日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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牛における日本脳炎HI抗体陽性率と気象要因の相関と回帰
酒井 健夫高橋 薫久末 修司堀本 政夫滝沢 隆安
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1990 年 52 巻 1 号 p. 121-127

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抄録

1982~1987年に, 埼玉県東部地域の延べ4,371頭の乳牛について, 日本脳炎ウイルスに対するHI抗体陽性率とベクターの活動性に影響を与える気象要因との相関と回帰を調べた. 各年次の7月~10月の抗体陽性率(Yi)は58.8~88.0%で, 各年次によって差がみられた. 6月~9月の旬平均気温総和(Ti, j-1), 旬平均降雨量総和(Ri, j-1)および気温25℃以上の日数値(ti, j-1)から求めた気象比較値(Xi)とYiを単回帰分析すると, 相関係数は0.8147(p<0.05), HI抗体陽性率推定式はY^^^=-0.04X+79.9(p<0.05)であった. 一方, 3種類の気象ベキ乗値を説明変数に, Yiを目的変数とする重回帰分析すると, 重相関係数は0.987(p<0.05), 重回帰式はY^^^i=-3991T1/13-0.0035R-12+1978t1/9+4187(p<0.05)であった. これらの推定式から求めた推定陽性率は, 実測陽性率にほほ一致し, 陽性率に正に相関する気温および負に相関する降雨量が反映した予測式を作ることが可能であった.

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