日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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猫免疫不全ウイルス感染猫における末梢血リンパ球幼若化反応の変化
谷口 明子石田 卓夫今野 明弘鷲巣 月美友田 勇
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1990 年 52 巻 3 号 p. 513-518

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抄録
猫免疫不全ウイルス感染猫における病期の進行と免疫不全の関係を明らかにする目的で, 自然感染猫における臨床病期分類と末梢血リンパ球のCon-Aマイトジェンに対する幼若化反応の関係を調べた. ヒト免疫不全ウイルス感染症で確立されている5つの病期のうち, 猫免疫不全ウイルス自然感染猫で明らかに認められた3つの病期, すなわち無症状キャリアー, AIDS関連症候群, AIDSの病期にある猫について, グルコース消費試験によるリンパ球幼若化反応を行ったところ, 発症以前の病期である無症状キャリアー期において, リンパ球幼若化能は顕著に低下していることがわかった. そしてAIDS関連症候群, AIDSへと進行するにしたがい, 幼若化能は激しく低下し, AIDS期においではほとんど消失していた. AIDS期の感染猫は, リンパ球の反応性の消失に加え, 極度の削痩, 貧血または汎血球減少症, 日和見感染症, リンパ節異形成を伴っており, 免疫不全を基礎とした全身性疾患の存在がうかがわれた.
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© 社団法人 日本獣医学会
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