水資源・環境研究
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論文(論説)
  • − 水環境再生への手がかりとしての水系構造 −
    中川 晃成
    2025 年38 巻2 号 p. 23-32
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/08
    ジャーナル オープンアクセス
    琵琶湖の南湖東岸に位置する赤野井湾は、沿湖における水環境問題が顕現する場のひとつとして注目される。その流域の河川は主に20世紀後半の圃場整備を契機に構造改変も受け、昔日の姿は少なからず失われた。ここでは、地域に今に伝えられる明治前期の絵図史料などをもとに、近世にも遡るであろう水系の復原を試みる。広く平らな耕地が覆うこの流域では、野洲川河水や湧水を水源に水系が用水路として機能するよう配され、特に、これら水源や河道は受益地ごとに棲み分けられていることがうかがわれた。現況に至り、湖岸側では使途を農業排水路とするための河道改変が広く及んでいるのに対し、内陸側では都市化が進むものの在来河道の遺存も少なからず確認できる。後者に今も生きて流れる河水は、当該流域の水環境再生のための貴重な存在として水系全体の中においても有効に機能するよう適切に位置付けられるべきである。
  • -河原植物の生育地の消長-
    野谷 靖浩, 瀬戸 智大, 小池 文人
    2025 年38 巻2 号 p. 33-40
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/08
    ジャーナル オープンアクセス
    河川中流域には広い礫河原が存在し礫河原にのみ生育する河原固有植物がみられるが、近年は減少している。洪水は生育地である礫河原を形成するプラスの要因であるが、他方で個体群を流失・埋没させるマイナスの要因でもある。本研究では1950年代から2020年代までの年最高水位の時系列から礫河原面積の推移の予測を試みた。まず欠測が多い年最高水位を周辺の観測値から推定した。次に最高水位に対応して形成される礫河原は植生遷移により指数関数的に減少するが、次の洪水で再び礫河原となるモデルを作成し、過去の礫河原面積の推移を復元した。解析では、洪水で新しく形成された礫河原は植生遷移により3年でほぼ消失するとの結果となった。世代時間を通した生育可能面積を指標する3年移動礫河原面積最低値は減少し、生育地の不安定性を指標する5年移動礫河原面積変動係数は増加し、いずれも河原固有植物にとって不利な方向に変化していた。
研究ノート
  • 田渕 直樹
    2025 年38 巻2 号 p. 41-46
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/01/08
    ジャーナル オープンアクセス
    2020年7月上旬にかけて熊本県八代・球磨地方は記録的な豪雨に見舞われ、60人超の犠牲者を出した。豪雨災害の原因は九州南部に発生した線状降水帯である。人吉市では20人が亡くなったが、堤防損壊で死者5人を出した下薩摩瀬町地区や、堤防決壊で全域水没したけれども死者ゼロの中神町大柿地区があった。後者は早朝から避難支援を行いながら避難指示発出前に避難を完了したが、前者は同発出2時間後個々に避難している。大柿地区の避難支援を可能にした要因は、防災・避難対策の前に福祉政策に取り組み、日頃から地区の支え合いと役割分担ができていたからである。この地区の理念と仕組みは、行政の支援と相まって地区の歴史が育んだもの、と考える。
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