可視化情報学会誌
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記譜法と楽音
―「世界音楽の時代」の音楽の可視化―
久留 智之
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2015 年 35 巻 136 号 p. 13-16

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抄録

 近年芸術音楽は,非西洋の音楽美学や楽音を取り入れる方向にあり,「世界音楽の時代」に入ったといわれている.テクノロジーの発達とも相俟って音楽の素材としての楽音はますます拡張しているが,それを伝達するメディアとしての五線記譜法は,古くからの西洋の音楽美学を濃厚に反映しており,非西洋型の重要な音楽情報を記譜仕切れないという問題が生じている.そこで本論では,五線記譜法の特徴や性能について非西洋音楽のさまざまな音楽伝達法との比較考察から再認識し,異文化の音楽哲学を表現可能にする記譜法への足がかりを得る.具体には以下の通り.1)五線記譜法の優位性について(スコアの存在意義など),2)五線記譜法の限界について,3)西洋芸術音楽と非西洋音楽の楽音について,動スペクトル解析を用いた比較考察,4)非西洋音楽型の「揺れ動く楽音」(音色・音高・音勢が絶えず変化する楽音)の記譜法について,5)動スペクトル解析の音楽創作や音楽教育現場での活用の可能性について

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© 2015 社団法人 可視化情報学会
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