西日本畜産学会報
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冬季における家畜尿汚水処理施設のハウス設置による保温効果
脇屋 裕一郎坂井 隆宏
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2002 年 45 巻 p. 39-44

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抄録

汚水処理で課題となっている冬期での水温低下による処理能力低下を防止するため, 曝気槽にビニールハウスを設置し, 気温が低下する冬期での保温効果および汚水処理状況の調査を行い, その効果を追求した.
試験は, ハウスを設置せず, 半地下方式でのみ処理した期間 (平成12年度実施: 以下試験1) と半地下方式に加えハウスを設置して処理した期間 (平成13年度実施: 以下試験2) との比較を行った.
曝気槽への投入汚水量は8.6m3/日, 投入汚水はBOD容積負荷を平均0.6kg/m3・dayの範囲で行った.
その結果, 試験1, 2においても, 気温の経時変化に対して, 水温は日内格差はほとんど確認されなかったが, 試験2において, ハウス内温度の平均値は, 13.3℃と高い値で推移し, また, 外気温の平均値に対して, 7℃程度高く推移したことから, ハウス設置による保温効果が確認された.
DOについては, 平均値が試験1と比較して, 試験2が約2.0mg/l程度低い傾向が確認された.
試験2における臭気は, ハウス内部において若干確認されたものの, 悪臭防止法における許容限度以下であり, 適切な汚水投入濃度および微生物の活性が十分であれば, 内部においても極端な悪臭は発生しないことが確認された.
また, 処理水においても試験1と比較して, 試験2においてBOD, COD, SSは顕著に減少し, ハウス設置による保温効果により処理水濃度が低下することが確認され, ハウス設置は汚水処理施設において有効な保温方法であることが示唆された.

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