抄録
固体高分子形燃料電池(PEFC)内の水分をin situ(「その場」)で可視化する手法として磁気共鳴イメージング(MRI)と軟X線イメージングについて述べた. MRIを用いた電解質膜内水分布計測について示し, 相対湿度ならびに出力電流密度が及ぼす影響を明らかにした. 低加湿条件では膜内水分拡散が支配的であり, 膜内含水量の増加とともに電気浸透が支配的となることを示した. 高加湿条件では, 膜内に高含水かつ均一な水分布が形成されることを示した. 軟X線によるPEFC水分可視化においては, 軟X線がPEFC内の液体水に十分な計測感度を有することを示し, PEFC電極内水分可視化に適用した. 軟X線による時系列可晩化により, 生成した水分が電極面方向にミクロスケールで不均一性を示すことを明らかにした. 画趣厚さ方向には, リブとチャネルで水分滞留が異なり,微細孔層のマイクロクラックが水分輸送に影響を及ぼすことを明らかにした.