日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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牛リンパ球におけるα1酸性糖蛋白の産生
岩田 祐之小野 憲一郎長谷川 篤彦友田 勇
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1988 年 50 巻 5 号 p. 996-1002

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抄録
α1酸性糖蛋白(以下α1 AGP)は間接蛍光抗体法で牛リンパ球の約90%に認められた. リンパ球から分離したα1 AGPは二次元電気泳動法で酸性領域に5つの連続した分画として観察され, その分子量は27,000から39,000daltonsであった. インターロイキン2 (以下IL-2)を添加して培養したリンパ球の培養上清から得たα1 AGPの分子量は29,000から36,000daltonsであった. ラジオイムノアッセイ法で測定したリンパ球内α1 AGP濃度は, IL-2, Concanavalin A, およびPokeweed mitogen添加培養時に, 無添加の際の21ng/106 cellsに比べそれぞれ78, 58, 69 ng/106 cellsと増加した. とくに, IL-2添加時の培養35日目には90ng/106 cellsと著明であった. リンパ球培養上清中のα1 AGPはIL-2添加時のみに認められ, その他のmitogen添加時には測定感度以下であった. 以上のことから, α1 AGPは牛リンパ球で産生され, さらにその産生はリンパ球が刺激されることにより増加することが判明した.
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