産卵期のニワトリ卵管壁におけるリンパ組織および免疫グロブリン(Ig)含有細胞の分布, およびIgの局在を検索した. リンパ球集族が恒常的にではなく, おもに漏斗部中位および峡部から腔部にかけての領域に認められた. 膨大部お上び峡部の粘膜結合組織においてIgG含有細胞はIgAまたはIgM含有細胞よりも有意に多く出現したが, その他の領域では3種のIg含有細胞数は少なかった. Igは一部の卵管表面上皮細胞および腺細胞内に局在していた. 多数のIgG含有表面上皮細胞が漏斗部, 峡部, 子宮前部および子宮主部に認められた. IgAまたはIgM含有表面上皮細胞はいずれの部位においても稀であった. 膨大部には3種のIg含有腺細胞が多数出現したが, リンパ球集族は稀に認められるのみであった. 峡部ではIgG含有腺細胞は多数出現したが, IgAまたはIgM含有腺細胞は稀であった. 膨大部におけるIg含有腺細胞の出現数は卵の通過後減少した. 上述の結果から, ニワトり卵管ではおもに膨大部の腺細胞を介して母鶏のIgが卵管ヘ移行すること, また卵管リンパ組織の受動免疫に関与する可能性の小さいことが示唆された.