日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ニワトリひなにおけるオウム病クラミジア (Chlamydia psittaci) 株間の病原性の比較
高橋 樹史高島 郁夫橋本 信夫
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1988 年 50 巻 3 号 p. 622-631

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抄録

幼若齢の白色レグホンにオウム病クラミジアを接種し, 接種経路や宿主の日齢と感染・発症との関連を検討してニワトリによる感染モデルを開発し, これを用いて鳥類と哺乳類由来株の病原性の比較を試みた. セキセイインコ由来のIzawa-1株, ドバト由来のP-1041株及びアオボウシインコ由来のGCP-1株を低濃度で8日齢, 30日齢ひなの気嚢内に接種したところ, 8日齢ひなでは接種後3~10日に全身症状が発現し, 発症後24時間以内に斃死し, 発症ひな全例では脾臓・肝臓・肺・小腸・大腸・糞便からクラミジアが回収され, 未接種同居ひなにも感染が認められた。30日齢ひなでは, 発症・斃死例は認められなかったが, 各臓器から高率にクラミジアが分離された. 経口投与では, 高濃度投与群でのみ一部臓器からクラミジアが検出された. 一方, ヒツジ由来のSPV-789株, B-577株及びウシ由来のBo-Yokohama株をそれぞれ気嚢内接種したところ, 8日齢ひなでも発症や斃死例は認められず, 各臓器と糞便からのクラミジア検出も著しく低率であった.

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