日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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イシマキガイ及びアマオブネの体内における腸炎ビブリオの生残
熊澤 教眞加藤 英一高羽 孝成横田 司
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1988 年 50 巻 4 号 p. 918-924

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抄録
腸炎ビブリオ及び大腸菌を経口投与したイシマキガイ (汽水産巻貝)及びアマオブネ (海産巻貝) を各々25℃及び28℃の人工海水を入れた紫外線照射装置付環流式水槽内で飼育し, 貝体内での投与菌株の生残菌数の推移を観察した。イシマキガイの体内における神奈川現象陽性腸炎ビブリオD-3株の生残量は貝の飼育水の塩分濃度によって異なっていたが, 塩分濃度15及び20g/lの人工海中で飼育する貝の体内には投与後21日目まで最も多くの菌が生残していた。神奈川現象陰性菌R-13株の生残量はD-3株よりも少なかった。大腸菌YS-2株は103 cfu/g以下のレベルで貝体内に生残した。イシマキガイから検出される腸炎ビブリオの菌数は経時的に不規則に変動したが, 大腸菌数の変動幅は小さかった。D-3株とR-13株を混合投与した貝の体内における両菌株の菌数の推移は単独投与の場合の変動幅の範囲内にあり, 貝体内での投与菌株の神奈川現象の変換は観察されなかった。塩分濃度35 g/lの人工海水中で飼育するアマオブネからはすべての菌株が投与後72時間以内に消失した。
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