日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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Corynebacterium renaleの線毛遺伝子のクローニングとその発現
阿部 聡西藤 岳彦古賀 哲文小野 悦郎梁川 良伊藤 壽啓喜田 宏清水 悠紀臣
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1990 年 52 巻 1 号 p. 11-18

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抄録

Corynebacterium renaleの線毛の構造を調べるためにNo. 109株の有線毛クローンP+の遺伝子断片をプラスミドベクターを用いて大腸菌に導入し, 線毛遺伝子のクローニングを試みた. 3000個の組換え体を調べたところ, この内5個が抗線毛抗体と反応する分子量48,000の蛋白を産生していた. この蛋白は抗線毛単クローン性抗体8/4, 5/2及びB20/3と反応したが13/4とは反応しなかった. 部分欠失プラスミドを用いた試験の結果より, この蛋白はプロモーターを含む1.4キロ塩基対の遺伝子によってコードされていることが明らかとなった. この蛋白で免疫したマウスの抗血清はC. renale線毛の全表面と結合する抗体を含んでいた. 以上の成績は, C. renale線毛の構成蛋白をコードする遺伝子がクローニングされ, これが大腸菌で発現されたことを示している.

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