スキージャンプのバイオメカニクス研究では,一連動作を助走,踏切,初期飛行,安定飛行,着地準備および着地の6局面に分類して分析されることが多い.この中で,踏切から飛行における動作がパフォーマンス向上に重要であることは周知の事実である.また,実競技では,選手の滑降・滑空速度は時速約90kmに達するため,競技パフォーマンス(飛距離)に対して空気力が支配的になる.多くの先行研究が示すように,スキージャンプ選手やスキー板に作用する空気力が競技パフォーマンスに大きく影響を及ぼすことは疑いの余地がない.競技力向上を目的とした研究では,空気力学およびバイオメカニクス(運動学,運動力学)的な観点の報告が多く,得られた知見や情報の可視化が求められる.本稿では,近年の研究動向や計測技術を紹介する.そして,これらの可視化情報の指導・競技現場における活用について,その概要について述べる.