沖縄県八重山列島の中心島である人口約5万人の石垣島(1島1市)の南東部に人口約1,600人の白保集落がある。白保集落地先には広大なサンゴ礁が広がり、そこに今から45年前、1979年に大型旅客機が離発着できる新空港建設の問題が起きた。その後、20年近く空港建設地を巡って混乱が続き、ようやく2000年に内陸部に建設地が確定、2013年に大都市圏や離島を結ぶ新空港が開港した。
白保の海は、集落の人々が生態系サービスを得る場であり、建設問題を契機にサンゴ礁は里海・コモンズとして捉え直されるようになった。そこに専門家が居住し、長年関わることで、サンゴ礁と社会が一つになった順応的管理が形成されてきた。本稿ではその過程を検討することで、人間−生態系が一つとなった順応的管理のあり方について考察した。
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