRGは前値の約50pg/mlから,哺乳後増加して3~4時間には120~160pg/mlに達し,以後漸減した. 滴定酸度は哺乳3~4時間で75~115mM/1のピークを示した後減少し,9~11時間には前値に復した. 酸分泌はIRGと平行して変動し,IRGと総酸度の間には相関関係が認められた(p<0.01). 育成牛においては,給餌後のIRGおよび酸分泌反応は哺乳子牛と比較すると不明瞭であるが,両者はおおむね平行して変動し,相関関係が認められた(p<0.01). 成牛では粗飼料給餌によるIRG分泌反応はみられず,小胃分泌液のpHは7.0以上であった. 以上から,牛においては成長とともに第四胃酸分泌に対するガストリンの影響は小さくなるものと考えられた.
  • Bonhomme Annie
    1988 年 50 巻 2 号 p. 543-547
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    カルローズ分解菌,ヘミセルローズ分解菌の不在下でEpidinium ecaudatumを培養したところ,粘度,還元力の測定によって,無細胞抽出液中にセルローズの可溶性誘導体に対するendo-1.4-β-glucanase活性およびxylanに対するendo-1.4-β-xylanase活性が見出された. また,p-ニトロフェニル誘導体に対するβ-D. glucanaseおよびβ-D-xylosidase活性もみとめられ,至過phは6.0~7.0であった.
  • 安田 彰典, 美土路 活男, 中山 裕之, 高橋 令治, 後藤 直彰, 藤原 公策
    1988 年 50 巻 2 号 p. 549-551
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    外陰部腫脹を主徴とした16歳の雌犬の生殖器にアメーバ原虫の感染を認めた. アメーバによる膿瘍および潰瘍が腔・子宮頚に多発し,嚢胞状内膜過形成を伴う子宮内膜炎を認めた. 両側卵巣に嚢腫がみられ,アメーバ感染による上記病変と関係があると考えられた.
  • 中井 裕, 扇元 敬司
    1988 年 50 巻 2 号 p. 553-555
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    鶏胚内で50代以上継代したE. tenellaは,鶏胚を1回通過させたものと比較して,ヒナ体内での感染部位や増殖像に差はなかったが,脱殻直後のsporozoiteの持つアミロペクチン顆粒が少なく,sporozoiteを培養すると早期にこの顆粒が消失した. sporozoiteがアミロペクチンを十分持たないことが鶏胚内継代株のヒナに対する病原性の減弱化の一因と推測された.
  • 佐藤 宏, 奈良間 功, 土谷 稔, 板倉 智敏, 大林 正士
    1988 年 50 巻 2 号 p. 557-559
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    多数の好酸性蛋白結晶をもつ肺胞マクロファージおよび多核巨細胞の肺胞内集族と,肺胞壁の肥厚を特徴とするマウス肺を,組織学的ならびに電顕学的に観察した. この病態の原因として,肺胞壁毛細血管基底膜の異常による肺胞内出血が示唆された. これはヒトの特発性肺出血idiopathic pulmonary hemorrhage (hemosiderosis)に相当する特異なマウス肺病変と考えられた.
  • 江口 正志, 国安 主税, 大前 憲一, 田中 まゆみ
    1988 年 50 巻 2 号 p. 561-563
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1985年に北海道日立地方に飼養されていた繁殖雌馬からストレプトマイシン添加寒天平板培地で分離したTaylorella equigenitalis68株について,12種類の抗菌性物質に対する感受性を調べたところ,1980年に同地方で分離された菌株のそれとほとんど同じであった.
  • 井上 智, 松沼 尚史, 小野 憲一郎, 林 俊春, 高橋 令治, 後藤 直彰, 藤原 公策
    1988 年 50 巻 2 号 p. 565-567
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    犬のpeliosis hepatis 5例を病理組織学的に検索したところ,肝実質内の含血嚢胞部の形態学的特徴は,ウシ・ネコ・ラット・ヒトなどでの報告例と類似し,5例中3例は静脈拡張型,2例は実質型・静脈拡張型の複合型とみなされた.
  • 丸山 総一, 勝部 泰次
    1988 年 50 巻 2 号 p. 569-572
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    3週齢のSPFニホンウズラに下痢症患者由来C. jejuniを108CFU経口投与したところ,多くは軟便,下痢便を呈した. 糞便中には投与翌日より排菌が見られ,菌量は103~107CFU/gであった. 腸管定着菌量は103~109CFU/gで,特に盲腸の菌量が高く,肝蔵・肺・脾臓の各臓器からも菌が検出された.
  • 森本 将弘, 森川 嘉夫, 岡田 利也
    1988 年 50 巻 2 号 p. 573-575
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ラットにおいて十二指腸杯細胞は胎生19日に出現し,その存在比率は胎生末期に向かって増加するが,出生後の3日間はほぼ一定である. 胎生20日に胎仔除脳手術あるいは胎仔副腎除去手術を行ない胎生22日に調べると,同腹対照胎仔との間において杯細胞数に有意な差がみられなかった. このことから,胎生期の十二指腸杯細胞の発達には,少なくとも胎仔の中枢および自律神経系および副腎は関与していないものと考えられた.
  • 小川 絵里, 太田 ちづる, 藤瀬 浩, 小林 好作
    1988 年 50 巻 2 号 p. 577-579
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    溶血後の遠心沈渣をブリリアントグリーンで超生体染色し,可溶化後625nmで吸光度を測定する方法により,タマネギ煮汁の経口投与またはフェニルヒドラジンの静脈注射により惹起した溶血性貧血犬の赤血球を経時的に観察したところ,従来の方法に比べて,ヘモグロビン変性量をより実質的に反映する成績が得られた.
  • 筒井 敏彦, 江島 博康
    1988 年 50 巻 2 号 p. 581-583
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    雌犬21頭に異なる雄大と2回交配させ,子犬の雄親を判定することによって同期複妊娠の成立状況を検討した. 開腹手術によって観察した卵胞の成熟状態から排卵時期を推定して,排卵36時間前から排卵84時間の間に24~96時間の間隔で2回交配させ,娩出された子犬の血液型および体型で雄親を判定したところ,2回目の交配を排卵後60時間までに行った場合に同期複妊娠が成立することがわかった.
  • 森川 嘉夫, 井上 知, 岡田 利也
    1988 年 50 巻 2 号 p. 585-588
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ラットの結腸杯細胞は,胎生20日から生後2日にかけて日をおって有意に増加したが,胎生22日から生後1日にかけての増加が特に顕著であった. 子宮内胎仔にミルクを経口投与すると,杯細胞は有意に増加した. このことから,杯細胞の発育分化が投与されたミルクによって促進されることが示唆され,生後の急激な杯細胞の増加は,仔の母乳取り込みによるものと推測された.
  • 久米 勝巳, 中井 豊次
    1988 年 50 巻 2 号 p. 589-591
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    血清学的ならびに細菌学的調査の成績から,A. pleuropneumoniae 2及び5型菌が全国的に分布することに加え,1,6,及び7型菌のわが国における流行が確認された. 分離菌の血清型は地域ならびに農場によって異なっていた.
  • 後飯塚 僚, 辻 美保, 松本 安喜, 恩田 千景, 松岡 清美, 横森 馨子, 安田 和雄, 廣田 好和, 小野 憲一郎, 林 俊春, 長 ...
    1988 年 50 巻 2 号 p. 593-595
    発行日: 1988/04/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    消化器症状を呈したネコ白血病ウイルス陽性ネコの腹水に,細胞質アズール顆粒を有する幼若な単核球が認められ,β-glucuronidase染色陽性,T・B細胞表面形質を欠くことから,large granular lymphocyteに由来する腫瘍細胞であることが示唆された. 本腫瘍細胞の培養上清中にはインターロイキン1およびインターロイキン3様活性が検出され,病理組織学的には膵臓および大腸に腫瘍細胞の浸潤が認められた.
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