生後21日齢から17歳までの馬の剖検例20頭について骨関節症病変の病理学的研究を行った. 検索例は, 3例を除き骨関節症の臨床症状を示さず, 骨折その他により剖検された. 骨関節症の組織病変は全例で認められ, その進行の程度および発生部位数は加齢に伴って増加する傾向が認められた. 肉眼病変では, 肘関節, 中手指節関節および足根関節など蝶番状関節に集中していた. 裸窩部病変と潰瘍病変は, 互いに対応する関節面で, いわゆるミラーイメージを形成していた. 線状糜爛は, 2次病変としてしばしば観察された. 組織学的には, 1)軟骨の水腫性疎性化, 2)裂隙形成, 壊死, 表層の剥離, 糜爛, 3)軟骨潰瘍, 4)若齢馬では軟骨の再生像もみられ, 軟骨下骨表面の線維および脂肪組織の増生はより年齢の高い馬にみられた. トルイジン・ブルー染色により, 病変部の軟骨基質の酸性粘液多糖類の減少が示唆された. 本症は軟骨下骨組織の低形成を伴う関節軟骨の疾患と考えられた.