西日本畜産学会報
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暖地型マメ科Aeschynomene americana L.の嗜好性
飛佐 学中野 豊岡野 香古澤 弘敏下條 雅敬増田 泰久
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2002 年 45 巻 p. 51-57

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抄録

オーストラリアから導入した耐湿性の高い暖地型マメ科Aeschynomene americana L.の我が国西南暖地, 特に水田転換畑への導入の可能性を追求するため, 家畜を用いて嗜好性の検討を行った.
試験1では水田転換畑で栽培したAeschynomene americana L. (Glenn及びLee) 及びフアジービーン (Pb) の2番草乾草を供試した.試験2では畑圃場で栽培したGlenn, Pb及び青刈ダイズ (黒千石, Soy) の生草を供試した.試験3ではGlenn及びPbのサイレージを供試した.供試家畜として, 試験1ではトカラヤギを, 試験2ではトカラヤギ及び黒毛和種 (繁殖雌牛) を, 試験3では黒毛和種 (繁殖雌牛) を用いた.
トカラヤギにおいては15分間及び黒毛和種においては5分間のキャフェテリア法による採食量を測定した.
供試草については粗タンパク質含有率, in vitro乾物消化率及びタンニン含量の測定を行った.サイレージについては発酵品質の評価を行った.
試験1における供試草の粗タンパク質含有率はLee, Glenn>Pb (P<0.01) , 乾物消化率はPb>Lee>Glenn (P<0.05) となった.タンニン含有率はLeeがGlenn及びPbより高い値 (P<0.05) となったが, 3草種とも低い値 (3.5mg/gDM以下) であった.ヤギにおける15分間の乾草採食量はLee>Glenn>Pbと有意差 (P<0.05) を示した.
試験2において, ヤギにおける15分間の採食量はSoyでGlennより若干高い値であったが, 草種間に有意な差は認められなかった.黒毛和種繁殖雌牛における5分間の採食量はGlennでSoyより若干高い値であったが, 草種間に有意な差は認められなかった.
試験3において, Glennサイレージの発酵品質はPbサイレージより劣ったが, 採食量はGlennサイレージが若干高い値を示した.

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