反射性の鱗片状粒子(フレーク)を流体に分散させると,流れの定性的な性質を容易に把握することができる.一方で,フレークによる可視化で得られた情報から流れの定量的な性質を抽出することは容易ではない.本稿では,フレークを用いた流れの可視化法の基礎に関して最近の研究で明らかにしたことをまとめる.おもな結論は以下の通りである.(1)フレークにより得られる明暗のパターンはフレークの配向の空間非一様性による.(2)フレークの配向の時間変化は面素の配向の時間変化と同一である.(3)一般の流れでは,フレークの向きは必ずしも位置の関数とはならないが,乱流中では位置の関数となる.つまり,乱流中では,たとえ初期に(ある位置にある)フレークの配向をランダムにしても,コルモゴロフ時間の25倍程度でフレークの配向は一意に定まる.(4)フレークの向きの時間発展は速度勾配により決定されるので,乱流中に存在する秩序構造渦の影響を強く受ける.したがって,可視化された明暗パターンからこれらの秩序構造の特徴量を定量的に評価することができる.