日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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ゲタウイルスKanagawa株のプラックサイズと乳のみマウスに対する病原性
宝達 勉高橋 伸和井出 誠弥山岸 郭郎斉藤 博藤崎 優次郎小山 弘之
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1990 年 52 巻 3 号 p. 519-526

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抄録
ゲタウイルスKanagawa株, Kanagawa株からプラッククローニングして得たSPのみを形成するゲタKanagawa SP (G-K-SP)株, LPのみを形成するG-K-LP株およびSPだけを形成するHaruna株の4株について, それぞれの生物学的性状なかでも特に乳のみマウスに対する病原性とプラックサイズとの関係を調べた. プラックサイズあるいは乳のみマウスに対する病原性と血清学的性状, 増殖曲線ならびにpH, トリプシン, 温度に対する感受性には顕著な差はなかった. 乳のみマウスに対してG-K-LP株はG-K-SP株に比べ強い病原性を示した. しかし, SPのみを形成するにもかかわらずHaruna株の病原性はG-K-LP株と同様に強かった. Kanagawa株のSPの中にも5日から6日ですべてのマウスを死亡させるクローンと, 9日から14日以上を必要とするクローンが存在した. 野外から分離されてまもないKanagawa株のようなゲタウイルスでは, 少なくとも乳のみマウスに対する病原性はLPとSPあるいはSP間でも差があり, プラックサイズとは無関係であることが明らかとなった.
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