日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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Haemophilus (Actinobacillus) pleuropneumoniaeの薬剤感受性およびR-プラスミドの分離
石井 宏志中曽根 由かり重原 進本間 邦俊荒木 康久伊豫部 志津子橋本 一
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1990 年 52 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

豚の肺病巣から Haemophilus pleuropneumoniae56株を分離し, それらの株について薬剤感受性試験を実施したところ2株の耐性菌を得た. このうち1株(KH-195)は, TC単剤性であったが, プラスミドの分離はできなかった. 他の1株(KH-265)は, SMおよびSAの2剤耐性で, 約8.3Kbのプラスミド(pMS260)を保有していた. このpMS260の性状を精査するにあたり, 広域宿主非伝達性(Inc.Q)SM-SA耐性プラスミドの1つRlb679を比較のために用いた. pMS260はRlb679とは, 制限酵素により異なる切断点を持ち, 不和合性試験では, Inc.Qを含む14群のプラスミドすべてと和合性であり, Rlb679とは性質が異なることが分った. また, E. coli間において11種類の伝達性プラスミドのうちpMS260を可動化させたものは, Inc.PのRP4, Inc.XのR6KおよびInc.MのR446bの3種類であった. このうち伝達頻度の高かったRP4とR446bを用いて, pMS260の宿主域を調べる目的で, 他の呼吸器系疾患の原因菌にpMS260を可動化させたところ, RP4により, P. aeruginosa, P. multocida, B. bronchiseptica, および H. pleuropneumoniaeに伝達可能なことが分った.

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