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大宅 辰夫, 久保 正法, 渡瀬 弘
1988 年 50 巻 5 号 p.
971-976
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
豚の増殖性腸炎(PE)由来Campylobacter mucosalisのホルマリン処理菌体を抗原として血清型別を試みた. 参照株13株について免疫血清を作製し, 加熱処理したホモ抗原及び交差凝集の認められた菌株による吸収を行なった. その結果, 従来報告されている3種の血清A, B, Cに加えて新たに7種の血清型の存在が確認された. これら計10種の抗血清を用いてPE由来C. mucosalis717株の血清型別を実施したところ, 596株が血清型A, 1株が血清型B, 14株が血清型Cと同定された. 残り106株は新しい血清型に属することが明らかになった.
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佐々木 栄英, 北川 均, 石原 勝也, 森 みどり
1988 年 50 巻 5 号 p.
977-984
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
54例の実験犬を用いてミルベマイシンD投薬に伴う病理学的所見を検索した. 犬糸状虫寄生犬群(9例)では, 特記すべき病変はみられなかった. 犬糸状虫寄生犬のうち末梢ミクロフイラリア(mf)陽性群(22例)では, 肉眼的に肝臓の黄褐色斑, 脾腫, 肺の赤褐色斑が認められた. 病理組織学的検査では, 肝臓, 肺, 脾臓および心臓にマクロファージによるmf貧食に関連した炎症性病変が認められた. ショック様症状発症群(7例)およびcaval syndrome発症群(5例)にも, 同様の病変がほぼ同頻度に認められたが, これらの群に特有な病変は認められなかった. また, mf陰性群(11例)でも, 軽度ではあるが同質の病変が少数例に認められた. mfと肝臓病変との関連を観察するため, 投薬後経時的に肝臓の生検を3例で実施した. 投薬3時間後には類洞内にmf数が増加し, 6時間後には好中球のmfへの付着, 9時間後にはmf周囲におけるマクロファージの浸潤および壊死巣の形成,12時間後には微小肉芽腫の形成が認められた.
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岡田 利他, 森川 嘉夫
1988 年 50 巻 5 号 p.
985-989
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
妊娠15, 17, 19あるいは21日目のラットの両側尿管結紮を行い, それぞれ1日後の胎仔腎臓を組織形態計測法を用いて調べた. 結紮群の胎仔体重は偽手術群のものに比べて有意に小さかったが,『腎臓重量/体重』比と腎小体半径は影響を受けなかった. しかし, 胎生16日目では, 結紮群胎仔の未熟な腎小体数は腎臓単位体積当たりについて偽手術群のものに比べて有意的に大であった. また, 胎生20日目, 22日目では, 成熟腎小体数が有意的に大であった. これらの結果から, 母体両側尿管結紮によって, 胎仔の腎臓の発達は阻害されず, むしろ腎小体の新生および成熟が促進されることが示された.
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桑原 正貴, 広瀬 昶, 菅野 茂
1988 年 50 巻 5 号 p.
990-995
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
2-12週齢の三元交雑種育成豚における心血管系機能の推移を明らかにする目的で, ハローセン麻酔下, プロプラノロールおよびアトロピン投与前後の心拍数, 大腿動脈圧, 左右の心室内圧, 左心室内圧微分波, 大動脈血流および1回心拍出量の測定を行った. その結果, 心拍数を除くすべての測定値が自律神経遮断の有無にかかわらず, 体重の増加にともなって増加すること, また, 1回心拍出量を除く他の測定値は自律神経遮断後, いずれも有意に減少することがわかった. これらのことから, 育成期にあるブタの心血管系機能は交感神経が優位な状態で調節されているけれども, 1回心拍出量のみは自律神経性調節よりむしろ, Frank-Starlingの法則にもとづく心臓自体の制御機構により調節されていることが示唆された.
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岩田 祐之, 小野 憲一郎, 長谷川 篤彦, 友田 勇
1988 年 50 巻 5 号 p.
996-1002
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
α
1酸性糖蛋白(以下α
1 AGP)は間接蛍光抗体法で牛リンパ球の約90%に認められた. リンパ球から分離したα
1 AGPは二次元電気泳動法で酸性領域に5つの連続した分画として観察され, その分子量は27,000から39,000daltonsであった. インターロイキン2 (以下IL-2)を添加して培養したリンパ球の培養上清から得たα
1 AGPの分子量は29,000から36,000daltonsであった. ラジオイムノアッセイ法で測定したリンパ球内α
1 AGP濃度は, IL-2, Concanavalin A, およびPokeweed mitogen添加培養時に, 無添加の際の21ng/10
6 cellsに比べそれぞれ78, 58, 69 ng/10
6 cellsと増加した. とくに, IL-2添加時の培養35日目には90ng/10
6 cellsと著明であった. リンパ球培養上清中のα
1 AGPはIL-2添加時のみに認められ, その他のmitogen添加時には測定感度以下であった. 以上のことから, α
1 AGPは牛リンパ球で産生され, さらにその産生はリンパ球が刺激されることにより増加することが判明した.
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林谷 秀樹, 近江 佳郎, 小川 益男, 福富 和夫
1988 年 50 巻 5 号 p.
1003-1008
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
1981年6月から1982年5月までの1年間に関東地方で死亡し, 1動物霊園に埋葬された犬4915頭の死亡データを用いて, Chiangの生命表作成法に従って, 犬の生命表を作成した. これは家庭飼育犬について作成された最初の生命表と思われる. 生命表作成の基礎となる犬の死亡確率の姿は人のものと基本的パターンがよく類似しており, 今回作成した犬の生命表は犬の集団の死亡秩序をかなり正確に表しているものと思われた. 生命表から算出された犬の平均余命は, 0才で8.3才, 1才で8.6才, 5才で6.1才, 10才で3.5才, 15才で1.6才であった. また, 犬の健康水準の指標としては飼い主の人為的な影響を受けやすい0才の平均余命(e
0)より1才の平均余命(e
1)のほうが望ましいと思われた. 犬種別(雑種, 純血種に大別), 地域別(人口密度1万人以上のA地域と1万人未満のB地域に大別)にも生命表を作成し, 得られたe
1を比較した結果, 犬種間では雑種は純血種に比べ, また地域問ではA地域はB地域に比べe
1は有意に長かった. 以上のことから, これらの犬種間, および地域間においては平均余命の長さを規制している要因になんらかの違いのあることがうかがわれた.
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福田 俊
1988 年 50 巻 5 号 p.
1009-1016
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ビーグル犬における肋軟骨の石灰化とこれに伴う骨折の発生について, 3ヵ月から15 3/4歳齢までの雌雄を用いて検索した. 軟X線写真では, 6ヵ月齢には石灰化および微細な骨折が始まっており, それらは加齢とともに進行し, 11歳齢以上の個体では完全な骨折像が観察された. 第1, 5, 9, 12あるいは13肋軟骨について次の成分の含有量を分析した結果, 6ヵ月齢以降水分は減少を, 有機成分は増加を示した. 灰分, カルシウムおよびリンは第1肋軟骨以外の部位では6ヵ月齢以降に顕著な増加を示した. 非脱灰組織標本の観察では6ヵ月齢には, 肋軟骨中心部の軟骨細胞周囲の基質で石灰化や微細な骨折が生じており, その後それらは中心部から周辺部へと増大した. 9ヵ月齢以降, 石灰化部分が骨梁骨と同様な組織動態を示す骨化組織に変化した. 測定したすべての項目とも有意な雌雄差はみられなかった.
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島田 保昭, 片本 宏, 石田 史朗, 小林 鋼司, 東篠 博之
1988 年 50 巻 5 号 p.
1017-1024
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
非臨床型脂肪壊死症の黒毛和種牛51頭に対してisoprothiolaneを50 mg/kg体重, 8週間経口投与した. 投与後12週までに, 脂肪壊死塊が軟化, 分裂, 縮小, 消失するなど有効であったものは35頭(68.5%)であった. その後投薬を中止し, 約1年経過した22頭のうち, 21頭(99.5%)は, 壊死塊の著明な縮小或いは消失が認められた. 薬剤投与後, 血中の遊離脂肪酸, トリグリセライド量の減少とリン脂質と総コレステロール量の若干の上昇がみられた. これらの結果から, isoprothiolaneは牛の脂肪壊死の治療に対して, 臨床的応用価値があることがしめされた.
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田邊 眞, 石黒 直隆, 品川 森一, 佐藤 儀平, 瀬能 昇, 大沼 裕, 中村 明子
1988 年 50 巻 5 号 p.
1025-1034
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
1979-1982年に十勝地方で肥育乳用雄子牛を中心にアンピシリン, ストレプトマイシン, カナマイシン, テトラサイクリン, サルファジメトキシンの5剤を基本とした多剤耐性を持つSalmonella typhimurium感染症が多発した. プラスミドプロファイルをもとに, 1975-85年に十勝地方で分離されたS. typhimurium 574株を用いてこの菌の流行を調査した. 供試株は4種のプラスミド型(I, II, I+II, III)に分類された. II型株は上記の5剤耐性菌と深い関連がある流行株であり, 3種の非接合性Rプラスミドを保有していた. 一方, I型株は1975年以降十勝地方の常在株で, Inc H1あんいはIαに属する伝達性Rプラスミドを保有していた. III型株は流行後にのみ出現し, 保有する4種のプラスミドは他の型のものとは異った分子性状をしていた. また, 3種のプラスミド型(II, I+II, III)からは小型Rプラスミドが検出された. 以上より, 1979-82年の流行は, 以前からの十勝地方の常在菌とは異なるクローンのS. typhimuriumが侵入し十勝全域に広まったためと考えられる.
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野上 貞雄, 林 良博, 村田 道里, 中垣 和英, 田中 寛
1988 年 50 巻 5 号 p.
1035-1039
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ミクロフィラリア(mf)に対する防御免疫が感染幼虫(L
3)の感染防御に関与するか否かをLitomosoides cariniiを用い, マストミス(Mastomys natalensis)で実験した. 生きた50万のmfをマストミス皮下に2週間隔で6回注入し, 初回注入から11週後にL
3の定量感染を行い, 3週と14週後の虫体回収率から感染防御の有無を検討した. 皮下に注入されたmfは1日後に流血中で検出され, 移入5週後までは注入毎にmf密度は増加した. しかし6週以後はmfを注入しても減少し, 8例中4例は無mf血症になりmfに対する強い防御効果が示された. 一方, 虫体回収率は, 無処置対照群と差がなく防御効果は認められなかった. 免疫蛍光法でmfとL
3に共通抗原の存在が認められたものの, 移入mfに対する防御免疫はstage-specificで, L
3には有効でないことが示された.
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大滝 与三郎, 田島 正典, 斉藤 和子, 野村 吉利
1988 年 50 巻 5 号 p.
1040-1047
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
鶏貧血因子(CAA)感染の七面鳥ヘルペスウイルス(HVT)ワクチン免疫に対する抑制的影響を明らかにするために, 細胞性及び液性免疫応答をヒナ継代CAA単独接種ヒナあるいはCAA及びマレック病ウイルス(MDV)あるいはHVT接種ヒナにおいて研究した. ヒナ継代CAAを1または7日齢ヒナに単独接種すると, 12-13日後に, それらの脾リンパ球のフィトヘムアグルチニン(PHA)刺激に対する応答性は有意に抑制された. しかし接種19日後には抑制は認められなくなった. 14日齢ヒナにCAAを単独接種の場合には, PHA応答性の変化はみられなかった. 脾リンパ球のPHA応答性は, CAA単独接種ヒナに比較し, MDVまたはHVTを混合接種されたヒナで, 有意に抑制された. 血清中の免疫グロブリンレベルは, 1日齢ヒナにMDVを単独あるいはCAAと混合接種した場合には, 正常かあるいはやや低かった. これに対して, 1日齢にHVT単独または1日齢あるいは7日齢にCAAを単独またはHVTと混合接種したヒナならびに1日齢にMDV, 7日齢にCAAを接種したヒナでは, 有意に高い血清免疫グロブリンレベルを示した. HVTに対する特異抗体の産生は, CAA感染によりー過性に抑性された.
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立山 晉, 柴田 勲, 山口 良二, 野坂 大, 芦沢 広三
1988 年 50 巻 5 号 p.
1048-1054
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
17例(線癌15, 充実癌2)の猫の乳癌において結合織の増生を認める部分に筋線維芽細胞を認めた. これらの細胞の細胞質はMallory-azan染色で鮮紅色に, levanol fast cyanine 5RN染色で深青色に染まり, 収縮タンパクの存在を示していた. 電子顕微鏡的観察によってこれらの細胞は陥凹した核, 豊富な細胞質内細線維, 細胞表面におけるdesmosomeやhemidesmosomeの形成, あるいは基底膜様物質の産生等, 過去の報告における筋線維芽細胞の形態に一致した. このような筋線維芽細胞は線維性皮膜ばかりでなく腫瘍塊の内部の同質結合織の中にも認められた. またある例では間質において筋線維芽細胞が広範に増殖し, あたかも筋腫の様な形態を示す部分もあった. 一方, 腫瘍浸潤部にはこれらの細胞の認められない部分もあった. この様な組織学的所見は猫の乳癌において筋線維芽細胞の関与は特別な意義があることを示唆しているものと考えられる.
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神谷 新司, 醍醐 正之
1988 年 50 巻 5 号 p.
1055-1059
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ウシの子宮動脈壁におけるGAGについて組織化学的に検索した. 動脈壁GAGは内膜および中膜にみられ,妊娠性硬変の進展とともに内膜肥厚部および中膜内層で増加する傾向が観察された. 酵素消化試験により, 増加するGAGがsulfated GAGであることが明らかとなったことから, ウシの子宮動脈にみられる妊娠性硬変の進展にはGAG, とくにsulfated GAGが密接に関与することが推察された.
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品川 邦汎, 棚林 清, 小博 義明, 松坂 尚典, 小沼 博隆
1988 年 50 巻 5 号 p.
1060-1064
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
健康乳牛(CMT陰性)の各分房(164検体), 個体(68検体), 酪農家(150検体)および乳処理場に搬入される各運搬車(タンクローリー, 193検体)から各々採取した生乳(総計575検体)の黄色ブドウ球菌汚染(汚染率, 汚染菌数)について調査した. 乳牛各分房別に採取した生乳では13.4%, 各個体別では51.5%, 酪農家別では34.7%, 各タンクローリー車から採取したものでは94.3%と高率に本菌の汚染が認められた. これらの汚染菌数はほとんどが10
1-10
3/mlであったが, 乳牛個体(分房)によっては10
4/ml以上のものも認められた. また, 生乳から分離した黄色ブドウ球菌142株中52株(36.6%)がエンテロトキシン(A型からE型または混合型)を産生した. 他方コアグラーゼ型ではVII型(27.5%), II型(22.5%), III型(18.3%)が多く見られた.
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二宮 博義, 中村 経紀
1988 年 50 巻 5 号 p.
1065-1073
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
SD系ラットにN-Methyl Nitrosoureaを投与して乳頭状腺腫を誘発させ, 線腫の血管系を立体的に観察した. 方法はアクリル系樹脂を左心室より注入して樹脂鋳型標本を作成し走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した. さらに別のラットには墨汁を注入し透明標本を作成しSEM所見と対照した. 組織学的には, 腫瘍は立方あるいは円柱形の上皮細胞群からなる胞巣と, その周囲の豊富な結合組織で構成されていた. 胞巣には腺管構造や小嚢胞腔の形成が認められ, 増殖の著しいものでは上皮細胞は乳頭状に増殖していた. 腫瘍に向かう血管は直線的で, 正常な血管に認められ血流調節機能を有するintra-arterial cushionは認められなかった. 腫瘍に進入した血管は分校を繰り返し胞巣の外周にカプセル状に密な血管網を形成していた. 胞巣内の毛細血管は太く多数のヘアピン状のループを形成していた. このループを形成する毛細血管には盲端に終っていたりコブ状に突出したものも観察された. こうした所見は腫瘍に特有な血管の新生像であると考えられた. また, 一部の血管には鋳型の表面が粗造で血管壁の脆弱性あるいは透過性の亢進を思わせる所見も観察された.
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大島 寛一, 岡田 幸助, 沼宮内 茂, 萱野 裕是, 後藤 太一
1988 年 50 巻 5 号 p.
1074-1078
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
1978年から予備調査を行い, 約80%が牛白血病ウイルス(BLV)抗体陽性を示した約500頭の乳牛群について1982年から清浄化対策を実施し, 5年後の1986年に計画を達成した. BLV抗体を年2~3回検査し, アブの飛来時期に重点を置いて陽性牛を緩やかに分離飼育した. と殺は陽性牛を優先するものの, 陰性子牛を牛群に還元しつつ生産の低下を来さないよう, 泌乳量および一般健康状態を重視して実施した. 結果的に牛群および個体の平均泌乳量は増加した. この計画は経済的損失をもたらすことなく実施可能であり, 清浄化モデルとなり得るものと考えられた.
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Madewell B., Lund J., Munn R., Pino M.
1988 年 50 巻 5 号 p.
1079-1084
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
11才の雌ドーベルマンの喉頭に発生した腫瘍を摘出し, 検索した. 腫瘍は種々の大きさで多形の細胞のシート状配列で構成されていた. 腫瘍細胞はデスミン, ミオグロビン, アクチンに強陽性, ビメンチンに弱陽性, 高分子ならびに低分子のサイトケラチン, 上皮細胞膜抗原ならびにミオシンに陰性であった. 電顕的には, 一部の腫瘍細胞の細胞質に, クリステに富むミトコンドリが多数存在し, 不整形で電子密度が高くZ帯に類似した領域が認められた. 以上の所見から, 本腫瘍は横紋筋肉腫と診断された.
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板垣 匡, 藤原 寿己江, 真島 浩輔, 板垣 博
1988 年 50 巻 5 号 p.
1085-1091
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
近年オーストラリアから多数の肉用牛が輸入され, F. hepatica感染牛が含まれている. オーストラリア産F. hepaticaに対する日本産Lymnaea属貝の感染性を明らかにするため, ヒメモノアラガイL. ollula, コシダカモノアラガイL. truncatula, タイワンモノアラガイL. auricularia swinhoei及びモノアラガイL. japonicaをミラシジウムに暴露した結果, L. ollula及びL. a. swinhoeiで幼虫の感染・発育が認められ, 感染率はそれぞれ83.3%, 38.5%であった. しかしL. truncatula及びL. japonicaでは感染が成立しなかった. 肝蛭幼虫はL. ollula体内で速かに発育し, ミラシジウム侵入後平均31.8日目にセルカリアの遊出が認められた. 感染ヒメモノアラガイ1匹当たりの総産生メタセルカリア数は平均781.9個であった. メタセルカリアを経口投与したWistar系雄ラットでは, 投与後49日目に虫卵の排出がみられ, 剖検により成虫が回収された. L. a. swinhoeiではレジアまでの発育が確認された. 以上の結果は, オーストラリア産F. hepaticaがヒメモノアラガイを中間宿主として生活環を完結でき, F. hepaticaが侵入・蔓延する可能性のあることを示している.
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山田 文孝, 児玉 洋, 見上 彪, 伊澤 久夫
1988 年 50 巻 5 号 p.
1092-1098
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
ニジマス食細胞の化学発光(CL)に影響を与える諸因子について検討した. Vibrio anguillarumあるいはザイモサンを, ルミノール存在下で培養に加えることにより食細胞を刺激した. CL反応はルミノールおよびザイモサン濃度, また食細胞数およびV. anguillarum数に依存した. 新鮮正常ニジマス血清によるオプソニン処理の有無にかかわらず, V. anguillarum生菌は急激で強いCL反応を惹起させた. これに対し, オプソニン処理ホルマリン不活化死菌は緩慢で弱い反応を惹起し, 非オプソニン化死菌は反応を惹起しなかった. 腹腔, 頭腎, 脾臓あるいは末梢血から分離した食細胞はそれぞれ類似のCL反応性を示した.
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大田 博昭, 小峯 健一, 石島 洋一, 吉川 泰弘, 小林 雄一, 池森 豊, 岡田 秀親, 山内 一也
1988 年 50 巻 5 号 p.
1099-1102
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
各種鳥類ウイルス感染細胞による抗体非依存性のニワトリ補体の活性化能を検討した. その結果, 伝染性喉頭気管炎ウイルスNS-175株, マレック病ウイルスGA株, 鶏痘ウイルス・ワクチン#946株, ニワトリ白血病ウイルスRAV-2, 細網内皮症ウイルスT株, ニューカッスル病ウイルス・ワクチンB1株およびTCND株, 伝染性気管支炎ウイルスKH株, レオウイルス内田株で第2経路を介した補体活性化がみいだされ, その中, あるものでは補体による非特異的ウイルス中和もみられた. 一方, シチメンチョウヘルペスウイルスFC-126株, 鶏痘ウイルス西ヶ原株, トリアデノウイルス大手株, ニワトり白血病ウイルスRAV-1, ニューカッスル病ウイルス佐藤株, 伝染性ファブリシウス嚢病ウイルスJ1およびLKT株では補体活性化はみられなかった.
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大宅 辰夫, 久保 正法, 渡瀬 弘
1988 年 50 巻 5 号 p.
1103-1106
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
フリー
豚の増殖性腸炎(PE)の原因菌とされるCampylobacter mucosalis 及び Campylobacter hyointestinalisの選択分離培地として, 両菌による硫化水素産生を指標とした新しい選択培地2種(培地A及び培地B)を作製した. 培地AにはC. mucosalisとC. hyintestinalisが, 培地BにはC. hyointestinalisのみが, いずれも中心部が黒色のコロニーを形成し発育した. これらA, B両培地の併用はPE病変部のみならず, 混在菌の多い糞便材料からのC. mucosalis及びC. hyointestinalisの選択分離に特に有効であった.
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河津 信一郎, 神尾 次彦, 横溝 祐一, 藤崎 幸蔵, 南 哲郎
1988 年 50 巻 5 号 p.
1107-1108
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
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フリー
ホルスタイン種摘脾子牛2頭をTheileria sergenti(TS)感染フタトゲチマダニの吸血により感染させ, 赤内型原虫の寄生率のピークにあわせて計3回経過血清を採取した. 採取した血清よりIgM, IgG
1およびIgG
2を分画し, TS抗原に対するそれぞれの活性を間接螢光抗体法および酵素抗体法で測定した. その結果, Ig
G2分画がIgMおよびIgG
1分画よりも長くTS抗原に対する活性を保持することが示唆された.
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森川 嘉夫, 下仲 治代, 岡田 利也
1988 年 50 巻 5 号 p.
1109-1110
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
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ラット胎仔の結腸杯細胞は, 胎生末期に向かって増加した. この胎生末期での杯細胞の増加は, 胎仔を半断頭あるいは母体腹腔内で子宮外に浮遊させておくと抑制されたが, 胎仔副腎除去, 甲状腺除去, 除脳では影響を受けなかった. 胎仔の断頭および母体腹腔内での浮遊は胎仔自身の羊水の飲み込みを阻止することから, 胎生末期における結腸杯細胞の発育には羊水が大きく関与していることが示唆された.
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金内 長司, 伊藤 和夫, 原沢 亮, 尾形 学
1988 年 50 巻 5 号 p.
1112-1114
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
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Campylobacter laridisはMacConkey Agar Base (Difco)上でほぼ透明な淡赤紫色のコロニーを形成し, 不透明な淡白桃色のコロニーを形成するC. jejuniおよびC. coliと明瞭に区別された.
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今岡 浩一, 金井 芳之, 西川 禎一, 吉川 泰弘, 山内 一也
1988 年 50 巻 5 号 p.
1115-1118
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
ジャーナル
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牛疫ウイルスウサギ順化株と, Vero細胞に順化・継代した株をウサギにそれぞれ接種し, リンパ系組織における組織病変とウイルス増殖および, 抗核抗体の産生との関係を調べた. 組織病変およびウイルス増殖の程度, 産生される抗核抗体の抗体価はいずれも, Vero細胞での継代数が増すにつれて低下した. 抗核抗体の産生とウイルスの病原性との相関が示された.
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岩田 祐之, 小野 憲一郎, 長谷川 篤彦, 友田 勇
1988 年 50 巻 5 号 p.
1119-1120
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
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牛α
1酸性糖蛋白の血中濃度を単純放射状免疫拡散法により測定した. 健常成牛(1歳8ヵ月~14歳齢, n=33)では0.31±0.09 (範囲:0.17~0.55) g/l, 哺乳牛(1~4ヵ月齢, n=5)では0.25±0.11g/l, 育成牛(6~12ヵ月齢, n=15)では0.27±0.09g/lで年齢あるいは妊娠による差は認められなかった. 症例牛ではアミロイド症で3例中2例が低値を示した. 一方, 肝障害では20例中4例が, 肺炎では5例中2例が, また白血病では8例中4例が高値を示した. とくに白血病では3.55g/lと著しい高値を示す例が認められた.
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野中 哲, 樋口 直子, 新井 敏郎, 大木 与志雄
1988 年 50 巻 5 号 p.
1121-1123
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
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KKマウスの新生子にMonosodium glutamate 4mg/gを背部皮下に単回投与した結果, 肥満性糖尿病が高率に誘発された. 糖尿病雄KKマウスを28週齢で去勢した結果, 全例で尿糖が陰転した. 去勢後, testosteroneあるいは副腎アンドロゲンを毎日連続投与するとそれぞれ尿糖が全例において再び発現した. KKマウスの糖尿病発現には性ホルモンとくにアンドロゲンが重要な役割を果たしていることが明らかとなった.
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田原 秀樹, 角田 映二, 山田 裕, 佐々木 伸雄, 竹内 啓
1988 年 50 巻 5 号 p.
1124-1126
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
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HPLC有機酸分析システムを牛の第一胃液および血中VFA濃度の測定に応用した. その結果, 各酸のピークは鮮明であり, 測定間の変動係数も小さく, また試料に添加した各酸の回収率も高いこと, さらに本法はVFAとともに乳酸も同時に測定できることから, 牛の第一胃に関する研究に広く応用可能な方法であることが認められた.
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門田 耕一, 井上 亙, 児玉 道, 中島 弘美, 荻原 喜久美
1988 年 50 巻 5 号 p.
1127-1130
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
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6か月齢, 雑種, 去勢雄豚にIgG産生性免疫芽球性肉腫がみられた. その培養細胞を電顕観察したところ, 無数の槽内A型粒子が粗面小胞体の槽内に, 少数の同様粒子が核膜腔内にあり, 培養液には逆転写酵素活性が認められた. 一部のリンパ球様細胞の培養液中には, IgMが存在していた.
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須永 藤子, 並河 和彦, 菅野 康則
1988 年 50 巻 5 号 p.
1131-1132
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
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Babesia rodhaini感染マウスに対して感染72時間後の0時, 4時, 8時, (以上暗期), 12時, 16時, 20時 (以上明期)にdiminazene diaceturate 9.5mg/kgを1回投与すると, 投与後7日目の生存率は明期投与群に高く, 暗期投与群に低くなる傾向が認められ, 特に, 明期の12時投与群の生存率は67.4%であったのに対し, 暗期の4時投与群は16.3%で, 両者間に有意の差が認められた.
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村瀬 敏之, 稲葉 睦, 前出 吉光
1988 年 50 巻 5 号 p.
1133-1135
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
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血清の前処理に脂溶性画分抽出用カラム(Extrelut
(R)1, Merck)を用いて簡便化し, 検出系にHPLCを用いることで特異的にグルココルチコイドの測定を行うことができた. 14頭の正常犬で血清コルチゾール値は1.10±0.74μg/dl(平均±S.D.), また, うち6頭でコルチゾンが検出されその最大値は0.57μg/dlであった. さらに, コルチゾール値の日内変動パターンを異にする二つの個体群が観察された.
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田中 雅之, 岡部 達二, 佐々木 文存
1988 年 50 巻 5 号 p.
1136-1138
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
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牛白血病ウイルス不活化抗原を用いて高度免疫した牛末梢リンパ球とマウスミエローマ細胞(SP2/0-Ag14) との細胞融合を行い, ELISAによる選択により牛白血病感染細胞(FLK-BLV)の膜抗原に反応するモノクローナル抗体(BMAb/cc-1)を作製した. このモノクローナル抗体は, 牛免疫グロブリンIgG1サブクラスの抗体を産生し, 精製ウイルスを用いたウエスタン・ブロッテイング法により, ウイルス糖蛋白gp51を認識していた. さらに, このモノクローナル抗体が認識するエピトープには中和活性が含まれていた.
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菱沼 貢, 星 信彦, 高橋 芳幸, 金川 弘司
1988 年 50 巻 5 号 p.
1139-1141
発行日: 1988/10/15
公開日: 2008/02/13
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正常な雌子牛の分娩後に排出された無形無心体について, 血管走行と染色体構成を調べた. 血管の合成樹脂鋳型標本からは, 心臓およびそれに相当する構造は認められなかった. 無形無心体の染色体構成は60,XYで, 正常な雄の核型を示した. 同腹の雌子牛に性染色体のキメラは認められなかった.
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