いま東京湾岸では,いわゆるウォーターフロント開発というキャッチフレーズのもとに数多くの臨海部開発計画が進行している。しかしそれらの開発計画は,たとえば欧米型のウォーターフロント開発にみるような水辺空間の環境的諸機能の回復による都市空間の公共的・市民的再生というコンセプトとは全く異なる次元で展開している。したがって各開発計画はそれ自体として内在的視点から検討されなければならないが,そうした検討視点からみても,それぞれに大きな問題点がある。いまその基本的な見直しを図る各湾岸自治体の公共的役割が鋭く問われている。