雄ニワトリの交尾行動に関与すると考えられる前ファーラス後引筋摘出標本は自発性の律動性収縮を示した. 電気刺激はこの筋を弛緩させ, テトロドトキシンはこれを抑制したが, ヘキサメトニウム, プロプラノロール, プラゾシン, アトロピンは無効であった. ノルエピネフリンとイソプロテレノールも筋を弛緩させたが, プロプラノロール存在下ではノルエピネフリンは筋を収縮させ, この効果はプラゾシンにより抑制された. カルバコールは収縮作用を示し, アトロピンはこれを抑制した. 高濃度Kは筋を収縮させ, プロプラノロールはこれを増強した. サブスタンスPは筋を収縮させたが, ATPおよびニューロテンシンは無効であった. 以上の成績から, この筋は非アドレナリン非コリン作動性抑制性神経の支配を受けるものと考えられた.