日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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遺伝性高 Na, K-ATPase犬赤血球のメトヘモグロビン形成および還元
小川 絵里永岡 厚子藤瀬 浩高橋 令治
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1989 年 51 巻 6 号 p. 1185-1192

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抄録
遺伝性高 Na, K-ATPase(犬HK赤血球)のメトヘモグロビン形成および還元について, 正常犬赤血球(犬LK赤血球)と比較した. 亜硝酸塩を用いて両者の溶血液への作用を観測することにより, ヘモグロビンはほほ同じ速度で酸化されることを確認した. また犬HK赤血球のヘモグロビンは, 細胞内に存在する大量のグルタチオンにより酸化が阻止されていることが明らかとなった. 一方, 亜硝酸塩で処理後洗浄した赤血球の, グルコースによるメトヘモグロビン還元は犬HK赤血球の方が促進されていた. またこれにともなう乳酸, ピルビン酸の生成は, 犬HK赤血球においてより著しいことが見出された. このことから犬HK赤血球のヘモグロビンは, 大量のGSHおよび解糖の促進により犬LK赤血球と比較して亜硝酸の酸化作用から強く防禦されているものと考えられた.
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