抄録
シバヤギは実験動物として, 特に反芻動物のモデルとして種々の生理的実験に供試されている. これらの研究の進展にともない, 中枢神経系, 特に視床下部への神経内分泌学的アプローチの必要性が増大してきた. 目標とする視床下部神経核に正しくアプローチするために, シバヤギ用脳定位固定装置を開発し, 精度の高い標準脳定位地図を作成した. さらに脳室と視床下部神経核との相対的位置関係を矢状投影図として再構成し, 脳室造影法を組み入れた脳定位手術法の基礎的手法を確立した. 4頭のシバヤギを供試して脳室造影後に組織切片を作製し, いくつかの神経核について脳室との位置関係を解析したところ, その位置関係はほぼ一定で個体差は少ないことが判明し, 脳定位手術の高い再現性が示唆された. さらに1頭のシバヤギを供試し, 実際にこの手法を用いて視床下部の3部位および側脳室内にカニューラを慢性的に留置し, 本手術の実用性について検討した. その結果, 精度の高いアプローチが可能であり, さらにカニューラを長期間留置して動物の生理状態に重大な影響を与えることなく実験を行えることが判明した.