日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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肝蛭幼若虫のラット腹腔内移植による実験感染
佐伯 英治平 詔亨富下 義文石井 俊雄
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1989 年 51 巻 1 号 p. 151-156

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抄録
肝蛭人工感染法の1つの試みとして,日本産肝蛭(Fasciola sp.)幼若虫(JW)およびメタセルカリア(MC)をラットの腹腔内に移植した.その結果,移植されたJWおよびMCの一部は胆管に至り,成虫になることが明らかとなった.しかし,寄生率および虫体回収率の何れも前者が優り,JWを10~15匹移植した場合約3匹の成虫が回収された.JW移植群のprepatent perlodは平均63.5日であり,移植後100~230日の間EPGは102~103の値を維持していた.移植虫体のラット体内における生存期間は約400日であった.これらの成績から,ラットは種々の肝蛭感染実験に十分供試し得る動物であると考えられる.
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