真空技術
Online ISSN : 1883-7182
ISSN-L : 1883-7182
「エゼクター」型油「ブースターポンプ」の働作機構について (第一報)
金子 粂太郎橋本 光一
著者情報
ジャーナル フリー

1954 年 5 巻 4 号 p. 313-348

詳細
抄録

10μHg附近より数百μHg位までの圧力範囲で, 脊圧が数千μHgに於いても働し油蒸気を用うる「ブースター」=ポンプ内の「ノツヅル」の直ぐ上流での油蒸気の温熱の度合により, その「ノツヅル」の「スロート」を通る油蒸気の噴出量がよく計算値と一致してくる模様及びそれと共に排気速度, 逆流する油蒸気の量の変化する有様を実測した。
次にこの油蒸気の「デイフューザー」の内壁面上種々な場所に明けた排気瓦斯 (空気及び水素) の分圧の「デイフューザー」の軸に沿うての分布を種々の条件について測定し, これを解析するために、油蒸気の「ブレイク」が, その点での油蒸気の全圧 (静圧+動圧) とその場所での脊圧瓦斯の分圧とが等しくなる瞬間より生ずることの実証性より, その油蒸気の流速 (mass velority) を求め, 更にその点での油蒸気の分圧を, この「デイフューザー」面に明けた「オリフィス」形「ノツヅル」より噴出する油蒸気量より求めて, それらよりその点でのこの運動している油蒸気気流中の排気される瓦斯の拡散係数を求めた。その値は105cm2/secの量位で, 気体運動論より計算して得た10~100cm2/secの量位のものと非常に異なり, これが所謂乱流拡散の係数であるとすると「だとう」であることを結論した。この係数が此の種の「ブースターーポンプ」でどの様な役割を演ずるかについては今後逐次明らかにするつもりである。

著者関連情報
© 日本真空協会
前の記事 次の記事
feedback
Top