可視化情報学会誌
Online ISSN : 1884-037X
Print ISSN : 0916-4731
ISSN-L : 0916-4731
最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
特集記事
  • 石井 慶子, 米山 聡
    2023 年 43 巻 167 号 p. 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/07/19
    ジャーナル フリー
  • ―見えない未活用情報を光変換し革新的な評価,予測,設計,基準に活用―
    寺崎 正
    2023 年 43 巻 167 号 p. 2-6
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/07/19
    ジャーナル フリー
    電子付録

     我々の生活を支える構造物は,使用期間に,外力や荷重に耐える必要な力が得られるか,極めて重要である.ただ我々には,“力の情報”は見えない.力学挙動に関して機能劣化したか,見ることはできない.経験や知見から適切に予測して設計に反映し,経験を蓄積したデータベースを基に強度予測を行う.しかし,現在有する過去の知見やシミュレーションは,本当に正しいのか?思い込みは無いか?気づいていない情報は無いか?常に疑問は残る.さらに現場の人間が,その場で分かる,という現場戦略も重要である.この課題に対して,我々は独自に開発した“ダイナミックなひずみ分布を可視化できる”応力発光技術を活用し,構造材料や構造物に由来する“力の情報(ひずみ分布情報)”の可視化を行ってきた.本項では、応力発光技術を紹介すると共に,その可視化戦略,更に可視化情報活用としての健全性モニタリング,設計や予測の向上,規格開発を紹介する.

  • 今任 景一, 大山 陽介
    2023 年 43 巻 167 号 p. 7-11
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/07/19
    ジャーナル フリー
    電子付録

     高分子材料は軽量や柔軟などの他の材料にはない特性から広く利用されている.近年は強度も向上し,輸送機器の構造材料としても利用が進められており,今後も持続可能な社会の実現に向けて,用途の拡大と需要の増加が期待される.しかし,高分子は概念の提唱からまだ100年と歴史が浅く,破壊や疲労,劣化現象の理解は十分ではない.これら現象のモニタリングと機構解明による耐久性・安全性・信頼性の向上は喫緊の課題である.そのため,高分子材料に生じる力やダメージを可視化する方法が世界的に研究されてきた.本稿では,力に応答して色調や発光特性が変化する機能性色素を用いた方法について,これまでの研究を概観する.この方法は材料の物性を大きく損ねることなく,分子レベルで生じた力やダメージを可視化できるため,上記現象の詳細な評価・理解が期待できる.

  • 武藤 真和, 小林 和也
    2023 年 43 巻 167 号 p. 12-15
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/07/19
    ジャーナル フリー
    電子付録

    血行力学分野では,血管と血液の応力相互作用関係を知ることが非常に重要である.例えば,クモ膜下出血の起因となる脳動脈瘤は,血管内を流動する血液の壁面せん断応力が原因で破裂するというCFDによる報告がある.しかしながら,ソフトな血管のダイナミクスや血液の非ニュートン性などの複雑な構造変形を考慮した流体構造錬成問題のCFDは非常に困難である.そこで筆者は,新たな応力場の可視化技術として,高速度光弾性法(高速度偏光カメラを用いた光弾性法)を提案する.この技術の活用により,「固体」応力場の計測だけでなく,困難とされてきた「流体」応力場の非定常・非接触計測に成功し,最近では血管と血液を模擬した高分子ゲル製流路および液体高分子の応力相互作用の実験的可視化を達成した.本研究は研究初期の段階ではあるが,今後,より現実に近い生体条件を考慮したin vitro実験に発展することが期待される.

  • 李 志遠, 王 慶華, 吉田 拓弥, 榎本 利章
    2023 年 43 巻 167 号 p. 16-19
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/07/19
    ジャーナル フリー
    電子付録

     本稿では,半導体部材の内部熱変形を評価するために,サンプリングモアレ法によるアンダーフィル(UF)材の残留熱ひずみ分布の可視化技術を紹介する.本手法は室温で試験片表面に微小格子を予め作製し,試験片の形成温度に対する任意の温度での残留熱ひずみ分布を測定することができる.レーザー顕微鏡下でフリップチップパッケージ(FCPKG)用加熱チャンバーを設計し,開発手法を用いて150℃に対するFCPKGにおけるガラス転移温度の異なる2種類のUFの残留熱ひずみ分布を測定し,比較を行った結果を報告する.

  • 長 秀雄, 西宮 康治朗
    2023 年 43 巻 167 号 p. 20-23
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/07/19
    ジャーナル フリー
    電子付録

     高分子接着剤による接着部の評価を行うことを目的とした光弾性法を用いたZero-group-velocity(ZGV)ラム波の伝搬挙動の可視化を行った.ZGVラム波は,群速度が0であるが有限の位相速度を有する波動で高い空間分解能で伝搬媒体の弾性的な性質を評価できる手法であり,接着性状を評価できる可能性がある波動である.しかし,現在では接着性とZGVラム波の伝搬挙動のとの関係は不明な点が多い.光弾性法によってZGVラム波を可視化したところ,ZGVラム波と接着性状の関係を直感的に理解するのに役立つと期待できる.良好な接着性状の場合,ZGVラム波は両方の被着材で同一の振動モードを示したが,接着状態が不良な場合は異なる振動モードとなった.今後は可視化結果に基づいて接着面での境界条件を明らかにしる予定である.

  • 米山 聡
    2023 年 43 巻 167 号 p. 24-27
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/07/19
    ジャーナル フリー
    電子付録

    グローバルDICを用いた2次元変位・ひずみ測定法の基本的な原理,および得られたひずみから応力を得る方法について説明する.この方法では,画像に写っている測定対象に重なるように有限要素メッシュを定義し,輝度値分布の相関を利用してそのメッシュの全節点変位を同時に決定することができる.節点変位を決定した後には,要素内のひずみを変位ひずみ関係を用いて算出する.その際,微小ひずみであれば変位勾配からひずみを得ることができる.微小ひずみと考えられない場合には有限変形論に基づいて変形勾配からひずみを算出するが,その代表として対数ひずみを算出する方法を説明する.ひずみを算出した後,測定対象物体の材料特性と構成式が既知であれば,応力分布を得ることができる.応力可視化例として,有孔帯板の引張による円孔周辺部の応力集中と,き裂先端部近傍の応力分布を示す.き裂の例においては破壊力学パラメータの評価についても述べる.

feedback
Top