抄録
半世紀前、ドイツ地理学の中で生まれた景観生態学は、地理学のみならず生態学、造園学などの隣接分野においても発展し、多くの研究成果をみている。また、自然保護や景観保全の必要性が高まった今日においては、地域計画や環境計画など応用分野においてもその考察法が導入され、社会に寄与している。しかし、わが国における景観生態学的研究はその端緒についたばかりであり、今後、地域開発など応用の分野において、その普及が望まれる。そこで本稿においては、ドイツ景観生態学の流れをたどり、その概念を説明し、景観生態学がドイツの景観計画と川の自然再生化計画に活かされている事例を取り上げることによって、景観生態学の本質を明らかにした。