今日,スマートフォンは,多くの人々にとって日常的なコミュニケーションの主要な手段となっている.COVID-19パンデミックでは,新規感染者の情報をスマートフォン上のグラフで確認するケースが急増した.このような情報取得のスタイルは,概要の把握には適しているが,詳細まで十分に把握できるとは言い難い.近年,スマートフォンの限られた表示スペースで,概要だけでなく詳細まで読み取ることができる新たな可視化手法の必要性が高まっている.本稿では,概要と詳細を同時に可視化できる二色塗分け法を,テキストに埋め込む単語サイズの可視化として知られるスパークラインとして実現した,二色塗分けスパークラインを示す.また,二色塗分けスパークラインを埋め込んだテキストを対話的に表示できるモバイルアプリを紹介する.このアプリの主要な対話機能の有効性を,大気中の粒子濃度データセットへの適用例を用いて実証する.
地図は地理情報を視覚的に表現する手段であり,縮尺に応じてその表現が変化する.大縮尺の地図では詳細が描かれが,小縮尺の地図ではそれらの抽象化が必要となる.これを実現する技法が「総描(generalization)」であり,地理的特徴を抽象化して地図の可読性を維持する.総描技法には,特徴の位置をずらす「転位(displacement)」,特定の特徴を省略する「取捨選択(selection)」,小さな特徴を統合する「集約(aggregation)」,形状を簡素化する「簡単化(simplification)」がある.特に「集約」とそれに伴う「簡単化」は複雑で,地理的要素間の接続関係を変更するため,大局的な抽象化をもたらす.本稿では,住宅地図の建物特徴群を対象とした対話的最適化による集約および簡単化操作の最近の結果を紹介する.
近年、ゲリラ豪雨等の極端気象現象が増加し、継続的に世界的な人的損失と、広範囲に及ぶ 物的・インフラ的損害が深刻化している。特に、日本では、大雨による深刻な被害が多発しており、大雨による被害の減災・防災のために、高精度な気象予報に対する重要性が年々高まっている。一般に、気象予報では、物理的な気象モデルに基づくアンサンブルシミュレーションによって、将来の大気の状態を予測する数値予報を実施する。本稿では、アンサンブルデータを対象に、そのデータに内在する複雑な時空間挙動を概観し、対話的な解析を実現するための我々の取り組みを紹介する。我々の取り組みの特徴は、アンサンブルデータを、メンバー、変数、空間、時間の4つの基底で構成される4次テンソルデータとして表現することで、簡単なデータ操作と可視化を組み合わせた効果的な解析を可能にしている点にある。
本稿では「京」コンピュータと「富岳」における大規模データ可視化環境を紹介する。これらのフラッグシップスーパーコンピュータはシミュレーション実行時に最大限の性能が発揮できるように設計されており、超大規模な数値シミュレーションの実行が可能であり、それに伴い膨大なシミュレーション結果を生成することも可能である。この様な大規模データに加え、スーパーコンピュータ本体及びに施設からのセンサー計測データやシステム情報データが時系列で多変量のログデータとして蓄積されている。本稿ではスーパーコンピュータ本体やプリポスト処理向け補助システムを含むハードウェア上で、これらの大規模データ可視化向けツールやアプリケーションを提供するための取り組みや国内外の学術機関との共同研究 開発を紹介する。