抄録
経産牛の子宮動脈を組織学的に検索した. 非妊娠期の子宮動脈にみられた著明な硬変像は, 妊娠初期および産褥後期においても観察された. 妊娠中期と産褥中期の動脈では軽度ないし中等度の硬変像がみられたが, 妊娠末期および産褥初期ではほとんど観察されなかった. 以上の結果から, 既発妊娠性硬変は, 次回の妊娠の経過中に消失し, 分娩後に再び出現することが示唆された. このような変化は妊娠期における血流量の急激な増加に対応したものと考えるのが妥当と思われるが, 性ホルモンなどの影響も無視できないものと考えられた.