日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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51 巻, 1 号
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  • 細見 修, 竹屋 章
    1989 年51 巻1 号 p. 1-6
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシ(ホルスタイン種及びジャージ種)とヒト初乳中のUDP-GlcNAc: Gal(β1-4)Glc(or GlcNAc) (β1-3) N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ活性を調べた.その結果,ウシ初乳中からはこの酵素活性は検出されず,ヒト初乳中に強く認められた.酵素の二価金属イオン要求性,至適pH,受容体特異性やKm値はヒト血清や尿中に見出された酵素のそれとよく一致していた.又,反応生成物をβ-N-アセチルヘキソサミニダーゼで分解するとN-アセチルグルコサミンを遊離した.更に,生成物のメチル化-加水分解,フルオログラフィーによる解析から,その構造がGlcNAc(β1-3)Glc(β1-4)Glcであることが明らかとなった.一方,ウシ血清中にもラクトースを受容体にするN-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼが存在し,その活性はヒト血青中の酵素の6/1-1/4程度であった.以上の結果から,ヒト初乳中に存在する(β1-3)N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼと,ウシ初乳中には検出されないが,ヒト乳汁中には存在するラクト-N-トリオースII (GlcNAc(β1-3)Gal(β1-4)Glc)構造をもつ長鎖のオリゴ糖との間には深い相関があるものと考えられた.
  • 金井 克晃, 九郎丸 正道, 林 良博, 西田 隆雄
    1989 年51 巻1 号 p. 7-16
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    C57BL/6マウスの生殖腺の組織発生に伴う精巣索・生殖細胞索の形成過程を観察し,その性索を構成する体細胞(セルトリ細胞,卵胞上皮細胞)の起源について調べた.雌雄の性索の形成時期は異っているが,その形成に間葉系の細胞群が大きな役割を果していることを確認した.雄においては,前セルトリ細胞のマーカーとしてPAS反応が有効な方法であることが認められた.PAS反応を施した未分化期の標本観察から,セルトリ細胞の起源が中腎由来であることが明らかにされた.PAS反応は精巣の組織形成の追求に,また,早期の性別判定にも有効な手段であると考えられた.雌の卵胞上皮細胞の起源は主に中腎組織であり,体腔上皮由来の細胞群も一部それに含まれていると考えられた.
  • 大橋 秀法, 小森 成一, 権 成春, 海野 年弘
    1989 年51 巻1 号 p. 17-28
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ニワトリから摘出した結直腸を血管から人工栄養液で灌流しながら,レマック神経刺激(RNS)により発生する結直腸収縮反応に対する血管から適用した場合のニューロテンシン(NT)の作用を検討した.NT (5ng-2μg/ml)は,RNSで発生する反応の中で,収縮要素を用量依存的に抑制したが,弛緩要素には影響を及ほさなかった.高濃度のNT (80ng/ml以上)では,結直腸の収縮も発現した.アドレナリン作動性β受容体遮断薬のプロプラノロールとアドレナリン作動性ニューロン遮断薬のグアネチジンは,NTのRNSによる収縮反応抑制効果を弱める一方で,NTの結直腸収縮効果を増大した.NT (0.1μg/mlと1μg/ml)は,ノルエピネフリンと同様に,定圧灌流下の結直腸標本からの灌流液の流出速度を低下した.グアネチジンはノルエピネフリンのこの血管収縮効果を増大し,アドレナリン作動性α受容体遮断薬のフェントラミンとプロプラノロールとの併用はこの効果を発現しなくした.これらどちらの前処置によっても,NTの血管収縮効果は抑制された.これらの成績は,血中NTがホルモン様に作用してニワトリの結直腸に対する興奮性神経支配を抑制する可能性とこの効果の発現にはNTによりアドレナリン作動性神経から遊離されるカテコールアミンが一部関与することを示唆している.
  • 松井 寛二, 菅野 茂
    1989 年51 巻1 号 p. 29-34
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    育成期および成熟期のウマ,ウシ,ブタ,ヤギおよびニワトリを用いて,安静時心拍数と固有心拍数および自律神経緊張度の相互関係を調調べ,成長にともなう心拍数減少にみられる動物種差の原因について考察を加えた.固有心拍数と自律神経緊張度はアトロピンとプロプラノロール投与後の心拍数を用いて算出した.安静時心拍数と固有心拍数はいずれの動物においても育成期から成熟期にかけて減少し,また自律神経緊張度は交感神経緊張度の減少あるいは副交感神経緊張度の増加という型で副交感神経緊張優位の方向に推移した.成長にともなう安静時心拍数の減少にはまず固有心拍数の減少が,ついで副交感神経緊張度の優勢化が深く関わっており,とくに自律神経緊張度の推移の面で著しい動物種差が認められた.
  • 古岡 秀文, 伊東 久男, 濱田 みゆき, 諏訪 隆彦, 佐藤 博, 板倉 智敏
    1989 年51 巻1 号 p. 35-43
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウマの膵臓の4部位,すなわち,左葉,右葉,体部(十二指腸葉と中間葉)における島の細胞構成について,glucagon, insulin, somatostatin, PP抗血清を用いて免疫組織化学的に検索を行った.左葉および中間葉の膵島は,glucagon細胞塊が中央に位置し,insulin細胞が膵島の外側に帯状に配置していた.また,somatostatin,PP細胞が,insulin細胞の間隙あるいは,周囲に散在性に観察された.十二指腸葉の膵島では,glucagon細胞をほとんど欠き,主としてinsulin細胞とPP細胞から構成され,somatostatin細胞は主に膵島の外側に散在性に観察された.これらのことは,十二指腸葉が腹側膵原基に,左葉および中間葉が背側膵原基に由来することを示唆していた.右葉における膵島の構成は,左葉,中間葉の膵島のそれに概ね一致していたが,時に十二指腸葉にみられるようなglucagon細胞を欠き,in-sulin細胞とPP細胞が優勢な膵島を有する小葉が観察された.
  • 元井 葭子, 竹内 正太郎, 宮本 亨, 新林 恒一, 長沢 成吉
    1989 年51 巻1 号 p. 44-51
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Fusobacterium necrophorum (F. necrophorum)接種による肝膿瘍発症実験牛8頭と野外発症牛18頭を用い,肝膿瘍慢性化診指標としての血漿プロリダーゼの有用性を検討した.剖検時に膿瘍が存在した4頭の実験牛のうち3頭のプロリダーゼ活性は,菌接種後40日で増加しはじめ,90日まで高活性を持続した.またシアル酸濃度は菌接種後7日から10日にかけて増加しはじめ,50日後には徐々に正常値に戻りはじめた.他の1頭は実験初期には他の3頭と同様の変動を示したが,70日以後プロリダーゼ活性は急激に低下した.しかし,シアル酸は90日まで高濃度を継続した.解剖時瘢痕形成だけが認められ膿瘍が認められない2例では,プロリダーゼ活性は接種後40~55にかけて高値を示し死菌接種対照群ではいずれもほぼプラトー状態で推移した.野外の肝膿瘍発症牛でシアル酸濃度が増加していたものでは,プロリダーゼ活性は正常値範囲であった.しかし,シアル酸が正常値を示した発症牛ではプロリダーゼ活性は上昇していた.
  • 樋口 徹, 一条 茂, 納 敏, 大石 秀夫
    1989 年51 巻1 号 p. 52-59
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    子馬白筋症の原因を明らかにするため,北海道日高地方における白筋症子馬,同居子馬並びに非発病厩舎の子馬のほか,それらの母馬,その他対照として福岡県と北海道十勝地方の重種の成馬について,血清のトコフェロールとセレニウム,血液グルタチオンペルオキシターゼ活性値を測定した.血清トコフェロールでは,白筋症子馬はすべて正常値で,初乳摂取による上昇が示唆されたが,白筋症子馬の母馬は他の母馬に比べて有意(P<0.01)な低値であった.血清セレニウム値では,白筋症子馬はすべて65ppb以下の低値であり,また白筋症子馬の母馬は他の母馬に比べ有意(P<0.01)な低値を示した.血液グルタチオンペルオキシダーゼ活性値と血清セレニウム値の間には強い正の相関(r=0.81)が認められた.また,白筋症子馬の肝臓のセレニウム含量は他の疾患例と比べ明らかな低値であった.白筋症の発病厩舎で給与された飼料(乾草,エンバク)のセレニウム含量はすべて0.1ppm以下であり,乾草の約半数とエンバクのすべてのα-トコフェロール含量は2mg/100g D.M.以下の低値であった.以上の所見から,日本の子馬の白筋症の原因は,特に妊娠母馬の飼料からのトコフェロールとセレニウムの摂取不足に起因した栄養性筋変性症であることが初めて明らかにされた.
  • 甲野 雄次, 泉対 博, 新井 啓五, 松田 泉, 石野 清之
    1989 年51 巻1 号 p. 60-69
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛白血病ウイルス(BLV)抗体を持ち,持続性リンパ球症(PL)を示した2頭の牛の1.5×108又は,5×l09個のリンパ球をそれぞれ1頭の子牛に接種した.接種後14及び23日目にリンパ球の急激な増加が起こり,その数は72及び57日後に最高値(29,000及び52,000個/μl)に達した.リンパ球数はその後減少したが,PLは観察期間中持続した.PLはPL時のリンパ球(PLL)の接種により常に起こり,連続継代が可能であった.PLLの接種量と発生したPLの程度は平行関係にあり, PLを示さなくなった時期のPBLはPLを起こさなかった.PLLをBLV抗体陽性・PL陰性牛に接種した時もPLは発生した.一方,PLは細胞フリーウイルスの接種では発生せず,抗体の産生も遅かった.これらの事象はBLVの感染が感染リンパ球により効率的に起きること,この感染がリンパ球間の相互接触により起こる可能性,及びBLVの実際の感染量がPLの発現に重要な意味を持つことを示していると解釈される.
  • 甲野 雄次, 糸原 重美, 村松 晋, 泉対 博, 石野 清之, 関川 賢二
    1989 年51 巻1 号 p. 70-78
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛白血病ウイルス(BLV)感染リンパ球の大量接種により発生した持続性リンパ球症(PL)時の末梢血リンパ球(PBL)の性状を明らかにした.PBLは表面免疫グロブリンを持ち,高いシンチウム形成能を示し,細胞遺伝学的には正常リンパ球と区別できなかった.また細胞DNA中にBLVプロウイルスDNAをランダムに取込んだポリクローナルな細胞群であった.これらの性状はBLVに自然感染したPL牛のPBLの性状と同一であった.PBLのBLVプロウイルス含有量とウイルス遺伝子の転写はPLの発現とともに増加し,その減衰とともに減少し,BLV遺伝子の発現とウイルスの増殖がPLの成立と密接な関係を持つことを示唆した.
  • 笠原 力, 一条 茂, 納 敏, 更科 孝夫
    1989 年51 巻1 号 p. 79-85
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウシ大脳皮質壊死症の発病機序と早期診断の参考所見を得る目的で,健康な子牛2頭3例を用い,アンプロリウムの経口投与により実験的に大脳皮質壊死症を作出した.日量321~418mg/kgのアンプロリウム投与で,3例は27~49日後に運動失調,間代性痙攣,起立困難,弓なり緊張などの中枢神経症状を発した.剖検では大脳皮質の広範囲な巣状壊死巣を認め,大・小脳を含むチアミン量の著名な減少が特徴所見であった.また,1例では発病後Thiamine tetrahydrofurfuryl disulfide (TTFD) 25mgを静脈内に投与し,神経症状の回復が確認された.3例の発病牛は神経症状出現の約20日前から徐脈(36~50/分)を示し,大脳皮質壊死症の早期診断の参考所見と思われた.全血のチアミン量には著変がみられなかったが,赤血球内チアミン量は発病の約1週間前に減少傾向を示した.また,尿のチアミン排泄量はアンプロリウム投与中には著変がみられなかった.以上の所見から,ウシの大脳皮質壊死症は臓器チアミン量の著減を特徴とするチアミン欠乏症と考えられるが,血液チアミン量の減少は不明瞭で,診断的意義は低いと判断された.
  • 水野 信哉, 藤永 徹, 田島 誉士, 大友 勘十郎, 小池 壽男
    1989 年51 巻1 号 p. 86-95
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    可移植性肉腫再接種犬におけるリンパ球の役割を組織学的および免疫学的に検討した.腫瘍は再接種後3日目に発現し,6日目には退縮し始め,15日目にはほぼ消失した.再接種後早期より肉腫組織内にリンパ球が浸潤し,肉腫細胞はリンパ球に囲環され,変性・脱落した.これらリンパ球の大部分は胸腺抗原陽性細胞であった.腫痕の成長に伴い,末梢血リンパ球および胸腺抗原陽性リンパ球の増加が認められたが,表面免疫グロブリン陽性リンパ球には著変は認められなかった.マイトジェンに対する末梢リンパ球の幼若化能は,再接種後早期に著明な上昇を認め,腫瘍の退縮に伴い低下した.以上の結果から,in vivoでは胸腺抗原陽性リンパ球が犬可移植性肉腫の退行に重要な役割を果し,in vivoではリンパ球の幻若化能が再接種後すみやかに増強されることが示された.
  • 今田 忠男, 川村 斉, 西森 知子, 村田 英雄, 成田 實, 本多 喜員, 石垣 克至
    1989 年51 巻1 号 p. 96-104
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ワクシニアウイルスが,豚で組換えウイルスワクチンとして利用可能か否かを知るために,ワクシニアウイルスの子豚に対する病原性及び免疫原性を検討した.ワクシニアウイルスを乱切接種したところ,接種部分に発赤腫脹が認められたのみで,体温の上昇,発育不良等の臨床症状は全く認められなかった.ワクシニアウイルスは,病変部皮膚から分離されたが,その力価は低かった.接触対照群においても,5週間の観察期間中,臨床症状は認められなかった.また,ワクシニアウイルスに対する豚血清中の抗体は,血球凝集抑制試験及び間接蛍光抗体法により,ウイルス接種群にのみで検出され,接触対照群では陰性であった.豚末梢血リンパ球の特異抗原に対する幼若化反応は,接種後5週において,接種群のリンパ球は接触対照群のリンパ球より有意(P<0.05)に高い反応性を示した.これらの結果は,ワクシニアウイルスが安全性の観点から,豚で組換えウイルスベクターとして有用であることを示唆した.
  • 加藤 憲夫, 木村 和弘
    1989 年51 巻1 号 p. 105-109
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    男性用避妊薬であるゴシポールは,豚精巣から精製したサイクリックヌクレオチド非依存性ホスビチンキナーゼを阻害した.IC50はホスビチンを基質にして測定したところ,42μMであった.阻害様式はATPに対しては非拮抗(Ki=17μM)であったが,ホスビチンに対しては拮抗阻害(Ki=11μM)を示した.ホスビチンの代りにMMGタンパク質(本酵素の内在基質でヌクレオソームに局在する)を基質に用いた場合も,ゴシポールにより阻害された.その時のIC50は48μMであった.
  • 磯貝 恵美子, 磯貝 浩, 三浦 宏子, 高野 一雄, 青井 陽, 林 正信, 波岡 茂雄
    1989 年51 巻1 号 p. 110-118
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    歯周疾患に羅患した雑種およびビーグル成犬の歯垢細菌叢を調べた.上顎小臼歯部から歯垢を採取し種々の培地で培養した.すべての犬の細菌叢は主として偏性嫌気性グラム陰性桿菌によって構成されていた.カタラーゼ陽性のBacteroides asaccharolyticusは雑種犬で最も高い割合を示した.ビーグル犬ではB. asaccharolyticusに比べてFusobacterium nucleatumの方が高い割合を示した.歯周疾患の発症にともないB. asaccharolyticusなどの偏性嫌気性グラム陰性桿菌が増加し,Streptococcus, Enterococcus および Staphylococcusは減少した.唾液細菌叢は歯周疾患の有無に関係なく,歯垢細菌叢とは異なっていた.健康な歯肉を持つビーグル犬の唾液細菌叢は雑種犬のそれとは異なっていた.Enterococcus, Lactobacillus, Eubacterium,黒色集落形成性Bacteroidesは雑種犬に比較してビーグル犬で高い割合であった.一方,Fusobacterium, Enterobacteriaceae,酵母および真菌は低い割合であった.これらの結果からB. asaccharolyticusおよびF. nucleatumは犬における歯周疾患のcommon pathogenであり,歯肉の炎症の進行に深く関与することが明らかとなった.
  • 片本 宏, 栗原 伸二, 島田 保昭
    1989 年51 巻1 号 p. 119-127
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    硬化牛脂を含む飼料をラットに18週間連続して与えた.給与開始8週間後よりイソプロチオラン(50mg/kg)またはファイトステロール(20mg/kg)を毎日経口的に10週間連続して投与した.イソプロチオラン投与ラットにおいて,血清HDLリン脂質が増加した.またファイトステロール投与ラットにおいて,血清VLDLコレステロールの減少が見られた.脂肪組織リン脂質の構成脂肪酸において,イソプロチオランの投与によりパルミトレイン酸(16:1)の増加が,一方ファイトステロールの投与によりパルチミン酸(16:0)の増加が認められた.凍結組織切片で,硬化牛脂を含む飼料を与えたラットの脂肪細胞内に多数の結晶物質が認められた.両薬剤を投与したラットでは,投与していないラットに比較して,この結晶物質の数が減少する傾向を示した.
  • 宮里 俊光, 三浦 康男, 長谷 学, 久保 正法, 後藤 義之, 甲野 雄次
    1989 年51 巻1 号 p. 128-136
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1984年10月から11月にかけて鹿児島県下で神経症状を示す疾病が10頭の子牛に発生した.そのうち1頭の小脳からHmLu-1細胞にCPEを示すウイルスが分離され,イリキ株と名付けられた.発症牛は全例に,また同居牛も高率に本ウイルスに対する抗体を保有していた.おとり牛を用いた調査により,1984年には本ウイルスに対する抗体の陽転がみられ,このウイルスの流行が示唆された.イリキ株は中和試験によりアカバネウイルスと片側交差を示すことから,アカバネウイルスに分類されると思われる.電子顕微鏡的にも本ウイルスはアカバネウイルスと類似していた.本ウイルスの実験感染の結果,子牛は自然感染例と類似の致死的な神経症状及び脳病変を示した.以上の結果から,イリキ株は今回報告された子牛の非化膿炎の原因であることが明らかとなった.
  • 上野 俊治, 諏往 信行, 古川 義宣, 相川 勝弘, 板垣 伊織
    1989 年51 巻1 号 p. 137-145
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    6価クロム(K2Cr2O7; Cr VI)による細胞障害と脂質過酸化との関係を調べるため,活性酸素スカベンジャー,抗酸化剤,抗クロム剤を添加した遊離肝細胞を1mMのCr VIとともに培養した.抽出脂質の過酸化はチオバルビツール酸法で測定し,細胞障害は肝細胞から培養液中へのLDH遊出を指標として検討した.また,細胞内グルタチオン(GSH)の代謝に関連する酵素活性への影響についても検討した結果,次の成績を得た.1) Cr VIによる肝細胞の脂質過酸化は培養開始20分後に上昇し,細胞障害は60分後に観察された.2) catalase, mannitol, NN'-diphenyl-p-phenylenediamine,α-tocopherolは, Cr VIによる脂質過酸化を抑制したが,細胞障害は抑制しなかった.3) Cr VIは肝細胞内のGSH含有量を減少させ,同時にglutathionereductase, glutathione-S-transferaseの活性を低下させた.しかしglutathionerperoxidase活性には影響しなかった.4)活性酸素スカベンジャーや抗酸化剤は,Cr VIによるGSHの低下を防止できなかった.5) アスコルビン酸は, Cr VIによる脂質過酸化,細胞障害,GSH低下を防止した.以上の成績から,Cr VIによる細胞障害は脂質過酸化と関連せず,むしろCr VIによる細胞内GSHの直接酸化による低下,あるいはGSHなどに関連する酵素活性の低下に起因していることが示唆された.
  • 大西 正敏, 小島 夏樹, 小久江 栄一, 吐山 豊秋
    1989 年51 巻1 号 p. 146-150
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    妊娠ゲッチンゲンミニブタ10頭に,器官形成期の前半(妊娠11~22日)に, ピリメタミン(PYR) 3.6mg/kg/dayを,6日間飼料とともに投与したところ,新生豚にsplaylegが高率に出現した(20/27).対照群では,18頭中1頭だけに出現した.PYR群には,死産が多かった(PYR群; 32/59, 対照群; 3/21).この実験での新生豚(80)には,外表奇形は見られなかった.前肢,後肢,駆体筋について,組織学的,生化学的検査をしたが筋原線維の低形成は見られなかった.PYR群の筋肉中の蛋白含量は,対照群より有為に少なかった.splayleg発症の機構については,はっきりしなかった.
  • 佐伯 英治, 平 詔亨, 富下 義文, 石井 俊雄
    1989 年51 巻1 号 p. 151-156
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    肝蛭人工感染法の1つの試みとして,日本産肝蛭(Fasciola sp.)幼若虫(JW)およびメタセルカリア(MC)をラットの腹腔内に移植した.その結果,移植されたJWおよびMCの一部は胆管に至り,成虫になることが明らかとなった.しかし,寄生率および虫体回収率の何れも前者が優り,JWを10~15匹移植した場合約3匹の成虫が回収された.JW移植群のprepatent perlodは平均63.5日であり,移植後100~230日の間EPGは102~103の値を維持していた.移植虫体のラット体内における生存期間は約400日であった.これらの成績から,ラットは種々の肝蛭感染実験に十分供試し得る動物であると考えられる.
  • 清水 実嗣, 村上 晋一, 佐藤 国雄
    1989 年51 巻1 号 p. 157-162
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    粘膜病発病牛10頭についてウイルス学的検査を実施した.9頭からは細胞病原性と非病原性の牛ウイルス性下痢-粘膜病ウイルスニ種が分離された.1頭からは細胞病原性ウイルスのみが分離されたが,分離材料を選択することにより非細胞病原性ウイルスの分離も可能と思われた.分離ウイルスの血清学的性状を中和試験で調べたところ,発病牛によって多少の差異が認められたが,同一個体から分離した細胞病原性と非細胞病原性ウイルスは類似した抗原性状を示した.以上の成績は,粘膜病は非細胞病原性ウイルスの子宮内感染により誘導された持続感染牛に発生し,非細胞病原性の持続感染ウイルスと細胞病原性ウイルスの抗原性状の一致が粘膜病の病理に関係するという仮説を支持するものと思われる.
  • 井上 勇
    1989 年51 巻1 号 p. 163-168
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1982年12月から1984年3月までに本学解剖学研究室に搬入されたニホンカモシカ214頭について糞便検査を実施した.その結果4種類のオーシストを分離し,これらを既知オーシストと比較同定したところ新種であったのでE. capricornis, E. nihonis, E. naganoensis, およびE. kamoshikaと命名した.E. capricornisは大きさ48.02±0.53×33.93±0.35μm,濃褐色で卵円形,外層は粗〓で濃褐色,中層淡黄色,内層は紫色であった.Micropylar cap.外部残体, Stieda bodyは欠けていたが, micropyle, polar granuleおよび内部残体は有しており胞子形成期間は6日であった.E. nihonisは大きさ29.73±0.45×21.01±0.29μm,淡褐色で楕円形,外層は粗〓であり褐色,内層は黒色であった.Micropyleおよび内部残体は認められたがその他は欠けていた.なお,胞子形成期間は3日であった.E. naganoensisは大きさ20.04±0.05×15.77±0.04μm,淡褐色で卵円形,壁は平滑で外層は淡黄色,内層は紫色であった.Micropyle,内部残体お上び小さなStieda bodyを有し,胞子形成期間は3日であった.E. kamoshikaは大きさ30.07±4.74×14.58±2.03μm,無色で長楕円形,左右が不対称であった.壁は平滑で外層は淡黄色,内層は紫色で,micropyle,内部残体および小さなStieda bodyを有し,胞子形成期間は6日であった.
  • 玄 順浩, 阪口 玄二
    1989 年51 巻1 号 p. 169-176
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    C型ボツリヌス毒素(C1L毒素)と結合するC型菌々体画分と,その画分中の結合物質の同定を試みた.毒素は細胞壁画分,および細胞壁成分のペプチドグリカンとpH2で結合することが分った.ペプチドグリカンと結合した毒素のニワトリ,マウスに対する経口毒力は,毒素単独のそれぞれ10倍,および20倍以上に増強された.毒素と結合する物質は,ガスクロマトグラフィーによりアラビノースとガラクトースであると同定された.この結合は,ブロイラーのC型ボツリヌス症の発症に関与すると考えられる.
  • 堀本 泰介, 笠岡 達彦, 土屋 耕太郎, 高橋 英司
    1989 年51 巻1 号 p. 177-183
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    猫肺培養細胞,CRFK細胞,およびfcwf-4細胞の3種類を用いて,ネコヘルペスウイルス1型(FHV-1)の赤血球凝集(HA)性を検討した.全ての培養細胞の細胞内外粗材料ともHA性は見られなかったが,それらをtween 80とエーテルで処理することで,細胞差なくHA性が発現した.しかし,それら材料のウイルス感染価と得られたHA価との間に関連性は認められなかった.またHA性は細胞内材料で感染の早い時期に見い出された.一方,感染fcwf-4細胞浮遊液を超音波破壊後の遠心上清中には,高力価のHA素が存在した.感染fcwf-4細胞膜分画から,Triton X-100, DOC, CHAPSの3種の界面活性剤を各々用いてHA素の抽出を試みたところ,いずれも高力価のHA素を得ることが可能であった.各界面活性剤のHA素可溶化のための最適濃度は,Triton X-100 0.05 (v/v) %, DOC 0.5 (w/v) %, CHAPS 0.1-0.2 (w/v) %と決定された.感染fcwf-4細胞から超音波処理により抽出されたHA素,および界面活性剤により可俗化されたHA素とも,抗FHV-1血清によりその活性が抑制され,赤血球凝集抑制試験のHA抗原として応用可能であった.
  • 吉原 豊彦, 兼子 樹広, 及川 正明, 和田 隆一, 富岡 義雄
    1989 年51 巻1 号 p. 184-186
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    軽種馬の第3中手骨遠位部の軟X線像解析の結果,本骨組織の発育過程で,運動性を示唆する骨梁の肥大および増生が見出された.従って,画像解析は骨の軟X線像の数理形態学的解析に有効であるとみなされた.
  • 長野 秀樹, 明石 博臣, 徳井 忠史, 稲葉 右二
    1989 年51 巻1 号 p. 187-190
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ブルータングウイルス(BTV)と他の血清群に属するウイルス株との関係をBTV L3遺伝子のcDNAを用いたnorthern blot hybridization法で調べた.その結果,パリアム群に属する1株(CSIRO 82株)及びEHD群に属する2株(CSIRO 753及びDPP 59株)の計3株がBTV L3遺伝子と反応した.また,3株中2株が補体結合反応でBTVと反応した.これらの結果から,L3遺伝子の相同性が類属反応の一因となり得ることが示唆された.
  • 斎藤 徹, 鎌田 邦栄, 中村 幹雄, 稲葉 稔
    1989 年51 巻1 号 p. 191-193
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    卵巣および鋤鼻器剔出成熟雌ラット(Wistar-Imamichi系)にEstrogenとLHRHを投与し,その動物の性行動(ロードーシスおよび勧誘行動)を観察した.その結果,ロードーシスの発現および高いロードーシス商を得たが,勧誘行動は全く認められなかった.
  • 阿閉 泰郎, 杉村 誠, 鈴木 義孝
    1989 年51 巻1 号 p. 194-196
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    二ホンカモシカの指(趾)間洞腺が,特殊皮膚腺として位置づけられていることを明らかにする目的で,体表各部の皮膚アポクリン汗腺についてUlex europaeus agglutinin I (UEA)結合能力の有無を,レクチン組織化学的に調べた.UEAは,指(趾)間洞腺のアポクリン汗腺と結合したが,眼瞼,頬,口唇,頚,背,腹部のものとは結合しなかった.これは,指(趾)間洞腺が一般皮膚と異なる機能を有することを示すものと考えられる.
  • 古岡 秀文, 安里 章, 有田 由美, 都築 直人, 佐藤 博, 板倉 智敏
    1989 年51 巻1 号 p. 197-199
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    5才の乳牛におけるPrototheca zopjiiによる乳房炎を病理組織学的に検索した.菌は乳腺腺房腔内ならびに上皮に主座し,頻繁にマクロファージに貧食されていた.罹患腺房の多くでは基底膜はよく保たれていたが,一部の基底膜は損傷され,周囲間質に菌を貧食したマクロファージの結節が形成されていた.
  • 藤田 雅弘, 古田 隆久, 中嶋 隆, 粟田 富久一, 金内 長司, 上田 雄幹, 尾形 学
    1989 年51 巻1 号 p. 200-202
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    健康豚120頭および発育不良豚(ひね豚)103頭の肺におけるPcの検出率はそれぞれ0%,44.4%であり,陽性ひね豚における平均シスト数(log10)は2.27±0.12/gであった.
  • 鈴木 祥子, 大前 憲一, 中村 政幸, 佐藤 静夫, 小枝 鉄雄, 大石 弘司, 村松 昌武
    1989 年51 巻1 号 p. 203-205
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Salmonella serovar enteritidisの保有する36メガダルトン(Md)プラスミドとマウスにおける本菌の毒力との関係を明らかにするために,プラスミド脱落弱毒株ヘ本プラスミドを再導入した.C57BL/6マウスでの経口投与によるLD50値は,プラスミド再導入株と親株とがほぼ同様の値を示したことから,36Mdプラスミドは,本菌の病原性因子の一つであることが確証された.
  • 清水 高正, 永友 寛司
    1989 年51 巻1 号 p. 206-208
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    供試した12株のM.gallisepticum(MG)はすべてマイクロタイターウエルに付着し,鶏と羊の赤血球を吸着したが,MG以外の鳥系Mycoplasma属14種とAcholeplasma属2種にはこの特性がみられなかった.この反応は抗血清により特異的に阻止され,MGの同定に有用なことが示唆された.
  • 今井 壮一, 池田 聖一, 石井 俊雄, 植松 一良
    1989 年51 巻1 号 p. 209-212
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    タイより不正輸入されたのち斃死したモモアカヒメハヤブサMicrohierax caerulescensの胸部気嚢内より回収された線虫を,光顕および走査電顕で観察した結果,これまでアフリカのみから報告のあるDiplotriaena falconisと同定した.
  • 山田 明夫, 宮原 和郎, 亀谷 勉, 小田 雄作
    1989 年51 巻1 号 p. 213-214
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    牛の痙攣性不全麻痺に特徴的な臨床症状・経過が認められた6ヵ月齢のホルスタイン種雌牛に遭遇し,部分的脛骨神経切除術により,これを治癒に導くことができた.本症例は我が国で最初の牛痙攣性不全麻痺の治験例と思われ,IBRワクチン注射に基づく神経損傷あるいはワクチン注射時の騒擾・転倒に基づく大腿部の挫傷が,その発生原因であろうと推察された.
  • 宇佐美 浩樹, 大島 寛一, 沼宮内 茂, 内藤 善久, 岡田 幸助
    1989 年51 巻1 号 p. 215-218
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    慢性び慢性ブドウ膜炎の1症例について病理学的検索を行った.ブドウ膜は著明に肥厚し,メラニン,ヘモジデリンの沈着およびリンパ球,類上皮細胞の浸潤を伴っていた.本病はメラノサイトの崩壊と大食細胞の活性化が特徴的であり,電顕的にはメラニン色素負食細胞が観察された.本例は白内障,網膜剥離,顔面皮膚の脱色などを併発しており,ヒ卜のVogt-Koyanagi-原田症候群と同じ範疇の病気と思われた.
  • 久和 茂, 山口 健次郎, 豊田 裕, 藤原 公策
    1989 年51 巻1 号 p. 219-221
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ヌードマウスにマウス肝炎ウイルスJHM株を腹腔内接種後2日に,感作B10.D2あるいけDBA/2マウスのT細胞を移入すると,接種後7日の肝臓ウイルス価は非感染マウスT細胞移入マウスのそれと比較して著しく低く,肝壊死病変はより軽微で単核細胞浸潤はより強かった.感染マウスT細胞移入ヌードマウスでは,中和抗体は検出されず,インターフェロン値は非感染マウスT細胞移入例より低かった.
  • 杉井 俊二
    1989 年51 巻1 号 p. 222-224
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ヒト株化細胞の産生するCEA抗原(分子)を免疫学的に検討した結果,CEA分子(180 Kd)のみを産生する細胞株と,複数のCEAあるいはCEA関連抗原(180,160,100,30 Kd)を同時に産生する細胞株とに分類できる可能性が示唆された.
  • 阿部 光雄, 平賀 武夫, 岩佐 憲二, 竹花 一成
    1989 年51 巻1 号 p. 225-227
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    1例のホルスタイン種雌子ウシで,傍胸骨横隔膜ヘルニアを観察し,その臨床症状と剖検所見を記載した.この子ウシは外観的には,「いかり肩」の姿勢が特徴で,心悸亢進,呼吸速迫,粘膜の貧血などの症状から,当初,心奇形が疑われた.しかし,聴診およびX線撮影により,横隔膜ヘルニアと診断された.剖検により,胸腔内に,第四胃および第三胃,十二指腸,空腸の一部が存在していた.横隔膜筋部の胸骨部に,長径8.0cm,短径4.5cmの卵円形のヘルニア孔が認められた.
  • 谷村 信彦, 立山 晉, 山口 良二, 野坂 大
    1989 年51 巻1 号 p. 228-230
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    馬15頭の甲状腺と上皮小体について抗ヒト・カルシトニン抗体及び抗ヒト・ソマトスタチン抗体を用いて免疫組織化学的染色を施した.検索した甲状腺15例中12例,上皮小体11例中5例において,C細胞(カルシトニン分泌細胞)の中にソマトスタチンの免疫活性を有するものが含まれていた.
  • 杉井 俊二
    1989 年51 巻1 号 p. 231-233
    発行日: 1989/02/15
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    植物性レクチンによる腫瘍化細胞の分別,細胞表面上の複合糖質の検索(解析)の可能性を探るため,植物性レクチンのヒト白血病,リンパ腫由来の株化細胞に対する結合を酵素抗体法で調べた.エンドウ豆レクチンはRaji細胞,リシンはDaudi細胞と特異的に結合することが判明したが,他の細胞(TALL-1, Molt 4, CCRF-CEM, K562)に対しては特異的な結合を示さなかった.またこれらの株化細胞は他のレクチン(コンカナバリンA,ソラ豆レクチン,ピーナッツレクチン,ヒマ豆レクチン,小麦胚芽レクチン,大豆レクチン)とも特異的な結合を示さなかった.以上の成績から,エンドウ豆レクチンおよびリシンはRaji細胞,Daudi細胞の分別およびこれらの細胞の表面複合糖質の検索,解析などに有用である可能性が示唆された.
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