日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
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ISSN-L : 0021-5295
52 巻, 2 号
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  • 清水 高正, 高畠 俊弘, 加藤 正博
    1990 年 52 巻 2 号 p. 191-197
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    M. gallisepticum (MG)及び M. synoviae (MS)の抗原を固定したdurapore膜片を作成し, ドット免疫結合(DIB)法による血中抗体の検出を試みた. MGまたはMSの生菌を気管内に接種したSPF鶏の血清中には, 1週間後から1:80~1:160のDIB抗体価が証明され, 10週間にわたりHI価より高い抗体価が維持された. 対照鶏10羽のDIB価は, 2羽の血清が6及び8週目に1:40を呈したほかは常に1:20以下で推移した. 感染鶏の一部に認められた非特異凝集反応陽性血清は, DIB及びHI反応では非特異反応を呈さなかった. 野外鶏の血清を用いたDIB及びHI反応の成績から, 血清を100倍に希釈し両抗原を固定した膜片を用いるDIB法がMG及びMS抗体の検出に有用と結論した.
  • 金山 伊吹, 佐藤 英明, 下田 耕司, 宮本 元
    1990 年 52 巻 2 号 p. 199-205
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG)および絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)投与後のマウス卵母細胞・卵丘複合体の形態分化について観察した. 組織標本の観察によりhCG投与後3時間で卵核胞の崩壊が認められた. また卵丘細胞間へのコロイド鉄陽性物質の蓄積によって誘起される卵丘の細胞密度の低下は卵核胞の崩壊した卵母細胞をもつ卵母細胞卵丘複合体で顕著であり, 細胞密度の低下はhCG投与後8時間まで進行した. 顆粒膜細胞層の細胞密度も卵核胞崩壊を誘起した卵母細胞をもつ卵胞において低下し, 細胞密度の低下と卵核胞崩壊の間に強い相関のあることが認められた. 電子顕微鏡観察によりhCG投与3時間後から卵丘における細胞間物質の蓄積と卵丘細胞の細胞質突起の退縮も認められた.
  • 高瀬 公三, 吉永 直哉, 江頭 達介, 内村 哲也, 山元 通孝
    1990 年 52 巻 2 号 p. 207-215
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    封入体肝炎(IBH)を示したレース用ハト2羽から, 鶏胚肝細胞を用いてトリアデノウイルスが分離された. 分離株(S-PL1)は, 中和試験において既知鶏アデノウイルスであるSR-48株と強く反応した. S-PL1株は鶏ひなに対して, 強い致死性の病原性を示し, その50%致死量は103.8PFU/羽であった. 感染ひなにはIBHが再現され, 膵の壊死性変化も著明であった. 核内封入体は肝, 膵, 腎, 腺胃, 小腸及び盲腸に出現し, 蛍光抗体法では, これらの組織の核内に特異蛍光を認めた.
  • 本多 英一, 高橋 博則, 岡崎 克則, 峯苫 稔三, 熊谷 哲夫
    1990 年 52 巻 2 号 p. 217-224
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    継代歴の異なる豚伝染性胃腸炎ウイルス9株の豚腎初代細胞(SK)と豚腎由来株化細胞: CPK, IB-RS-2, ESK, PK-15での増殖性について比較した. 株化細胞のうち, CPKは最も感受性が高く, すべてのウイルス株がCPKでのみ, SKと同様にCPEを伴って増殖し, プラックの形成率も高かった. CPK細胞を用いてトリプシン(5μg/ml)のウイルス増殖への影響を調べた. その結果, 接種前のウイルスはいずれもトリプシンに対して高い感受性を示したが, その度合は株間に差異がみられた. ウイルス吸着後に加えた培養液にトリプシンを添加したところTO-163, 浮羽, 新潟株ではプラック数が2.6~3.5倍に増加した. ウイルス侵入後, 感染細胞に重層した寒天培地にトリプシンを添加したところ, いずれのウイルス株でもプラック数の増加はほとんどみられなかった. しかしTO-163, h-5, 浮羽, 新潟株では, プラックサイズが1.4~1.7倍に拡大した.
  • 局 博一
    1990 年 52 巻 2 号 p. 225-232
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    篩骨神経の単一神経活動の記録により, 上気道の圧力変化を感知する鼻受容器の存在を見い出した. 麻酔下の鼻呼吸ラット(15匹)及び気管呼吸ラット(5匹)において, 篩骨神経の求心性活動, 外肋間筋筋電図, 鼻腔内温度及び上気道圧を同時記録した. 鼻呼吸ラットでは呼気終末時に鼻マスクを3呼吸分閉鎖することにより実験的鼻閉塞を作出した. 鼻閉塞時に上気道は3回の吸気努力に伴って平均-1.93~-2.22kPa(n=22)の陰圧を生じたが, 合計22本の求心性線維がこのような陰圧刺激に応答した. それぞれの吸気努力時におけるインパルス数は平均24~20(n=22)を示し, インパルスを誘発する閾値は平均-0.73~-0.96kPa(n=22)であった. 鼻閉塞を吸気終末時に起こした場合には上気道に陽圧が生じたが, 3本の線維のみが陽圧刺激にも応答した. 気管呼吸ラットでは, 上気道に外部から持続圧(陰圧, -0.1~-3.7kPa; 陽圧, 0.8~3.0kPa)を与えた. 12本の神経線維が陰圧刺激に応答し, そのうち3本は陽圧刺激にも応答した. 記録した全ての線維は気管閉塞によっては刺激されなかった. これらの成績から, 三叉神経の分枝である篩骨神経中に鼻腔内の圧力変化を感知する'圧'受容器が存在し, それらは大部分'陰圧'受容器であることがわかった.
  • 尾崎 圭介, 井上 玲, 跡部 ヒサエ, 高橋 英司, 小西 信一郎
    1990 年 52 巻 2 号 p. 233-239
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    東京地域で飼育されている犬の病例より1983年から1986年にかけて分離された Pseudomonae aeruginosaの血清型別と抗生物質感受性試験を行った. これら菌株の主要な分離部位は, 耳疾患, 尿路, および鼻汁であった. モノクローナル抗体を用いたO抗原型別の結果, M型が最も高頻度であった. GおよびB型も頻度の高い血清型であった. 年次別分離頻度をみると, I型は1例を除いて1986年のみに分離されていた. さらにI型は主に手術創より分離されていたことから, この型による院内感染が強く疑われた. 抗生物質感受性試験の結果, ヒ卜および獣医臨床で常用されている4薬剤には概して感受性であり, ヒト臨床における耐性菌の蔓延とは異なる傾向が明らかとなった.
  • 工 亜紀, 草薙 公一, 土屋 耕太郎, 文 学南, 畔高 政行, 高橋 英司
    1990 年 52 巻 2 号 p. 241-250
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    犬ヘルペスウイルス感染症診断のための, 感染細胞可溶化抗原を用いたELISA及び血清中和試験の改良法二法, すなわち補体添加マイクロプレート中和試験と補体添加50%プラック減数法を用い, 総数557の野外犬血清を対象とした抗体検索を行って, その成績を比較した. 補体添加マイクロプレート中和試験で陰性であった529例中119例がELISAで陽性であり, この結果と実験感染犬の経過血清中の抗体の推移とから, 補体添加マイクロプレート中和試験は特に感染初期における抗体検出にはELISA及び補体添加50%プラック減数法より感度が低いことが示唆された. ELISA及び補体添加50%プラック減数法によって得られた抗体価の間には相関がみられたが, 野外における抗体検索のためには, 所要時間及び労力の点から多数検体の処理に適したELISAが, 感度の高い血清診断法として推奨される.
  • 遠矢 幸伸, 谷口 康子, 椿本 亮, 高橋 英司, 見上 彪
    1990 年 52 巻 2 号 p. 251-256
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ネコカリキウイルス(FCV)の日本における代表株であるF4株に対して, 14の中和モノクローナル抗体(N-MoAbs)を作製した. FCV分離株9株を用いて中和能を検討したところ, 14のN-MoAbsは2つのグループに分けられた. 次に, 4つのN-MoAbs各々に抵抗性の変異株をF4株より選出し, 14のN-MoAbsとの反応性を中和試験とELISAで検討した. 各々の変異株は選択に用いたN-MoAbsと同じグループのN-MoAbsに対して中和抵抗性になっており, 異なるグループのN-MoAbsに対する感受性には親株と比べ変化は認められなかった. 以上の結果より, FCV・F4株には少なくとも2つの機能的に独立した中和に関与する抗原部位が存在することが示唆された. 加えて, FCVの抗原解析におけるN-MoAbsとその抵抗性変異株の有用性が示された.
  • Escabias M.I., Santisteban R., Rubio M.D., Tovar P.
    1990 年 52 巻 2 号 p. 257-263
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    1~14日齢の小馬を用いて, 血漿中のK, Na及びCaイオン濃度とECG変動との相関性を調べた所, 1日齢の新生子にのみ有意な相関性が認められた. PQ部分とR波の幅は血漿のNa及びCaイオン濃度との間に各々正の相関が認められた. T波の振幅は, 血漿Kイオン濃度との間に負の相関を示した. 更に, QT及びST間隔の変動は, 血漿のNaとK濃度との間に各々正の相関を示すことから説明しうる.
  • 宮崎 秀人, 平井 潤思, 種池 哲朗
    1990 年 52 巻 2 号 p. 265-273
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    イヌにフロセミド(5mg/Kg)を静脈内投与した後の血漿中動態, 利尿効果, 尿中並びに胆汁中排泄に対する実験的腎不全の影響について検討した. 正常犬にフロセミドを投与すると著しい利尿効果が発現し, 6時間目までに尿と胆汁中にそれぞれ投与量の約55%並びに約45%が排泄された. 50%利尿効果は血漿中濃度1.5μg/ml, 尿中排泄速度約100μg/minのとき得られた. 塩化第二水銀(2mg/kg)の静脈内投与により作製した腎不全犬において, フロセミドの利尿効果の低下と共に生物学的半減期の延長と腎クリアランスの著しい減少が観察された. 一方, 胆汁中排泄はほとんど影響受けなかった. また, 利尿効果と血漿中フロセミド濃度との関係は大きく右方に移動したが, フロセミドの尿中排泄速度との関係はほとんど変化しなかった. 以上のことより, 腎不全犬におけるフロセミドの利尿効果の低下は, フロセミドの尿細管に対する感受性の低下によるものではなく主に腎排泄量の低下に起因することが示唆された.
  • 諏訪 隆彦, 安藤 秀二, 橋本 信夫, 板倉 智敏
    1990 年 52 巻 2 号 p. 275-283
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    初生雛にシチメンチョウ由来の Chlamydia psittaciを各種ルートで接種した. その結果, クラミジア急性敗血症病変が気嚢内および気管内接種で形成されたが, 経口接種では形成されなかった. 接種雛は, 臨床的に発育不良, 元気消失, 開口呼吸を示し, 一部が死亡した. 肉眼的には, 肝臓腫大, 脾臓腫大, 気嚢炎が主病変であった. 組織学的には, 線維素性化膿性気嚢炎, 気管炎, 肝および脾包膜・心膜および心外膜・腸間膜における多発性線維素性漿膜炎,大動脈の巣状動脈内膜炎, 脾臓の細網内皮系細胞の活性化, 肝細胞壊死が認められた. 免疫組織学的には, クラミジア抗原が呼吸器系上皮細胞, 肝細胞, 気嚢・肺・漿膜・脾臓・動脈の大食細胞, 脾臓の細網内皮細胞, 肝および脾包膜・心膜および心外膜・腸間膜における中皮細胞の細胞質に存在していた. これらの臓器, 組織の細胞におけるクラミジア増殖が, 各病変形成に先行していることが注目された.
  • 中村 志, 吉野 千太郎, 飯田 英治, 若尾 義人, 武藤 真, 高橋 貢
    1990 年 52 巻 2 号 p. 285-292
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    健康な雑種犬を使用して, 無酸素症におけるPmO2の変動と心臓機能障害との関係を解明するための実験を行った. 健康犬に100%N2を吸入させると約5分を経過して呼吸が停止し, 急激な無酸素症が発現した. 呼吸停止後無酸素症に陥り, 2分を経過した時点で100%O2を吸入させると, 無酸素症は急激に回復した. 100%N2吸入で呼吸が停止し無酸素症が実現してから, 2分を経過した時点でPaO2, PLVO2ならびにPmO2が最も低下した. この場合, PaCO2は, 呼吸停止時までは低下したが, 呼吸停止と同時に上昇した. 無酸素症に陥った時点で, 100%O2の吸入を行った結果, PaO2, PLVO2ならびにPmO2は約1分以内に回復し, その後は正常値を上回って上昇した. 心機能のパラメータとしてLVEDP, LAm, LVSP, Aom, LV max. dp/dt, TPR, COならびにHRを計測した結果, 無酸素症に陥った時点でこれらのパラメータは著しく低下し, 心室内伝導障害もみられた。 しかし, 呼吸停止後2分以内に100%O2の吸入を行うと, これらの心機能障害は速やかに回復することが確認された、このことからPmO2の低下が心機能障害を発現する大きな要因となることが明らかとなった.
  • 斉藤 康秀, 板垣 博
    1990 年 52 巻 2 号 p. 293-297
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    トキソプラズマのオーシストを機械的に伝搬するものとしてゴキブリとハエが知られている. 糞便を放置した場合, かなりの頻度で飛来する糞食性甲虫がオーシストの伝搬にはたす役割について実験した. トキソプラズマのオーシストを混ぜた猫の糞便に接触させた甲虫の糞からは, 接触後3日目までオーシストが検出された. 一方, 甲虫の体表に付着するオーシストの消長を調べるため汚染糞便に接触させた甲虫を毎日または, 5日おきに清浄な飼育箱へ移しかえた場合, 5回, 即ち25日間, まではオーシストは脱落せず, しかも感染性を保持していた. 大学構内の日陰に放置した犬の糞便に飛来した糞食性甲虫から猫に寄生する I. felisおよび I. rivoltaが検出された.
  • 君島 哲夫, 橋本 善春, 北川 浩, 昆 奏寛, 杉村 誠
    1990 年 52 巻 2 号 p. 299-305
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    産卵期のニワトリ卵管壁におけるリンパ組織および免疫グロブリン(Ig)含有細胞の分布, およびIgの局在を検索した. リンパ球集族が恒常的にではなく, おもに漏斗部中位および峡部から腔部にかけての領域に認められた. 膨大部お上び峡部の粘膜結合組織においてIgG含有細胞はIgAまたはIgM含有細胞よりも有意に多く出現したが, その他の領域では3種のIg含有細胞数は少なかった. Igは一部の卵管表面上皮細胞および腺細胞内に局在していた. 多数のIgG含有表面上皮細胞が漏斗部, 峡部, 子宮前部および子宮主部に認められた. IgAまたはIgM含有表面上皮細胞はいずれの部位においても稀であった. 膨大部には3種のIg含有腺細胞が多数出現したが, リンパ球集族は稀に認められるのみであった. 峡部ではIgG含有腺細胞は多数出現したが, IgAまたはIgM含有腺細胞は稀であった. 膨大部におけるIg含有腺細胞の出現数は卵の通過後減少した. 上述の結果から, ニワトり卵管ではおもに膨大部の腺細胞を介して母鶏のIgが卵管ヘ移行すること, また卵管リンパ組織の受動免疫に関与する可能性の小さいことが示唆された.
  • 永野 博明, 林 和彦, 久保 正法, 三浦 康男
    1990 年 52 巻 2 号 p. 307-314
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    長崎県, および宮崎県を除く九州地方で牛流行熱が発生した. 長崎県では17年ぶりの発生であった. 10月17日に平戸市で初発し, 長崎県では24戸24頭の発生であった. 臨床症状は突然の発熱, 食欲不振および起立不能であった. 発症牛全例において牛流行熱ウイルスに対する抗体価の上昇が見られた. 17例の発症牛のヘパリン加血液から初代HmLu-1細胞で, 12株のウイルスが分離された. これらの分離株は牛流行熱ウイルス山口株の免疫血清ですべて中和された. 電子顕微鏡では, 代表株平戸-9感染HmLu-1細胞の材料中に150nmの円錐型ウイルス粒子が観察された. 平戸-9株と山口株は交差中和試験で, 互いに良く交差した. 牛流行熱ウイルスの分離は, 発症牛の血球材料(洗浄血球)を用いることにより, HmLu-1細胞で容易に分離されることが明らかになった.
  • 久保田 泰一郎, 佐藤 敬
    1990 年 52 巻 2 号 p. 315-319
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    家兎の耳に白金針2本(治療電極)を留置し, 眼の内眼角を測定基点として微小電流(直流20μAの定電流)の通電時とその前後の電位を測定した. 針を刺入留置するのみで, 針と測定基点間は-0.10~+0.28Vを示し, その後, 徐々に減じ3, 4日後は-0.02~+0.17Vとなって安定した. 通電すると, 陽極側は+0.75~+1.30V, 陰極側は-0.37~-0.50Vを示し, その後徐々に電位は増加し, 72時間以後は陽極側は+1.40~+1.65V, 陰極側は-0.60~-0.85Vとなって安定した. 通電を断つと, 直ちに電位は減少したが, 24時間後もなお微少電位が記録された. 以上の結果から, 生体では針刺入によりわずかながら電位を生じ, 通電すると徐々に電位が増加する充電現象がみられ, また通電を断った後も蓄電した電位がみられ, 徐々に放電することが示された.
  • 村瀬 敏之, 前出 吉光
    1990 年 52 巻 2 号 p. 321-327
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    Babesia gibsoni感染症における貧血発現機序を解明する目的でB. gibsoni, 感染耐過後の脾臓摘出により貧血を再発し, 慢性貧血を持続している犬(慢性感染貧血犬)を用いて, in vitroにおけるマクロファージの赤血球貧食能を検討した. 慢性感染貧血犬の骨髄から得たマクロファージ(骨髄マクロファージ)による自己, および非自己正常赤血球に対する貪食率は, それぞれ9.5(%), および9.9と同程度で非感染摘脾大の3.5, および2.9に比べ亢進していた. 抗原虫薬diminazene diaceturateの投与により, 慢性感染貧血犬の骨髄マクロファージによる赤血球貪食率は低下し, それとともにヘマトクリット値の上昇が認められた. B. gibsoniの急性感染犬においても, 慢性貧血犬と同様に, 骨髄マクロファージによる赤血球貪食能の充進が認められ, この場合も自己および非自己正常赤血球に対する貪食率は同程度であった. 一方, 玉ねぎ投与による溶血性貧血犬においてはマクロファージによる赤血球貪食率の充進は認められなかった. 以上の成績よりB. gibsoni,感染犬では, バベシア原虫によるなんらかの作用でマクロファージが活性化され, その赤血球貪食能が亢進したために低原虫寄生率にもかかわらず高度の貧血が発生するものと推察された.
  • 林 子恩, 児玉 洋, 板倉 智敏, 小沼 操, 見上 彪
    1990 年 52 巻 2 号 p. 329-337
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    血清型2マレック病ウイルスML株(ML-6, ML-9, 及びML-22)のSPF実験鶏に対する病原性及び発病防御効果を検討した. 10週齢までの観察期間内, ML株接種あるいは接触感染した鶏のいずれにもリンパ性器官, 坐骨神経叢及び内部臓器に肉眼及び組織病変は見られず, これらウイルス株は非病原性であった. 2週齢の接触感染鶏でウイルス血症が観察され, これらML株は水平感染を起こした. ML6を1日齢ヒナに免疫すると, 4あるいは7日齢に強毒Md/5株接種による攻撃に対し, および7日齢にMd/5株感染鶏による接触感染攻撃に対し, 明らかな発病防御効果を示した.
  • 森 裕司, 武内 ゆかり, 島田 正浩, 林 [シン]治, 星野 邦夫
    1990 年 52 巻 2 号 p. 339-349
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    シバヤギは実験動物として, 特に反芻動物のモデルとして種々の生理的実験に供試されている. これらの研究の進展にともない, 中枢神経系, 特に視床下部への神経内分泌学的アプローチの必要性が増大してきた. 目標とする視床下部神経核に正しくアプローチするために, シバヤギ用脳定位固定装置を開発し, 精度の高い標準脳定位地図を作成した. さらに脳室と視床下部神経核との相対的位置関係を矢状投影図として再構成し, 脳室造影法を組み入れた脳定位手術法の基礎的手法を確立した. 4頭のシバヤギを供試して脳室造影後に組織切片を作製し, いくつかの神経核について脳室との位置関係を解析したところ, その位置関係はほぼ一定で個体差は少ないことが判明し, 脳定位手術の高い再現性が示唆された. さらに1頭のシバヤギを供試し, 実際にこの手法を用いて視床下部の3部位および側脳室内にカニューラを慢性的に留置し, 本手術の実用性について検討した. その結果, 精度の高いアプローチが可能であり, さらにカニューラを長期間留置して動物の生理状態に重大な影響を与えることなく実験を行えることが判明した.
  • Limcumpao Joselito A., 掘本 泰介, 高橋 英司, 見上 彪
    1990 年 52 巻 2 号 p. 351-359
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    ネコヘルペスウイルス1型(FHV-1)糖蛋白質(gp)の感染細胞内における局在部位と輸送を調べるために, 単クローン性抗体による間接蛍光抗体法(IFA)を経時的に行った. 抗gp143/108抗体による蛍光はウイルス感染4時間後に細胞膜と核膜部位において初めて認められ, 8時間目以後は核周囲および細胞質内にも明瞭な蛍光が見られた. gp113に対しても同様の部位において反応が見られたが, 8時間目までは蛍光が認められなかった. 一方, 抗gp60抗体による蛍光は感染12時間後に核の近傍および周囲に初めて認められ, 16時間後には核内に, また20時間後には細胞質内にも蛍光が認められた. さらに, これら3種類の糖蛋白質は感染細胞膜表面にも発現されていることが, 未固定感染細胞を用いたIFAにより明らかになった. 次に, ELISA additivity試験により各糖蛋白質上のエピトープマッピングを行ったところ, gp113は2ドメインにより構成されており, そのうち一つは, 部分的に重複する3エピトープを持つウイルス中和反応に関与するドメインであると考えられた. 一方, gp143/108には重複領域を持つ5エピトープで構成される一つの抗原領域が存在し, そのうち1エピトープはこの糖蛋白質を認識する全ての単クローン性抗体と反応するものと考えられた.
  • 市川 貞治, 若尾 義人, 武藤 眞, 高橋 貢
    1990 年 52 巻 2 号 p. 361-369
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    心不全における血管拡張薬(Nitroglycerin, NTG)の減負荷効果について実験的な検討を行った. はじめに犬の憎帽弁腱索を切断し, 実験的に急性憎帽弁閉鎖不全モデルを作り, その血行動態を観察した結果, 前負荷の指標である左室拡張末期圧(LVEDP)ならびに左房圧(LAP)が有意に上昇し, 明らかな前負荷の増加がみられた. また, 前方拍出量の低下, 心筋収縮性の低下, 心筋酸素消費量の減少によって心機能が障害され不全に至る経過が観察された. つぎに実験的急性憎帽弁閉鎖不全心に対し, NTG3μg/kg/minを動脈内に持続投与した結果, LVEDP, LAPならびに中心静脈圧は有意に下降し, 前負荷が顕著に改善された. また, 後負荷の指標である大動脈収縮期圧(Aos), 平均大動脈圧(Aom)ならびに全末梢血管抵抗(TPR)は有意に低下し, NTG投与による後負荷の軽減作用が示唆された。しかし, 後負荷の軽減は還流血液量によって大きく左右される. そこで体外循環装置を使用し, 静脈還流量を一定にコントロールした状態でNTGを投与した結果, Aos, Aom, 左室最大収縮期圧(LVSP)ならびにTPRは有意に低下した. また, 心筋収縮力ならびに心拍出量も増加した. このことにより, NTGの抵抗血管拡張による後負荷軽減作用が証明されたと考えられる.
  • 更科 孝夫, 一条 茂, 高橋 潤一, 納 敏
    1990 年 52 巻 2 号 p. 371-378
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    第四胃変位牛25例を含む71例の乳牛の第一胃内及び第四胃内ガスの分析調査を行った. その結果, 第四胃内のメタンガス(CH4)濃度は炭酸ガス(CO2)濃度よりも高い値を示し第一胃内ガス組成とは逆であった. また, in vitroの培養実験の結果, 新鮮第一胃液を加えた混合液の培養では, CH4よ高濃度で検出された. しかし, 新鮮第四胃液を加えた混合胃液の培養では, 両ガスは痕跡程度に検出されたにすぎず, 第四胃で検出されたガスは第一胃が発生源であり, 第四胃は発生源とはならないことが示唆された. 給与実験の結果では, 粗飼料と配合飼料の併給牛で第一胃CO2:CH4比は高値を示し, 数値間の高い相関関係により, 第四胃内ガス組成の変化は第一胃内ガス組成の顕著な変化と並行することが示唆された. 以上の結果から, 濃厚飼料の多給は前胃を通過する食糜の流出量を増加させることによって, 第三胃内の食糜より第四胃内に分離されるガスの前胃への返送量をも増加させ, 第四胃内の大量のガスの頻繁な貯留を惹き起こす. これは第四胃内の総揮発性脂肪酸(VFA)濃度の変化と相まって, 第四胃アトニーを起し, 第四胃変位の発病要因となるものと推察される.
  • 福本 真一郎, 榎谷 勝弘, 戸井 久美子, 花舘 充章, 日高 充次, 横谷 一彦, 平松 正, 井口 孝子, 工藤 幸也, 宮本 皓一, ...
    1990 年 52 巻 2 号 p. 379-385
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    1985年5月から1987年9月までの期間に北海道内で飼育されていた乳用のホルスタイン雌廃用牛・計393頭の第四胃について寄生虫学的な検査をおこなった. 検査した第四胃のうち, 295頭(75%)から何らかの線虫の寄生が認められた. 検出された線虫は4種で, 寄生状況は Ostertagia ostertagi250頭(63.6%), Mecistocirrus digitatus181頭(46.1%), Trichostrongyls axei85頭(21.6%)とHaemonchus sp..1頭(0.3%)であった. O. ostertagiとM. digitatusについては発育段別の寄生虫体数も検討したところ, 季節的な感染状況の変動が認められた. O. ostertagiでは冬期間には第4期幼虫が高率に検出され, 春から初夏にかけ成虫の割合が高かった. M. digitatusでは第5期の末熟成虫が厳冬期にはほぼ100%を占め, 春先にはほとんどが成虫になっていた. これらの冬期間に認められた発育の停滞した線虫の個体群と夏季での速やかな発育とを合せた結果, 北米やヨーロッパのウシで報告されている[秋季関連性の発育の遅滞]の現象が, 北海道のウシに感染した第四胃寄生虫においても存在することが示唆された.
  • 白幡 敏一, 勝田 賢, 太田 千佳子, 後藤 仁
    1990 年 52 巻 2 号 p. 387-393
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    トキソプラズマ(Tp)感染マウスにサイクロスポリンA(Cs-A)を投与し, 生存率とインターフェロン(IFN)の産生性を指標にして, 本剤の免疫抑制効果を検討した. 感染当日から種々の濃度のCs-Aを7日間連続投与されたマウスの死亡率は, 投与濃度に比例せず, いずれの投与群においても40%であった. 一方, 50mg/kg/日量のCs-Aを感染当日から10日間連続投与されたマウスは感染16日目までに全例が死亡したが, 感染6日前から同量のCs-Aを7日間および10日間投与した場合の死亡率は, それぞれ0%と30%で, Cs-Aの免疫抑制効果はその投与時期や期間により異なることが示された. また, Cs-A投与マウスにおける血中IFNの産生状況を検討したところ, 感染に伴って出現するIFN-α/βの産生性には特に影響を与えないが, 抗原特異的に誘発されるIFN-γの産生は顕著に抑制された. 従って, Tp感染マウスでは, Cs-A投与により, IFN-γ等のマクロファージ活性化に関与するリンフォカイン産生性T細胞の機能が障害され, 感染の悪化を招くものと考えられた.
  • 根本 謙, 掘本 泰介, 玄 学南, 草薙 公一, 工 亜紀, 遠矢 幸伸, 畔高 改行, 高橋 英司, 見上 彪
    1990 年 52 巻 2 号 p. 395-398
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    イヌヘルペスウイルス(CHV)を感染させたMDCK細胞の超音波処理材料が, 犬赤血球に対する凝集性を示した. さらに, この材料をTriton X-100あるいはデオキシコール酸ナトリウムで処理することにより赤血球凝集(HA)価の上昇が認められた. また, このHA性は抗CHV犬血清により特異的に抑制されることが赤血球凝集抑制(HI)試験で確かめられた. これらの成績はCHV感染MDCK細胞中にウイルス特異HA素が存在すること, また感染犬の血清中にはHI抗体が産生されることを示唆する.
  • 石井 宏志, 杢代 和隆, 関 徹也, 松本 寿男, 亀田 三男, 栗原 貯, 荒木 康久, 伊豫部 志津子, 橋本 一
    1990 年 52 巻 2 号 p. 399-402
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    豚の肺および鼻腔から Pasteurella multocidaの分離を試みたところ117株が得られ, とくに肝変化病変の見られた気管支炎病巣から高率(69.1%)に P. multocidaが分離された. さらに, これらの分離株について莢膜血清型別および薬剤感受性試験を実施したところ, A型13株およびD型1株の合計14株(12.0%)が耐性菌として分離され, その耐性パターンは, SM. SA10株(8.5%), SM. SA. KM2株(1.7%), SM. SA. KM. CP1株(0.9%)およびSM. SA. PCG. ABPC. CER1株(0.9%)で, 莢膜血清型との関係は見られなかった.
  • 苅谷 和廣, 今野 明弘, 石田 卓夫, 鷲巣 月美, 友田 勇
    1990 年 52 巻 2 号 p. 403-405
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    重篤な消化器症状と, 脾臓および右結腸リンパ節の腫大がみられた猫において, 脾臓の針吸引生検標本中に, ライトギムザ染色で好塩基性に染まる滴状顆粒を有する単核球が豊富に認められた. 剖検後の病理組織学的検索では, これらの細胞は腫瘍性に増殖しており, 細胞内顆粒は, ヘマトキシリン・エオシン染色で好酸性, 過ヨウ素酸シッフ反応陰性, 免疫グロブリン陰性, トルイジン青染色で異染性を示さず, またリンタングステン酸・ヘマトキシリン染色で黒褐色の染色性を示したことから, Globule leukocyte由来の腫瘍と診断された.
  • 平原 正, 安原 寿雄, 松井 修, 山中 盛正, 田中 雅之, 福山 新一, 出水田 昭弘, 吉木 研一, 児玉 和夫, 中井 正久, 佐 ...
    1990 年 52 巻 2 号 p. 407-409
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    1987年秋, 近畿地方の養豚場に於て, 呼吸器病を呈する肥育豚の鼻汁から, 豚腎培養細胞に円形化CPEを示す因子を分離した. 分離因子の核酸はDNAで, エーテル, 酸, 熱に強く, 電顕観察により直径約75nmの粒子を観察した. 既知の豚アデノウイルス(PAV)と補体結合反応で強い交差を示したが, 中和試験では既知4血清型と全く反応しなかった. 以上の成績から分離因子を新しい血清型のPAVと同定した. 我々はこの分離株を豚アデノウイルスの新しい血清型(5型)として提唱したい.
  • 金本 勇, 柴田 真治, 野口 春彦, 千村 収一, 小林 正紀, 清水 美雄
    1990 年 52 巻 2 号 p. 411-414
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    犬の僧帽弁閉鎖不全症の弁再建術による治験例は世界的にも未だみられない. マルチーズ種, 7才, 雄, 体重3.8kgにおいて各種臨床検査の結果, 僧帽弁逸脱による僧帽弁閉鎖不全症第一病期と診断された. 本症例に対して表面冷却単純低体温麻酔法を用い直視下にて僧帽弁形成術を試みた. 術後, 手術直前まで聴取された収縮期雑音は完全に消失した. 患犬は術後6ヶ月目で体重は4.2kgに増加し, 10ヶ月目の時点でもなお再発はみられていない.
  • 内田 佳子, 中出 哲也, 北澤 馨
    1990 年 52 巻 2 号 p. 415-417
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    イヌとネコの札幌近郊における外耳炎の基礎的研究として, 正常なイヌとネコ各50頭と外耳炎のイヌ22頭ネコ3頭の臨床微生物学的調査を行った. 正常動物では186株の微生物が分離され, 特にS. hyicus subsp. chromogenesが高率に分離された. 外耳炎動物では全耳道に発赤がみられ潰瘍や鼓膜窄孔も観察された. 分離された微生物は合計54株で, 外耳炎材料からのみ分離されたのは S. auruas と Candida sp.であった.
  • 赤堀 文昭, 政岡 俊夫, 山田 フキ, 新井 成之, 久保 義介
    1990 年 52 巻 2 号 p. 419-421
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    マンボウ肝抽出液の抗潰瘍効果をStd. Wistarラットを用いた3種の急性潰瘍モデルおよび胃液分泌について検討した. マンボウ肝抽出液の抗潰瘍効果はシメチジンと同程度かそれ以上であった. また, 酸量を減少しない用量でもって塩酸エタノール潰瘍を抑制したことから, マンボウ肝抽出液には Cytoprotection作用のあることが示唆された.
  • 鷲巣 月美, 池永 英規, 鷲巣 誠, 石田 卓夫, 友田 勇, Kaneko Jiro J.
    1990 年 52 巻 2 号 p. 423-425
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    犬および猫の胆嚢胆汁の胆汁酸をHPLCにより分析した. 犬胆嚢胆汁中に確認された胆汁酸はTUDC, TC, TCDC, TDC, TLC, GC, GLCおよびCで, これら8種類の胆汁酸の総和は平均で51.36mg/mlであった. 猫胆嚢胆汁中に確認された胆汁酸はTUDC, TC, TCDC, TDC, TLC, GUDC, GCDC, Cの8種類で, その和は平均で32.32mg/mlであった.
  • 田原 秀樹, 渡辺 仁, 田中 幹郎, 中間 實徳
    1990 年 52 巻 2 号 p. 427-430
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    非観血的連続自動血圧計『Finapres』を実験的に麻酔犬に応用し, 安定性や即時反応性について検討した. その結果, 体重や測定部(中足骨部)の形状によっては測定不可能な個体もあったが, 測定できたものに関しては観血的測定値との相関は極めて高く, 十分に臨床応用できるものと考えられた. 今後応用範囲を広げるための動物専用カフの開発が望まれる.
  • 筒井 敏彦, 河上 栄一, 村尾 育子, 小笠 晃
    1990 年 52 巻 2 号 p. 431-434
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    雄犬の性成熟過程に伴う精巣からのandrogen分泌動態を追究するため, 精巣静脈血中のandrogen量を測定し, 合せて末梢血中のそれと比較した. その結果, 精巣静脈血中androgen量の動態は末梢血中のそれとほぼ一致し, 犬では末梢血中androgen量を測定することによって, 精巣のandrogen分泌動態を把握することが可能であることが分った.
  • 宮地 俊, 坂梨 裕, 浅見 寿, 四方 淳一
    1990 年 52 巻 2 号 p. 435-437
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    関東地方の23牧場中2牧場で仔牛(2-8週齢)のクリプトスポリジウム感染が認められ, 陽性牧場における仔牛の陽性率は14.8%と高率であった. ウシ由来の Cryptosporidiumは1週令のBALB/cマウスに感染が成立した.
  • 小野寺 節, 百渓 英一, 清水 真也, 吉原 一浩, 吉野 知男
    1990 年 52 巻 2 号 p. 439-442
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    北海道においてコリデール羊に初めて亜急性海綿状脳症が観察された. 4才3ヶ月の雄羊で組織学的に左右対称の両側性変性病変が延髄に見られた. 延髄全体に神経細胞の腫大が見られたが, オリーブ核では大型および中程度の大きさの神経細胞において, 空胞化および変性が見られた. また少数の空胞化を伴なわない神経細胞の変性, 壊死も見られた. スクレイピー羊と対照健康羊のオリーブ核組織切片を画像解析したところ, スクレイピー羊では空胞化のみならず神経細胞の面積の増加(腫大)が数量化された.
  • 赤池 幸男
    1990 年 52 巻 2 号 p. 443-445
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    1-(1-chloroethyl)-3-isobutyl-3-(β-maltosyl)-1-nitrosourea(TA-077)の抗腫瘍作用が, in vivoに比べin vitroで劣る原因を解明する試みとして, 牛胸腺DNAのアルキル修飾作用を検討した. TA-077が他種NUと同様に, DNA修飾作用を有することから, DNA修飾において, TA-077の加水分解は必須でないと考えられる.
  • 田中 公一, Atwell R. B.
    1990 年 52 巻 2 号 p. 447-451
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    犬糸状虫(Di)自然感染犬5例および非感染犬5例を用いて, 酵素抗体染色法(PAP)の染色条件を検討した. 至適条件は3%H2O2水(20分), 20倍希釈豚血清(40分), 一次抗体(300倍希釈抗Di血清, 1000倍希釈抗犬IgG血清あるいは1000倍希釈抗犬C3血清のうち一種を20分), 二次抗体(60分), PAP抗体(60分)および0.05%DAB(45秒)を順次反応させる条件とした. その結果, 感染犬の肺組織中に免疫関連物質, 即ち抗原(成熟Di, ミクロフィラリア, 卵)・抗体(IgG)・補体(C3)を明確に認めることができた.
  • 石田 卓夫, 谷口 明子, 金井 孝夫, 片岡 泰, 相見 和宏, 苅谷 和廣, 鷲巣 月美, 友田 勇
    1990 年 52 巻 2 号 p. 453-454
    発行日: 1990/04/15
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    東京近県より医学部実験動物施設に搬入された捕獲猫および東京都内の動物病院に来院した飼い猫より得られた血清のうち, 1980年初頭より保存されていたものについて, 猫免疫不全ウイルス抗体の調査を行った. その結果1980年より1985年までの血清で, いずれの年にも抗体陽性例は検出され, 本ウイルスが少なくとも1980年には日本に存在していたことがわかった.
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